.Tooトップへ
デジタルメディアシステム部 03-6757-3145 お問い合わせ

report

ゲームAI・ゲームデザインから考えるゲームの過去・現在・未来(2)

2017.07.07
 

ゲームAIの過去・現在・未来

大野功二氏に続く第二部は、三宅陽一郎氏による『「ゲームAI」から考えるゲームの過去・現在・未来』。三宅氏は『FFXV』のリードAIアーキテクトを担当、『絵でわかる人工知能』や『人工知能の作り方』といった著書もある、ゲームAIの第一人者だ。

三宅氏はまずゲームAIのオーバービューを示し、現代ゲームにおけるAIの構造から解説をスタート。現代ゲームでは、AIの役割として、ゲームそのものをコントロールする『メタAI』、キャラクターの脳として機能する『キャラクターAI』、パス検索など地形・状況など空間的な情報を抽出する『ナビゲーションAI』の3つがある。

ゲームAIのオーバービュー

ゲームAIのオーバービュー

古典的なゲームではAIとゲームシステムなどが混沌としていたが、3つのAIへの分化が進行。さらにキャラクターでは、ゲームデザイナーの思考を直接反映する『Scripted AI』から、独立した知識と思考を持つ『自律型AI』へと変化している。

人間は〝どこを歩けばいいか〟といったことを瞬時に判断できるが、キャラクターは環境認識が苦手だ。ナビゲーションAIとナビゲーション・データを与えなければ、歩くことができない。
具体例として挙げられたのは、『FFXIV:A Realm Reborn』。ナビゲーション・メッシュによって、モンスターが自立して歩く動画が流された。

メタAIの歴史は古く、1980年代の『ゼビウス』までさかのぼることができる。ここでは敵の強さをコントロールする自動バランス調整が行なわれていた。
現代のメタAIは、敵の生成、配置、ストーリー、レベルの動的生成などを担う。ゲームデザイナーそのものをゲームに埋め込むものとも言える。
ここでは、『Left 4 Dead』のユーザーに緊張と緩和のリズムを与えるアルゴリズムが取り上げられた。

キャラクターAIでは、エポックメイキングだった『Halo』を例にとって解説。この頃からキャラクターは、自分で感じて、自分で考え、自分でアウトプットするようになった。それに必要なのは、やはりデータ。キャラクターは世界そのものを認識することはできないので、補助的な『知識表現データ』を入れなければならない。

キャラクターの作り方としては、代表的なAIの分類『ルールベースAI』『ステートベースAI』『ビヘイビアベースAI』『ゴールベースAI』『タスクベースAI』『ユーティリティベースAI』『シミュレーションベースAI』が示された。

また、キャラクターも経験を得て学習し行動選択の方針を変える『強化学習』、遺伝的アルゴリズムを組み込んだ『アストロノーカ』などにも触れられた。

 

ゲームの過去・現在・未来

続く第三部は、大野氏と三宅氏の対談。まずキーワードとして提示されたのは『人とゲームAIの向き合い方の未来(「フィルタリング」か「コネクティング」か)』。
三宅氏は、ゲームはユーザーが没入するので「ゲーム自身がコネクティングの役割を果たす」とした。

三宅氏「これまで何となくだったものが、これからはAIが積極的に間を取り持つ時代になる。マッチングやゲームコントロールなど人間の代わりの役割を果たすだけでなく、人と人の間でもAIが大きな役割を果たすだろう」

大野氏は「ゲームデザインに関しても伸びしろはある」とした。たとえばモバイルゲームやコンシューマーゲームでの対戦では、勝てない相手とばかりあたってしまうと止めてしまう。如何に面白く楽しめる人をコネクションするか、は非常に重要だとした。
伸びしろの部分に関して、再び三宅氏も言及。「現代のメタAIは2008年くらいから始まったもので、まだ研究が進んでいない。これからはAIが起承転結を作ってプレイヤーを楽しませるようになる」という見通しを示した。

続くキーワードはメタAI。大野氏は先の起承転結の話を引用し「メタAIは、ドラマを作るAIと言っていいのか」と問いかけた。
三宅氏は、AI担当者が「AIディレクター」と呼ばれる海外の例を挙げ、キャラクターを役者としたときの監督としてメタAIが存在するとした。
「どうやってドラマを作るか、は今でも課題」だとする大野氏。Pokémon GOで自分が体験した「公園で知らない人と一緒にピカチュウを探した」という〝現実世界を巻き込むドラマ〟を紹介。こういった方向でのAIの可能性を問うた。

三宅氏は、「AIは現実世界が苦手。そこでGoogleは現実世界をデータ化してIngressやPokémon GOを生み出した。監視カメラはAIの目となりうる存在だし、カメラで人を認識するデジタルサイネージなど、AIが現実に入り込むインフラが作られている。ここにもゲームの可能性はある」と回答した。
大野氏は、ゲームデザイナー的視点で「現状のゲームはフィルタリング的な思考が強い」と分析。強い人とタッグを組んだほうが強くなれる、楽しいという状況から、メタAIによってゲーム空間自体を楽しめる方向へ進む、その可能性が見えてきたのではないか、とした。

三宅氏もそれに同意。「ゲームAIはデータマイニング系とエージェント系の2系統がある。データマイニング系はフィルタリングによって有用なデータを導くが、エージェント系はユーザーを導く。エージェント系が進化することによって、エンターテイメントの空間を作りやすくなる」という見解を示した。

 

3へ続く)