Claris FileMaker開発サービス導入事例 自治医科大学 メディカルシミュレーションセンター

ランニングコストを60%削減。進化する学習環境に適応する柔軟な予約システムを構築

自治医科大学メディカルシミュレーションセンター様は、医療の質と安全、生産性の向上を担い、学生の基礎教育、現場の医療者の能力向上および地域医療を支援するシミュレーション施設です。
今回、学生や研修医が医療訓練に利用するシミュレータや施設の予約システムを、ローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker(以下、FileMaker)」開発サービスで一新し、運用を効率化されました。導入の経緯や効果を、淺田義和様、前田佳孝様に伺いました。

導入経緯

医療システムの安全性向上を目指し、シミュレータの利用定着を促進

淺田様(以下、敬称略):
自治医科大学は1972年に全国の都道府県の共同によって設立された私立大学です。「へき地に住む方々に医療を提供し、健康を守ること」を理念に掲げ、地域医療と地域社会を支えるために全国から学生を募っています。

メディカルシミュレーションセンターは、自治医科大学の医学部や看護学部の学生、附属病院の医療従事者に対してシミュレーション教育の環境を提供しています。医療が高度化・専門化する中で、臨床実習の前にはOSCE(客観的臨床能力試験)が課されるなど、医療教育では実践的な能力が求められています。シミュレータを使った実習が、臨床実習で受け持つ患者さんとの信頼関係の構築に活用されることを期待し、センターを運営しています。

Claris Platinum パートナーであり、Apple製品に精通したTooに開発を依頼

淺田:
当施設は、7つの訓練室があり、約150種類、650個のシミュレータを保有しています。蘇生や採血の練習、臨床実習やOSCEに向けた自主練習などで利用されるほか、研修医や指導医の利用、オープンキャンパスなどで外部の方が利用・見学することもあります。一学年120名強が入る大きな部屋から、自主練でも気軽に使える部屋まで、学生がシミュレータを広げて訓練できる十分なスペースを確保した、さまざまな施設を用意しています。

以前は、これらの施設やシミュレータの利用予約を、担当者が電話で受け付けて紙に記録する属人的な管理方法でした。数年前にスクラッチ開発で導入した予約システムは、OSやミドルウェアの更新に伴うアップデートや追加開発のたびに膨大な費用が嵩み、予算内で対応するのが苦しい状況でした。また、予約完了メールの本文をひと言修正するにも、サーバー内のコードを直接編集する必要があり、開発元への修正依頼が発生することも負担になっていました。

新しいシステムを検討する中で、別の大学で予約管理にFileMakerを利用している事例を聞きました。そんな中、展示会でTooのブースに立ち寄った際に、Claris Platinum パートナーであることを知りました。さらに、FileMakerと親和性の高い、MacをはじめとしたApple製品にも精通していることから、さまざまな相談をしやすい印象を受け、Tooに依頼してシステムを入れ替えることにしました。

導入効果

ランニングコストを60%削減。データの解析や活用に時間を割けるようになった

淺田:
FileMakerはローコードで設計できるため、メールテンプレートの修正やデータベース項目の調整など、微細な修正であれば自分たちで対応できます。システム自体の柔軟性が高く、追加開発も予算の範囲内でお願いできる点が大変ありがたいです。現場の状況に合わせて迅速かつ柔軟にシステムを運用できるようになりました。運用後の細かな依頼も、Tooの開発技術者にスムーズに対応してもらえて大変助かっています。

前田:
自分たちで手軽にコントロールできる部分が増え、ランニングコストを従来の60%削減できました。以前のシステムでは、日々の保守やサーバーのアップグレードに莫大な費用がかかる一方で、近年の物価高の影響で予算確保が難しい状況でした。FileMakerのシステムにしてからは、サーバーのアップグレードが容易になり、高いセキュリティレベルを保つことにもつながりました。

また、施設やシミュレータの利用者数を毎週集計して、センターの会議で報告しています。以前は、サーバー内のデータベースから直接データを取り出し、Excelに変換して集計していましたが、今はFileMakerの管理画面から必要なデータを書き出せるので集計作業の効率化につながっています。直感的な操作でユーザビリティも高く、入ったばかりの職員もすぐにシステムに慣れてくれました。

利用者に寄り添った柔軟な予約システムの運用を実現

淺田:
管理者側はFileMakerのカスタムAppでシステムを管理し、「WebDirect」機能をONにすると、コーディングなしでブラウザ上で利用者に予約システムを操作してもらうことができます。特定の端末に依存せず、利用者の各端末からアクセスできるので便利です。

前田:
主に授業で利用する教員が、予約システムで施設やシミュレータの利用申請をします。管理者が承認すると、自動で予約完了メールが利用者に送られます。情報がリアルタイムで反映され、ダブルブッキングの心配もありません。

以前は、利用者はプルダウンから使いたいシミュレータを探していましたが、複数の検索条件や、キーワード検索に対応したことで柔軟に利用項目を探し出せるようになり、検索速度も上がりました。資産管理の観点でも利便性が高いです。

また、検索ログを取れるようになったため、検索ワードの傾向からシミュレータのニーズを把握したり、わかりやすいカテゴリ分けに修正するなど、利用者に寄り添ってシステムを改善できるようになりました。

淺田:
システム管理やデータ出力にかけていた時間を、分析と活用に使えるようになったことで、データベースを基盤とした新たな教育研究の可能性が広がりました。

これから

FileMakerで取得したデータを学習環境の向上に活用したい

淺田:
現在、学習履歴は学習管理システムに各自で手入力していますが、手動ゆえ、入力率が高くないのが現状です。今後は予約システムで取得できたログを、学習記録として教員・学生ともに確認できる仕組みを検討しています。

また、各シミュレータに応じた教材や学習リスト、練習方法の動画などを紐づけることで、カリキュラムの履修傾向の把握や利用者の利便性向上につなげたいです。在庫や施設の拡大に合わせて項目を付け足すなど拡張性が高いので、さまざまな学校、シーンで応用できると感じています。シミュレータを扱う医科大学は多いため、本学以外でもこのシステムは大いに活躍するのではないかと感じています。

自治医科大学メディカルシミュレーションセンター

メディカルシミュレーションセンターは2008年に設立されました。人間中心の医療システムの実現(※)という目標を掲げ、学内・病院内へのシミュレータの利用と定着、学外へのシミュレータ利用の拡大、シミュレータを利用した訓練手法と機材の開発などに取り組んでいきます。

※「患者も人間であり、医療従事者も人間である」という視点で、日本の医療システムの安全性、経済性および品質の向上を目指していくという考え方。

所在地:栃木県下野市薬師寺3311-1 自治医科大学 記念棟7F
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※記載の内容は2026年1月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。