「会社規模を10年で30倍にするには」セミナーレポート | イベント・キャンペーン | 株式会社Too

Too主催の特別セミナー「.design surf seminar 2016 - デザインの向こう側にあるもの - 」が、2016年10月12日に虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区虎ノ門、虎ノ門ヒルズ森タワー4F)で開催されました。

これからの時代にデザインの業界はどのように動いていくのか、いまデザインビジネスの最前線ではどのようなことが重要なのか、それらの答えを見つけるヒントとなるセミナーを9本用意いたしました。

本レポートでは、株式会社サンジゲンによる「会社規模を10年で30倍にするには」について紹介します。

気鋭のアニメ制作会社における、成長の歴史とは

本セミナーをご担当いただいたのは、株式会社サンジゲン代表取締役、兼、株式会社ウルトラスーパーピクチャーズ代表取締役の松浦裕暁氏と、株式会社サンジゲン システム・開発部部長の金田剛久氏のお2人です。

株式会社サンジゲンは、成長著しいアニメ制作会社です。東京本社の他、京都と福岡にもスタジオを所有しています。2006年の設立当初は6人のスタッフしかいませんでしたが、現在は150名を超える大所帯に。人員規模的には30倍の拡大です。

今回は、そんなサンジゲンの成長過程において、社内で展開されてきた規模拡大のための試みを、当事者であるお2人が解説してくださいました。

設立当初から、社員数が30名程になった4年目ごろまでは、松浦社長自身を含むクリエイターの方々がシステム担当も兼任し環境を整えていました。コストを下げる目的で、多くの自作PCも導入されていたそうです。

金田氏が入社した2010年ごろ、社内の状況は大きく変わり始めます。「アニメーターが制作作業をするより、システムを管理するほうが多かった」(金田氏)という環境の中、まずはカスタマイズPCを撤廃し、保証付きのメーカー製ワークステーションに変更。強くなかったサーバー環境も増強し、スムーズに仕事ができるように整備を進めました。

金田氏いわく、松浦社長がその時点で大きな投資を決めたことが、少々意外だったそうです。

「1万円程度の出費もなかなか通してくれない予算にシビアだった社長が、150万円の投資をしたことにびっくりしました」(金田)

そこには、会社の規模を拡大していくための、松浦社長の決意と思惑があったようです。

「サンジゲンを立ち上げた時に掲げた『テレビ番組を自分たちだけの力で作る“元受け”になる』という目標を具体的な形で実行するタイミングだと思ったんですね。金田が入って来た段階で将来的な展望が見えてきて、どうせ投資するなら、2年後、3年後を見据えるべきだと思いました」(松浦社長)

会社の物理的スペースも、時を追うごとに広げられていきました。最初はプレハブだった社屋が、隣のビルに移り、1フロアから2フロアへ増床。パーテーションで区切っただけだったサーバースペースも、独立したサーバールームへと移行。サンジゲンは着々と規模を拡大していきます。

正しい成長は、インフラ整備だけでは成し遂げられない

社員数が増え、作業規模が大きくなればなるほど、不具合は起こりやすくなります。それは、作業スペックが不足してくるというだけではありません。セキュリティの問題もあります。さらには、制作管理の部分にもトラブルが生じるようになってきました。

「サンジゲンでは、2013年に制作ワークフローの見直しをはじめ、2014年秋から業務サービスのシステム開発に着手しました。そのころになると、システム部にそれまでまったくなかった『ヘンな依頼』が増えてきていました。『ファイルのサルベージをして欲しい』『外部に大きなデータを送りたいのだけど』……。当初はなぜそのような依頼があるのがわかりませんでした。突き詰めて調べてみると、作業中にイレギュラーな手法が用いられていたり、スタッフ間のコミュニケーションが不足していたり、という原因があることがわかりました」(金田氏)

拡大、進化させなくてはならないのはインフラだけでなく、制作管理のためのシステムでした。仕事の規模が増えてきたのであれば、規模に見合った最適な管理システムも必要であるということです。

「人数が増え、部署も増えれば、当然コミュニケーションも煩雑になります。そんな環境下では、記憶もおろそかになるし、各人が思い思いのフォーマットでデータを管理し始めたりもする。それではヒューマン・エラーは防げないんです。だからこそ、私たちは制作を管理するための独自システムも開発しました」(松浦社長)

このように度重なる試行錯誤を経て、わずか6名でスタートしたサンジゲンは、自社内でアニメ制作のすべての行程を完遂できる企業になりました。

当然のことですが、適切な投資をし、規模を拡大するごとに、大きな仕事の依頼にも柔軟に対応できるようになります。松浦社長や金田氏が、インフラ整備だけでなく、制作管理システムの強化を試みたように、問題点が発生すれば、速やかに処置をする、そして、全体の業務フローのバランスを常に監視し、効率よく仕事が進められる環境を維持する、ということでリスクを回避しながら、規模を拡大していくことは十分に可能なのです。

「会社規模を10年で30倍に成長させる」のは、そう簡単なことではないでしょう。ただ、正しいヴィジョンに基づいた適切な投資を進めれば成し遂げられるということを、サンジゲンが身をもって示してくれています。

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