アニメータードラフト会議

アニメータードラフト会議 特別講評会 〜東映アニメーション株式会社〜



「アニメータードラフト会議」は複数のCGプロダクションに一括で就活アプローチできる、アニメ制作を目指す学生のための動画コンテストです。2015年よりスタートし、毎年多くの採用実績が出ています。今回は、第三回アニメータードラフト会議経由で採用が決まった東映アニメーション株式会社の若手アニメーターと採用担当者にご登壇いただき、課題への取り組み方や評価ポイント、採用後の活躍などをお話しいただきます。

登壇者

加藤康弘氏
東映アニメーション株式会社製作部CG製作室CGアニメーション課 課長

香月誠亮氏
東映アニメーション株式会社 CGアニメーター


左から加藤 康弘氏、香月 誠亮氏




東映アニメーション株式会社について

東映アニメーションについて簡単にご紹介します。アニメーションを制作し、その映像を各種メディアに販売します。同時に、作品の著作権、版権事業関連の事業も営んでいます。海外でも同様のビジネスを展開しています。代表的な作品としては、「ドラゴンボール」「ワンピース」「プリキュア」などがあり、多くのコンテンツに携わっています。



また、われわれが所属しているCGアニメーション課、通称アニメーションセクションでは、総勢43名が在籍しており、その内7名がアニメーションドラフト会議の出身者です。現在インターンシップ参加者と入社予定の方を含めると9名になります。

アニメータードラフト会議の印象について(加藤さん)



応募者の印象

自発的に行動されている学生が多い印象を受けます。 ドラフト会議は「好きな企業を逆指名すること」ができます。そういった工夫も応募者が応募者に積極的になれた一因なのかなと思います。入社後の仕事ぶりや作品からも感じられます。アニメーターの仕事は、シチュエーションやキャラクター性を考え、絵コンテを描いた演出さんの意図を汲み取って、アニメーションをつけていきます。

ドラフト会議出身者は、演出さんの設計図を読み取るのはもちろん、自らのアイデアを盛り込んで、演技プランを提案してくれる方が多いと感じます。

プライベートでも自主制作を続けている方も多いです。普段の仕事だけでなく、プライベートでも続けるのは意外と簡単なことではありません。さらに、CGアニメーターはチームで動くことが多いのですが、自分の管轄範囲内ではないエラーなども見つけたり、改善方法を提案したり、チームに貢献しています。

課題について

ドラフト会議用に作られているため、CGアニメーターの基礎力を評価するのに非常にいい課題コンテだと感じています。CGアニメーションはレイアウト、プライマリーアニメーション、セカンダリーアニメーションと3段階の行程で作られるのですが、レイアウト一つとっても、評価するポイントがカットごとに散りばめられているように感じます。

課題をどう読み解くのか?

今回、香月さんが応募者として参加した第三回の絵コンテを見ていきたいと思います。



左側の列は、監督や演出がどういう映像にしたいのかを描いているコマになります。
右側にト書きと呼ばれる箇所にシチュエーションの補足説明が書かれています。さらに一番右にある○は、1カット何秒で作るかという尺が大体記載されます。例えば、現場では1プラ0で書かれていることが多いです。アニメーション業界は1秒間24枚です。1プラ12と書いてあると、1秒半になります。課題の絵コンテでは、空白になっているため、自分でカットの尺を決めて良いという意味になります。とても自由度が高く、応募者の力量が試されるコンテです。

課題をどう読み解くのか?制作者からの視点(香月さん)

香月さん:課題コンテを読んだ第一印象は、コンテへの理解力と、それを作品に落とし込む技術力が試されていると感じました。その上で、自分の個性を出して面白味を足していくのが評価されると思いました。応募者全員が同じ課題に取り組むため、何か違いがあった方がいいと思いました。制作段階では、メリハリある動きを表現したかったので、好きなCG映画のカメラの動きをたくさん参考にしました。今見返すとひどいものですが(笑)、どんなカットでも少しでも面白いものにしようと意識したことが、結果に繋がったと思います。



課題をどう読み解くのか?評価者からの視点 (加藤さん)



この課題をぱっとみた時、全体的にキャラクターアニメーション、ポージング、構図やカメラワークなど一通りのアニメーションスキルが網羅されている課題だと思いました。序盤コインが落ちるところの物理法則、最後のフラッグを取ろうとするカットでのスローモーションの誇張表現やポージングなど各カットで見せるべき内容がしっかり設計されていると感じました。



例えば、Cut3です。
コインが落ちた後、起き上がり、振り返った上で、下手側の画面奥に向かって走り出す、という3つの動きが入っています。難易度の高いキャラクターアニメーションのカットです。このカットをどういう風に調理するのか見たいと思いました。また、足先が見えないところが自由度の高いコンテだなと感じました。自分の苦手なところを見せないようにすることも実はレイアウトでできるようになっています。



次ににCut5です。
余白があるコンテで、今回のビーチフラックスのアクションの見せ場カットになっています。カメラワークとアクションを両立させながら、どのように格好良い映像として調理するのかが見所です。

香月さんの課題作品について(加藤さん)

香月さんの作品は、キャラクターアニメーションのクオリティが高かったです。海外アニメーションが好きで、キャラクターを魅せたい人なんだろうなということが作品をみて伝わってきました。

Cut3について



難易度が高いアニメーションカットなのですが、あえてコンテに含まれていないつまずく演技を自ら足しているというところに「うぉ〜!」となりました。
それが青い人から始まる次のカットにちゃんと繋がっていますね。赤い人がつまずいて遅れたから、自然に次のカットで赤い人が遅れて入ってくることになります。
ぱっと考えたアイデアというよりもちゃんと考えてきたのが伝わってきました。

Cut5について



2Dアニメーション的な捉え方と実写から考える3Dアニメーション的な捉え方の2つのアプローチの仕方に分かれます。
香月さんは後者でした。「踏み込んでジャンプしてキック」のアクション部分ではカメラのスピードはそのままでキャラクターが遅れていきます。画面の中のキャラクターの比率がだんだん小さくなっていき、余白が生まれます。余白を利用して大きくキャラクターを動かしていくところはよく考えられているなと感じました。

加藤さん:その他何か力入れたところありますか?

香月さん:最後の決めポーズは、少しギャグっぽい表現にしたかったです。今見るともっといい感じで伝えられたかなと思いました。

ドラフト会議経由での採用プロセスについて



逆指名をしてくださった方全員のムービー審査から始まります。

例えば、2021年は、マネージャーの私と、アニメーターセクションのSV(スーパバイザー)2名、合計3名で審査をしました。当時、指名いただいた63名全員分のムービーを3人でチェック、それぞれ審査した結果を持ち寄り、審査結果をまとめました。

次にムービーの審査を通過した方々へコンタクトを開始いたします。2021年では6名にコンタクトしました。それを経て、採用面談をはじめます。



応募(指名)と採用した理由

応募した理由(香月さん)

CGのアニメーションの映画が本当に好きで、東映アニメーションのフル3D
映画『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』を見て、アニメーションに関わりたいと思って応募しました。

採用した理由(加藤さん)

当時、香月さんの面談を担当させていただきました。
ドラフト会議や学校の課題のアニメーションの出来はもちろんの事、「自分自身で調べ、考え、アニメーションを作る」という姿勢が最大の決め手です。具体的にどうしたら作れるのかを、好きな海外CGアニメーションやCGアニメーターの作り方を参考にしながら、考え、試行錯誤して個人作品に詰め込んできた過程を面談でお聞きしました。ポートフォリオを拝見した際、感心した記憶があります。そこで採用に繋がりました。

採用後の活躍



入社後初めて参加した作品

『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』
セルルック、リミテッドアニメーション作品のセカンダリアニメーションを担当しました。

2つ目の作品

「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」 リアルルック、フルアニメーションのTVシリーズ作品です。レイアウト〜セカンダリアニメーションまで担当しました。話数を重ねるたびに担当カットの難易度の難易度、カット数も増えながらも、どんどんスキルも上がりカットのクオリティも上がっていき、期待の若手CGアニメーターになりました。

香月さん:レイアウト〜セカンダリアニメーション一通りやって、かなりのカット数をさせてもらいました。かなり力をつけた時期だと感じています。最初のカットと終盤のカットでは自分でもはっきり違いがわかります。



3つ目の作品

「ヒーリングっど♥プリキュア」前期ED
セルルック、フルアニメーション(キャプチャーベース)TVエンディングです。
ダンサーさんが踊ったモーションキャップチャーデータを使用します。
同じくレイアウト〜セカウンダリまで担当。今作ではモーションキャプチャーのデータをそのまま使うのではなく、カットに合わせた調整も必要になってきます。

香月さん:モーションキャプチャーベースだったので、キーポーズを揃えていく作業がありました。初めてやってみて、段々と身についていきました。今までは自分で動きを考えてきたのですが、この作品で初めてキーポーズを意識し始めました。モーションキャプチャーで撮ったデータをどこで使えばいいのか探さないといけなかったので、かなり難しいと感じました。

現在

映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』
セルルック、リミテッドアニメーションの劇場作品、所属チームの中でもエースクラスとして大活躍!この作品では、プロダクションの最初から最後まで参加されて活躍されました。

香月さん:大好きな作品なので、参加できてうれしかったです。

加藤さん:そこですか(笑)

香月さん:この作品はポージングをしっかり見せる作品なので、そこの部分で成長できたと思います。リミテッドアニメーションとフルアニメーション、動きとポージングで考えるのはかなり違うので、ちゃんとやっていこうと(笑)

加藤さん:リミテッドアニメーションは一枚絵をフルアニメーションより3倍の時間で人に見られます。一枚の絵をちゃんと考え、ポージングが非常に大切ですよね。香月さんのカットも予告編の中に入っています。

最後に一言



香月さん:ドラフト会議の取り込み方、今ある技術力の中で何か工夫してやっていけば、あがけば、よい結果に繋がることと思います!

加藤さん:今年ドラフト会議に参加される方、東映アニメーション逆指名の方よろしくお願いします。