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働き方改革が進むなかで、重要な位置付けを占めるのがテレワークです。在宅勤務をはじめとしたテレワークをうまく活用することにより、企業にも従業員にもさまざまなメリットがあります。今回は、テレワークの概要やメリット・デメリットを確認し、導入するためのプロセスや押さえておくべきポイントについて紹介します。

テレワークとは

テレワークの概要や、近年の日本国内での導入状況について紹介します。

テレワークの定義

tele=「離れたところで」work=「働く」という意味のテレワークは、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義されています。オフィスに出社しなくても仕事ができる柔軟な働き方を確保することは、育児や介護を行う一部の従業員のための福利厚生だけではなく、会社全体の働き方改革を実現するための重要な方法として期待されています。

テレワークのスタイル

テレワークには主に以下の3つのスタイルがあります。

在宅勤務(部分在宅勤務)

従業員がオフィスに出社せず(あるいは出社回数を制限し)自宅で働く勤務形態です。育児や介護が必要なスタッフによく利用されています。

モバイルワーク

移動中の電車内やカフェ、コワーキングスペース、顧客先などを就業場所とする働き方です。顧客との商談などオフィス外での業務が多い従業員(営業スタッフなど)は、いったんオフィスに戻って仕事をするよりもモバイルワークのほうが効率よく仕事を進められます。

サテライトオフィス勤務

従業員の自宅近くや顧客先近くの施設をテレワーク場所として活用する働き方です。通勤時間を短縮できる、トラブル時にいち早く顧客先に駆け付けられる、などの点から生産性を高めることができます。

テレワークは働き方改革の実現のための重要な位置付け

働き方改革実現会議が公表した「働き方改革実行計画書」には、働き方改革実現のための9つのテーマが掲げられています。そのうち「柔軟な働き方がしやすい環境整備」と「女性・若者が活躍しやすい環境整備」はテレワークとの関連が非常に強く、テレワークは働き方改革実現のための重要な位置付けを担っています。

テレワークの導入状況

テレワークへの関心や取り組みは各企業でも高まりつつありますが、現状はまだ黎明期という段階です。2017年の総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」によると、テレワーク導入済みの企業は、従業員301人以上の企業で20.4%、従業員数101~300人の企業で6.3%です。従業員数が多い企業ほどテレワーク導入の取り組みが進んでいる傾向がありますが、従業員301人以上の企業でも「導入する予定はない」「テレワークに適した職種がない」が過半数を超えるなど、まだまだ環境の整備や理解度の向上が必要な状況です。

テレワークのメリット・デメリット

働き方改革の実現において重要になるテレワークのメリット・デメリットを、企業側、従業員側のそれぞれの観点から紹介します。

企業にとってのメリット

企業がテレワークを活用するメリットは以下のとおりです。

人材の確保・離職抑制

育児や介護と仕事の両立を考えている人材を確保したり、引き止めたりするためにテレワークの活用が有効です。前述の「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」におけるテレワーク活用と従業員数の増減(直近3年間)に関するデータによると、テレワーク未導入企業では0.6%の従業員減となっているのに対してテレワーク導入企業では12.1%増となっています。

業務プロセスの革新(生産性向上、ペーパーレス化、情報の共有化)

テレワーク導入をきっかけに、情報の共有やペーパーレス化への対応など業務プロセスが整備されます。新たなツールの導入や業務フローの改善などにより、生産性の向上につながります。

コストの削減

オフィスを拡張せずに人員を増やすことが可能なことや交通費の支給をしなくても済むことなどから、コスト削減効果もあります。ペーパーレス化や業務効率化に成功すればさらにコスト削減効果は大きくなります。

非常時の事業継続性の確保

大きな災害やシステムトラブルなどにより本社が機能不全に陥ってしまった際に、在宅や遠隔地で働くテレワーカーによって被害や影響を軽減することができます。

企業イメージの向上

さまざまな事情を持つ従業員に働きやすい環境を提供することにより、「従業員を大切にする企業」として企業イメージをアップさせることができます。

従業員にとってのメリット

テレワーク導入における従業員にとってのメリットについて紹介します。

ワーク・ライフ・バランスの向上

ライフスタイルに合わせた無理のない働き方が選択できるようになります。自由になる時間が増え、育児や介護との両立や趣味・自己啓発の時間が取れるようになります。厚生労働省「平成26年度テレワークモデル実証事業」(従業員アンケート)によると、テレワークの利用により、家族と共に過ごす時間が増加(78.4%)、家事の時間が増加(77.6%)、育児の時間が増加(76.8%)、自己啓発の時間が増加(40.7%)などの結果が表れています。

生産性の向上

どうしても雑音や干渉が入りやすいオフィスとは異なり、集中して仕事に取り組める環境が確保されやすいため生産性の向上が期待できます。また、テレワークの評価体系として労働時間よりも成果単位での評価割合が高い、という背景もあります。

職場との連携強化

会社・上司とテレワーカーとの連携不足を懸念されがちですが、コミュニケーション強化の意識やITツールの活用、業務の「見える化」により職場との連携が従来以上に強化されます。

意欲の向上

仕事の充実感や職場への満足度の向上により、テレワーカーの就労意欲が向上します。

通勤時間の削減

ストレスの多い毎日の通勤時間を削減することができます。

企業にとってのデメリット

企業側のデメリットは以下の2点です。 テレワーカーを管理する組織体系の構築が必要 管理者がテレワーカーの仕事の進捗状況を確認できる組織体系の構築が必要です。 設備投資(クラウドサービスやICT機器の導入)が必要 テレワーカーとのコミュニケーションツールとして、クラウドサービスの導入、業務用のタブレット端末やスマートフォンの支給、Wi-Fi設備の構築などの投資が必要となり、費用が発生します。

従業員側にとってのデメリット

従業員側のデメリットは以下の2点です。

自己マネジメントが必要

上司からの対面での管理や指示が受けられないため、テレワーカーには自己マネジメントが求められます。

テレワークに適さない仕事もある

総務職などテレワークには適さない仕事もあります。テレワークを活用するには、配置の転換やチーム単位での業務の棚卸や見直しなどの工夫が必要です。

テレワーク導入のプロセスとポイント

スムーズにテレワークを導入するためのプロセスやポイントについて紹介します。

テレワークの導入プロセス

テレワークを導入するためには、以下のようなプロセスで進めるとよいでしょう。

テレワーク導入の狙い・目的を明確化する

まず、テレワーク導入の狙い・目的を明確化します。テレワークは導入時に各従業員に負荷がかかり、従業員の反発を招くこともあるため、トップによる成果・指針の公表と、管理職者による各従業員への理解・協力の依頼が必要です。

現状把握

現状の把握と課題の洗い出し(設備面、評価体系、ツール導入の必要性、業務内容の棚卸など)を行います。

プロジェクトチームの設置(社内体制の確立)

プロジェクトチームを設置し、テレワークに関する社内ルールの制定、ICT環境の整備、テレワークに関する教育研修体制の構築などを行います。

試行導入と効果測定

試験的にテレワークを導入し、効果を測定します。課題・問題点に対して一つひとつ対処します。

導入

テレワークを本格導入し、運用します。

テレワークを導入する際に押さえるべきポイント

テレワーク導入の際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

コミュニケーションの仕組みの整備

円滑で即時性のあるコミュニケーションを実現するために、ビジネスチャットツールやSFA(営業支援システム)、Web会議システム、クラウドストレージなどのサービスの導入、業務用のタブレット端末やスマートフォンの支給などが必要です。

導入したツールを最大限活用できるようにする

ツールは導入して終わりではなく、最大限に活用して初めてメリットが生まれます。そのためには、直感的な操作が可能な、シンプルで操作性のよいツールの導入が効果的です。利用可能な場所や時間、機能などのルールを周知しておくことも重要です。

人事・労務制度の整備

適切な評価・管理のできる人事・労務制度の整備も重要です。テレワーカーの人事評価に関しては、オフィスワーカーとの公平性を保つことが重要なポイントとなります。

働き方改革実現にはテレワークの活用が効果的

会社以外の場所で働くことを意味するテレワークは、働き方改革実現のための有効な手段として非常に注目されています。企業にとっても労働者にとっても、さまざまなメリットがあります。テレワークの実践のために、管理体制の構築やICTサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。