Business Technology Conference Japan 2023 イベントレポート

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2023年1月21日(土)、22日(日)に開催された「Business Technology Conference Japan(BTCONJP)」
Tooはプラチナスポンサーとして協賛し、21日(土)に執行役員の福田 弘徳が登壇しました。

今回のレポートでは、Tooの登壇内容や当日配信されたセッションの内容を抜粋してお伝えします。

※2023/03/01追記
運営からイベントのアーカイブ動画が公開されました。
基調講演や招待講演を含む一部のセッションは無償で公開されています。
当日視聴できなかった方や、改めて見直したい方はぜひご確認ください。

2023年1月21日(土) :BTCONJP 1日目

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メディアアーティストとして活躍されている落合 陽一氏の基調講演からスタートしたBusiness Technology Conference Japan(BTCONJP)。
落合氏のセッション後には一般社団法人日本ビジネステクノロジー協会代表理事の岡村 慎太郎氏から開会の挨拶が行われました。

Apple at Workと国内企業の従業員選択制の事例紹

株式会社Too 執行役員 Apple事業開発部 ゼネラルマネージャー:福田 弘徳

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Tooのセッションは岡村氏の挨拶の直後に始まりました。
執行役員の福田 弘徳が「Apple at Workと国内企業の従業員選択制の事例紹介」というテーマでお話しさせていただきました。

冒頭、Macがビジネスに最適であると考えられる理由を述べた後、日本企業でも従業員選択制が進んでいることを紹介しました。
従業員選択制の具体例としては、TooのHP上でも公開されている株式会社サイバーエージェント様サイボウズ株式会社様を挙げさせていただきました。

また、Forrester社のレポートを参考に作成した総経済効果(TEI)に関するブログを引用し、デバイス導入の際に、本体価格だけでなく利用後の残余価値やオペレーションコストなどを合わせて考えるべきであることをお伝えしました。

最後に、ITエンジニアのMac利用状況をお見せし、Macの法人導入における注意点や導入・運用管理に必要なツール、Macの調達から廃棄までライフサイクル管理を支援するあんしんLCMサービスについてお話しして、セッションは終了となりました。

Oktaの管理者権限を適切に移譲してみた

Chatwork株式会社 コーポレート本部CSE部:しもしゃん氏

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Tooのセッションと同時刻には、Chatwork株式会社のしもしゃん氏によるユーザーセッションが行われました。

まず、IdPの管理者とSaaSの管理者が異なる場合、SSO連携やユーザーへの利用者権限付与が大変になることが語られます。

Chatwork株式会社では、OktaのApplication Administrator、Group Membership Administratorを事業部門の担当者に権限付与することで対応しているそうです。
また、Okta Integration Networkでアプリの作成編集権限を渡すケースもあるとのことでした。

この運用について重要なポイントとして、情シス部門と事業部門の間で信頼関係を構築するという点を挙げていたのが印象的でした。

セキュリティによるビジネスイノベーション - ゼロトラストの次の世界

日本マイクロソフト チーフセキュリティオフィサー:河野 省二氏

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1日目のゲストセッションには、日本マイクロソフトの河野氏が登壇されました。

最初に、CISSP(セキュリティ プロフェッショナル認定資格制度)の基本的なスタンスである「セキュリティはコスト」という言葉を紹介し、セキュリティにコストをかけることで仕事に回せる時間が増えることを語りました。
どうしても売り上げを向上させるための投資に目が向いてしまいがちですが、セキュリティにあらかじめ投資をしておくことで、新たな攻撃の際に予算外の出費が発生しないといいます。

さらに、どんな攻撃にも対応できるような環境を作っておくために、サブスク型のセキュリティソフトを活用することお勧めされました。
ゼロトラストの真の目的も、ファイルを守ることではなく、攻撃のされない(脆弱性のない)環境を作ることであると話されました。

ビジネスを伸ばしていくことと、セキュリティにコストをかけることの相関性について考えさせられたセッションでした。

2年で10→70人へ!スタートアップの情報セキュリティ課題と施策

株式会社カミナシ コーポレートチーム:小林 美絵氏

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株式会社カミナシの小林氏のユーザーセッションでは、スタートアップ企業で人数急増に伴い、社内環境を整備していった話が語られました。

2年前の2021年1月頃には、まだ正社員も10-15人程度で、好きなPCを調達できたり、各チームの判断でSaaSを契約していたりと、カオスな環境であったそうです。
まずは、支払い方法の一元化、PC購入やアカウント付与のポリシー策定を進めるところから始められました。

正社員が20-30人になった2021年11月頃には、デバイス管理のツールとしてJamf Proを導入されました。
小林氏にとって、Jamfの導入は情シスの手間を省く革命的なものであったといいます。

2022年4月には、正社員も30-50人ほどになります。
新卒採用が始まったことで、今までなんとなくで運用していたことが通じなくなってきました。
このタイミングで契約しているSaaSの整理やパスワードマネージャーの導入など、明確なルールが定められるようになったそうです。

そして今では正社員も50-70人になり、Windows PCの廃止やBoxの導入など、社内環境の整備も引き続き行われているとのことでした。

IT原野の100年企業が10年で大変身した話

株式会社マキタ 情報企画部 部長:高山 百合子氏

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株式会社マキタは創業113年目を迎える製造業で、情報企画部の高山氏から大企業ならではの苦悩や取り組みについて語られました。

高山氏は元々事務員として入社されましたが、Excelマクロを扱えることからIT雑務が回ってきたといいます。
会社に専任の情シスがいないことを問題に感じ、自ら専任の情シスになるべく打診を行います。
しかし大企業であるがゆえ、経営陣までの距離も遠く、新しいイノベーションを起こすのに時間がかかったそうです。

諦めず直談判を続け専任の情シスになった高山氏は、10年間で会社にITの重要性を気付かせました。
特に、基幹システムの再構築や、コロナ禍における在宅勤務への移行の影響が大きかったといいます。

最後に述べられた「動けば変わる。動いて変える。」という言葉が印象的でした。

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1日目のクロージングセッションは、以前Tooが主催で開催したウェビナー「IT Surf」にも登壇いただいた株式会社サイカの長谷川 真氏が務められました。

全編オンラインで配信されたBTCONJPでしたが、Zoomは視聴者からのリアクションで溢れ、和やかな雰囲気で1日目が終わりました。

2023年1月22日(日) :BTCONJP 2日目

デジタル変革を勝ち抜くための企業競争力の方向性

経済産業省 商務情報政策局・情報経済課長:和泉 憲明氏

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BTCONJPの2日目は経済産業省の和泉氏の基調講演から始まりました。

経済産業省が、デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書として作成している「DXレポート」の策定意図と、現在策定中の最新版に向けて企業が「DX」をどう考えていくべきかについてお話しされました。

DX人材を若い人に任せるという方針の企業もあるかもしれませんが、年齢に関わらず自社の経営や市場を理解している「アタマの柔らかい」人を登用すべきと和泉氏はいいます。
DXの具体例としてパリの地下鉄の例を挙げつつ、長期的な目線で、生まれる効果や市場、社会に与える影響を考えることが、DX推進において重要なポイントであると語られました。

続いて、コロナ禍において情報サービス業全体が受けた影響についてお話しされました。
多くの業界が打撃を受ける中、情報サービス業全体の売上高は伸びていたことから、コロナ禍においてIT投資が止まらなかったことを示されました。

さらに、変化に即応している企業の要件は「経営者がITを使いこなすこと」と語り、データ活用の重要性についての説明へと移ります。
スマホアプリから顧客の動線を可視化し、売上向上のために仮説と実証を繰り返すことで成功した例を挙げ、デジタル変革の時代に企業が勝ち抜くためには、「市場と対話すること」が重要であると述べられました。

霞ヶ関情シスのお仕事

文部科学省 大臣官房 政策課 サイバーセキュリティ・情報化推進室 室長補佐:福井 孝典氏

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続いて、文部科学省の福井氏のゲストセッションが始まりました。

情シス界隈の方とお話をすると、霞ヶ関の情シス事情に興味を持たれる方が多いとのことで、実際に文部科学省の情シスとして取り組んだことを紹介されました。
「決して先進的ではないですが、地道に一つずつ取り組んでいます」という言葉通り、福井氏自身も課題感を切に感じて、システム改善に取り組んでいることがわかる内容でした。

政府機関ならではのレギュレーションもあり、特に2年に1度変更が発生する政府CISOラインのプロトコルに準拠し続けるのが大変とのことでした。

誰も取り残さないサイバーセキュリティ」をテーマに据え、どこでも仕事ができる/IT活用による業務刷新/BCP・セキュリティ強化を3つのコンセプトとして、新システムを選別・導入されました。

また、官僚の方々に喜ばれたのが、Teams等を使った共同編集。
何度もメールを往復する手間がなくなり、業務改善につながったそうです。

システムを検討する中で、クラウド製品やゼロトラストについては自分で勉強するしかなかったといい、「情シスの皆様、一緒に頑張りましょう!」という一言で締められました。

SmartHRからOktaへのSCIM連携で作り出す、HRドリブンのアカウント管理

株式会社hacomono コーポレートグループ 情報システムチーム:遠藤 和也氏

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株式会社hacomonoの遠藤氏のユーザーセッションでは、SmartHRの人事情報をOktaに連携できるようになった話が語られました。

連携の際はまず、これまで部署単位で作成していたOktaグループをHR組織図と同期します。
チーム単位のグループや部署×雇用形態のグループを作成し、Group-Ruleを整備、条件を満たせば該当のGroupに自動で追加される仕組みを作ります。
そして、Google Workspaceとslackを利用し、各部署の責任者と一緒にグループのメンバーを整理。
部署に対してVaultsの権限を設定することで、1Passwordのセットアップが完了した時点から業務に必要な情報だけが閲覧可能になりました。

頻繁な組織改編への対応や、兼務の場合に手動でOktaのGroup付与が必要となるなど、課題や注意点はあるものの、連携があることで従来の入社対応作業の6割がなくなったそうです。
異動対応はSmartHRの変更だけで済むので更に楽になったと語られました。

Azure ADによるパスワードレス運用 ~ 従業員がパスワードを知らない世界

株式会社ペイジェント 情報システムグループ グループリーダー:鈴木 直文氏

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IdPとしてAzure ADを使用している株式会社ペイジェントの鈴木氏は、ユーザーセッションでパスワードレスな運用についてお話しされました。

鈴木氏が、パスワード自体を無くしたいと考えたのは、一般的なAzure ADのパスワード運用ではパスワードポリシーを満たしていても覚えやすく、類似したものに設定される可能性があり信用できないと考えたからです。

あえてゼロタッチ導入にこだわらず、キッティングを情シス側で実施、条件付きアクセスの設定をすることで、パスワードレス運用を可能にしました。
パスワードレス運用により、従業員はパスワードを覚える必要がなくなり、MFA(多要素認証)の数字入力の手間が減るというメリットが生まれました。
また、情シス側もセキュリティ強度を一定に保てる上に、個別対応の手間が減ったとのことでした。

まとめ

今回が第一回の開催となったBTCONJP。
無料で視聴できるイベントとは思えないほど豪華なセッションばかりで、とても勉強になる内容でした。

当日Tooが発表した内容に関するご不明点、その他Apple製品の導入・運用管理に関するご相談など、気になることがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!

記事は2023年1月30日現在の内容です。

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