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ビジネス環境においても行政手続きに関してもデジタル化の遅れによる業務効率の悪さが問題となっており、改善に向けた取り組みが盛んになっています。例えば、政府が2019年に国会への提出を決めているデジタルファースト法案などはその典型的な例と言えます。今回は、電子書類に法的な効力を持たせ、コストの削減や業務効率の向上といったメリットをもたらしてくれる電子署名について、概要や活用例などを紹介します。

電子署名の概要

電子署名の概要と電子署名に関する法整備、日本での電子ガバメント化に向けた動きについて紹介します。

電子署名とは

電子署名とは、デジタル文書における署名のことで、紙ベースの書類における印鑑のような役割を果たすものです。インターネットでの契約には、日本独自の商習慣である捺印(署名)ができないことやセキュリティ面の課題がありますが、これらの課題や不安を解消する方法として電子署名が浸透し始めており、法的・技術的にも環境の整備が進んでいます。

電子署名法の概要

2001年4月に、「本人による一定の電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する」という電子署名法が施行されました。電子署名をすることによる電子契約の有効性が法的に認められるということです。電子契約により書類のやり取りの迅速性が増し、業務効率化やコスト削減などのメリットが生まれます。またe-文書法により、法的に保存義務のある書類についてもデジタル化(=ペーパーレス化)が認められています。

デジタルファースト法案の概要

紙の書類を廃止し、行政手続きを効率化するために手続きのすべてを電子化する「デジタルファースト法」の施行が検討されています。紙ベースでの書類作成、添付書類の提出、捺印などの撤廃や電子化のための環境整備を目指しています。
背景として、諸外国と比較した際に見られる日本の電子ガバメント化の遅れが挙げられます。デジタルの活用ではなく電子を「原則」とする従来よりも踏み込んだ法案の制定と運用が期待されています。現在、電子ガバメント化の遅れ、ビジネス環境の悪さが問題視されており「電子ガバメント化推進」の一環としてデジタルファースト法案が注目されています。

電子署名の4つの活用例

電子署名は、NDA(秘密保持契約)、企業間契約、営業日報などの業務記録、電子申請、海外との契約などに利用されています。用途ごとに電子署名の活用例について紹介します。

NDA(秘密保持契約)・企業間契約

電子契約でNDAや企業間契約を行った場合、書類郵送のやり取りが不要になり契約に関わるさまざまな業務をスピーディーに取り交わすことができ、電子契約の安全性・信頼性を高め、法的な効力を持たせることができます。また、ペーパーレス化を実現できるため、以下のようなメリットがあります。

  • コスト削減(書類郵送代・印紙税、書類保管スペースが不要になる)
  • BCP対策(バックアップを取得することで、災害に見舞われた際でも契約書データの紛失や消失が避けられる)
  • 検索の容易性(データ管理が行えるため、過去データの検索、閲覧が容易に行える)

営業日報・業務記録

営業日報や法律で規定された教育記録の書類についても電子化が進んでいます。紙ベースでの運用負荷の大きさ、複数の担当者によるチェック・捺印による時間のロスや紛失リスク、手書き書類であるため書類の作成日の保証がないなどの課題に対して、管理者に電子証明書を発行することで解決を図ることができます。また、スタッフが全国の拠点に分散している場合でも、本部にてワンクリックですべての記録をチェックできるため、管理のしやすさも向上します。

電子申請

商業・法人登記、所得税・法人税・消費税の申請、特許の出願、その他地方自治体に関する申請などを電子申請することもできます。その場合、窓口に出向く必要がなく、不備などの修正がスムーズに行えることなどから、時間や業務負担を大きく軽減できます。こうした電子申請の際の署名にも電子署名が有効です。

海外企業との企業間取引

電子契約は、海外企業との取引においてもメリットがあります。海外企業とのやり取りは、国内企業同士の契約以上に書類送付のコストや時間がかかりますが、電子化することでそれらのデメリットを改善できます。海外企業との取引の際に心配になるのが訴訟をはじめとしたトラブルですが、「電子商取引法」によって環境整備が進められています。事前・事後の対処法をあらかじめ確認しましょう。

電子署名の仕組み

電子書類の安全性を保証してくれる電子署名の仕組みについて紹介します。

電子署名の仕組み

まず電子文書作成者側にて、電子文書から「ハッシュ値」を暗号化します。ハッシュ値とは、元データから一定の計算手順によって求められた規則性のない値のことです。同じデータからは必ず同じハッシュ値が得られる一方で、一ヶ所でもデータの改ざんがあった際にはハッシュ値は異なる値を示します。また、ハッシュ値から元のデータを復元することはできません。この暗号化されたハッシュ値が電子署名に相当します。   データの受け手は電子文書と電子署名の鍵を必ずセットで受け取ります。そして電子署名からハッシュ値を復号し、電子文書のハッシュ値と照らし合わせることで、書類データが送信者の作成した改ざんされていないデータであることを確認できます。

公開鍵暗号方式とは

公開鍵暗号方式とは、「秘密鍵」と「公開鍵」の二種類の異なる鍵を使用することで文書を暗号化する方式です。

一般的な暗号化

一般的に公開鍵暗号方式で文書を暗号化する場合、暗号化の際に公開鍵を使用し、復号の際に秘密鍵を使用します。こうして二種類の鍵を使用することで、複数のユーザーが個々にデータを暗号化する場合でも、鍵を開くことができるのは秘密鍵だけなので安全性が保たれます(秘密鍵でしかデータを復号できないため)。

電子署名への応用法

電子署名の場合には、一般的な暗号化の場合とは逆にハッシュ値の暗号化の際に秘密鍵を使用し、復号の際に公開鍵を使用します。電子署名を安全に管理するには、秘密鍵の確実な管理が必要不可欠です。

公開鍵基盤とは

公開鍵基盤(PKI)とは、公開鍵の持ち主が誰であるのかを明確にし、保証するためのデジタルデータです。公開鍵基盤には、定められたフォーマットに持ち主の情報と公開鍵のデータが記されています。公開鍵証明書の発行の申請や手続きは、認証局という第三者組織が行います。
公開鍵基盤を活用することで、以下のセキュリティが確保されます。

電子文書の発行が正当な本人であることを実証

公開鍵基盤を利用しない場合、公開鍵をすり替えられる可能性があります。公開鍵基盤でデータの作成者が誰であるかを第三者により実証されます。

否認防止

公開鍵基盤でデータ作成者が明確になるため、後になってからデータ作成者が「電子署名のデータを作成したのは自分ではない」と言い逃れをするのを防ぐ効果があります。

ペーパーレス化には電子署名の活用が有効

法整備により法的に効力が認められる電子文書の幅も広がっています。それに伴って、電子署名のニーズも高まっています。電子署名を活用することにより、企業間取引や行政手続き、電子申請などさまざまな場面で書類をペーパーレス化することができます。活用例を参考に、ぜひ電子署名導入の必要性やメリットについてご検討ください。