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トップクリエイターが解説するアニマル・モデリング-片桐裕司氏出版記念イベント(3)

2017.07.31
 

5月13日、株式会社Too主催による〝片桐裕司氏×『アニマル・モデリング 動物造形解剖学』出版記念イベント〟が開催された。『アニマル・モデリング 動物造形解剖学』は、人体造形・彫刻のテクニックブックである『ANATOMY SCULPTING(アナトミー・スカルプティング)』に次ぐ第2弾だ。
シリーズ第3回では、イベント前半の模様をお届けする。

株式会社Too坂本氏

株式会社Too坂本氏

 

彫刻をデジタル活用するということ

イベント前半では、株式会社Tooのセッションが行なわれた。CG/CADインストラクターでもある坂本氏が、〝彫刻のデジタル活用〟と題して同社の取り組みなどを紹介した。

最初はフィジカル(物理)とデジタルの連動利用について。映画業界での実践としては、アニマトロニクス特撮SFXやモーションコントロールカメラ、遠隔モーションキャプチャー、映像効果のためのものづくり、実写とCGの合成による仮想現実の実現が挙げられた。

これまでも医療や軍事の分野では先端の技術が用いられてきたが、いずれも高額だった。しかしこの10年で「高度なテクノジーが中小民間事業者や個人の手にも届きやすくなった」と坂本氏は指摘した。
価格面で入手しやすくなった機器としては、3Dプリンターや3Dスキャナー、モーションキャプチャー、VRデバイス、ロボット、制御マイコンなどがあるという。

続いて彫刻における、フィジカルとデジタル両面でのアプローチについて語られた。
フィジカル彫刻は、肉眼と両手、好みのツールで調整することができる。自分たちが生きているリアル物理法則のなか、自然体でリアルさを追求して作られるものだ。したがって、ソフトウェアのクラッシュなどを心配する必要はない。
会場では、片桐氏の彫刻制作風景が、タイムラプス映像で紹介された。なお、動画はYouTubeにアップロードされているので、興味のある方は検索、再生してみてほしい。

一方のデジタル彫刻については、「メッシュまたはボクセルデータによる仮想の彫刻」と定義。デジタルならメディアに載せやすく、スペースも少なくて済む。材料費などの心配もない。
坂本氏は、どちらも一長一短であると指摘した。

フィジカルとデジタルを行き来した制作のやり方

それを受けて「フィジカルとデジタルを行き来したやり方」が説明された。使用する機器は物理形状を計測してデジタルモデルを作る3Dスキャナー、デジタルモデルを物理モデルにする3Dプリンターだが、今回は3Dスキャナーに焦点を当てた話へと進んだ。

高精度3Dスキャナーによる彫刻のデジタイズ(形状キャプチャー)例としては、ケイズデザインラボが国内販売を担当するAICON社の『PrimeScan』について、解説が行なわれた。PrimeScanはプロフェッショナル向けの製品で、メーカーの動画で実際の作業の様子が確認できた。
さらに、片桐氏の作品をデジタイズする動画も流された。使用されたのは、片桐氏の映画『GEHENNA』のキャラクター。表面のテクスチャーの凹凸感を読み取ることがポイントだという。

スキャンしたデータの編集と応用ができるツールとして有用なのは『Meshmixer』『Maya』『3ds Max』『Fusion 360』とのこと。Meshmixerは、スキャンデータをソリッド化するのに便利だという。実際にスキャンしたデータでは眼窩など読み取れていない部分があったが、ソリッド化によって3Dプリント可能になる例が示された。

また、初期状態で150~200万ポリゴンだったものに対して、Mayaでリトポロジーを実行。VRなどリアルタイムでのレンダリングに使えるよう、1万2000ポリゴンまで減らすといった作業も解説された。
最後にものづくりへの応用として、〝デジタル型取り〟してフィギュア組み立てキットを量産するといった具体例も示された点が興味深かった。

デジタルアーカイブに利用する

坂本氏は最後に、デジタル活用におけるもうひとつの基本的なメリット〝デジタルアーカイブ〟についても言及。フィジカル彫刻は場所をとるため、アーティストが前進を続けるためには「自分の過去作品と決別していかなければならない」と解説した。
お手本として、片桐氏の流儀が動画で紹介された。こちらもYouTubeにアップロードされたものなので、参考にしてみてほしい。

 

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