今、製造業にデータインテグリティが求められている背景

近年、食品や医薬品、自動車関連などのさまざまな製造業においてデータ偽装や試験結果の改ざんなどのニュースがたびたび報じられるようになりました。

一般的に、ある製品が工場で生産され出荷に至るまでには、複数の試験工程があり、そこには複数の人が介在します。 それぞれの工程には生産効率、歩留まり、納期などのプレッシャーがあり、本来確保すべき品質よりも、ラインを順調に流すことを優先してしまうケースがあります。その結果、都合のよい試験結果だけを記録したり、不都合な数値を改ざんするといった不正が起こってしまいます。

そして、このような不正行為は発覚するとたちまちニュースやSNSで拡散され、ブランドイメージを著しく傷つけるとともに、消費者の信頼を失う原因にもなりかねません。
これは日本のみならず世界中で発生している問題です。

データインテグリティとは?

データインテグリティとは、もともと情報処理の分野で使われる用語で「データの完全性」と訳されます。『すべてのデータがそのライフサイクルを通じて完全で一貫性を保ち、正確であること』を意味しています。

製造業の中でも、とりわけ厳しい品質管理が求められる製薬業界においては、医薬品の品質を確保し利用者である患者の安全を守るために、データを適切に管理運用する必要があります。そのためにさまざまなガイドラインが定められています。
例えば、MHRA(イギリス医薬品庁)、FDA(アメリカ食品医薬品局)、PIC/S、WHO等の規制当局からデータインテグリティ関連のガイドラインが発行されています。

ALCOA原則に遵守しなければならない

データインテグリティを実現するうえでは、遵守すべき基本原則が定義されています。原則は9種類あり、各原則の一部の頭文字をとって「ALCOA原則」、または「ALCOAプラス」と呼ばれます。
製薬業界でのデータインテグリティでは、この「ALCOA原則」(およびCCEA)にそったデータであることが求められています。

Attributable(帰属性)

データの作成者、更新者等の帰属が特定できること

Legible(判読性)

すべての記録が読み取り可能で理解できること

Contemporaneous(同時性)

作業や事象の発生と同時に記録されること

Original(原本性)

最初に記録した原本か、原本と同内容のコピーであること

Accurate(正確性)

データの正確性が保証できること

Complete(完全性)

事象の再現に必要な全ての情報が揃っていること

Consistent(一貫性)

すべての記録がその生成から保存プロセスをとおして欠損や不整合がないこと

Enduring(永続性)

要求される期間において全てのデータが管理保存されていること

Available when needed(可用性)

いつでもアクセスでき記録を閲覧できること

データの管理を万全にし不正が起きにくい体制づくりを

データインテグリティの概念が示され、また遵守すべきガイドラインが示されてから数年が経つ現在においても、FDA査察における違反指摘の多くがデータ管理不備に関するものであり、未だデータインテグリティへの対応が不完全であると言えそうです。
また、データ管理の不備は改ざん等の不正行為にもつながりかねません。さまざまな製造業(食品/飲料/自動車等)において、今後データインテグリティに準じたデータ管理が求められるようになることも想定しておくべきでしょう。

資材の校正・検査にもデータインテグリティへの対応が必要です

医薬品そのものの製造に関する工程はもちろんですが、昨今では関連する包材や添付文書などの資材管理においてもデータインテグリティへの対応が広がっています。
しかし、製品にまつわる印刷資材の多くは見本との比較チェックや改訂時校正を人による“目視”でおこなっているのが現状です。その判断は人に委ねられており、チェック記録の管理も不正を生じさせないものとは言い難いのではないでしょうか。

製薬業界にも対応できる印刷資材の校正/検査を効率化するツールの登場

最近では、印刷資材の改訂時検査や受入れ検査を、デジタル化することによって、校正業務を大幅に効率化している企業も多くなっています。精度も高く、見落としがちな間違いも正確に違いとして指摘してくれるので、ミスをなくすことができます。
さらに検査記録の安全な保管や、そのデータを改ざんできないようなデジタル校正(検査)ツールも登場してきています。


製薬会社向け 印刷資材校正検査システム「HallmarkerDI」

Hallmarker DIは製薬会社に求められるデータインテグリティに対応できる印刷資材校正検査システムですデータやアカウントはすべてサーバーで一元管理。データ漏洩や改ざんを防ぎます。

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データの改ざんを防ぐには、その管理機能が重要です。検査をする人は検査だけをおこなえるようにし、保管されたデータには一切触れられないなど、ユーザーの権限を細かくコントロール/管理できることが重要です。また、データ自体を暗号化し、安全な場所に保管しておくなどの環境を構築しましょう。

医薬品等の印刷資材の校正/検査を効率化し、さらにデータインテグリティにも対応できる体制を整えたいとお考えの方はぜひ株式会社Tooにご相談ください。



課題や疑問をお持ちでしたらお気軽にご相談ください。


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