
株式会社CloverWorks様は、「SPY×FAMILY」「逃げ上手の若君」「ぼっち・ざ・ろっく!」「WIND BREAKER」などの大人気アニメを手がけるアニメーション制作スタジオです。今回は、作画用紙を印刷する際の印字位置のズレを解消するために、クリエイティブアーツ向けの複合機imagePRESS C265(以下、C265)を導入いただきました。導入の背景や効果を、業務部 谷脇凱登様、第2制作部 荒井史歩様に伺いました。
デジタルとアナログの過渡期においてスタッフの負担軽減を目指した

谷脇様(以下、敬称略):
業務部に所属しており、社内の機材の発注管理や、現場のクリエイターの機器のサポートなどを担当しています。また、6年ほど前まで制作進行を担当していました。
荒井様(以下、敬称略):
制作進行として、アニメ本編を話数単位で受け持ち、進行の管理をしています。各セクションをつなぐ橋渡しのような役割として、作品制作の最初から最後まで関わっています。
谷脇:
アニメ制作に関して、当社ではアナログからデジタルへの過渡期にあります。そのため、デジタルで作業する方もいれば、紙で作業する方もいてツールが混在しているのが現状です。その中でよくある状況として、デジタルで作成された素材を一旦紙にする工程が必要となり、アニメーターがデジタルで作画作業をした後、演出担当が作画用紙の状態でチェックすることがあります。この過程で課題となっていたのが、作画用紙を印刷する際に生じるタップ穴のズレです。
出力した作画用紙をタップ穴で綴じ、パラパラ漫画のようにめくってアニメーションの動きを確認しています。しかしタップ穴がズレていると、動きにもズレが生じてしまいます。これまでは制作がタップ穴の貼り替え作業をしていましたが、時間がかかる作業であるため、負担をできるだけ軽減したいと考えていました。
印刷のズレによって生じるタップ穴の貼り替え作業に時間と労力がかかっていた
谷脇:
当社では作画用紙の出力方法として、複合機とインクジェットプリンターの2つ選択肢がありました。複合機は、インクの乗りや出力スピードは申し分ないのですが、タップ穴のズレや紙詰まりが頻発し、さらにスキャンの解像度がアニメ制作の規格に合わないことも課題でした。インクジェットプリンターは、タップ穴のズレがないものの、出力速度がゆっくりで、インクの滲みが発生することがありました。
荒井:
複合機で作画用紙を出力した場合、タップ穴のズレを修正するために貼り替え作業が必要になります。ズレて出力された作画用紙の後ろに新しい作画用紙をピッタリ重ね、テープで固定し、ズレた作画用紙を切り取るという、なかなか大変な作業です。作画用紙1枚ごとにおこなう必要があり、例えば1つのカットに100枚の作画用紙を用意していたら100回の貼り替えが必要です。3、4カット分をまとめて対応することが多く、平均で1〜2時間はかかるため、気合を入れて取りかかる作業の一つでした。次のセクションに仕事を渡すためにも、自分のターンで作業を止めないよう、できる限り急いで取り組む必要もありました。
C265には出力の精度や出力スピードが揃っていた
谷脇:
タップ穴のズレがなく、出力速度と印刷のクオリティが担保される複合機を探していたところ、Tooが主催しているアニメ制作のイベント「あにつく」で、印字位置のズレが起きにくいC265の存在を知りました。
イベント後Tooのスタッフの方に、実機を見せていただきました。事前にある程度のスペックは把握していたものの、実際に目にすると出力精度の高さはもちろん、色味や出力スピードも申し分なく、さらにアニメ制作の規格に対応した解像度でスキャンができるため、「私たちがまさに求めていたものだ」と導入に至りました。
現場のスタッフがスムーズに慣れていけるよう、インクジェットプリンターと併用しながら段階的に入れ替えを進めました。制作担当には事前に検証機を導入し、1回は触れたことがある状態にしました。慣れるまでは不備が発生することもありましたが、その際もTooのサポートがすぐに駆けつけてくださいました。自分一人で対応していたら時間がかかっていたであろう問題も、スピーディーに解決していただけて、大きなストレスを感じることなく運用を開始できました。

タップ穴の貼り替えの作業を7割以上削減し現場からも好評
荒井:
導入後、最も効果を実感しているのは、出力の正確さと速さです。タップ穴はピッタリと合った状態で正確に出力されるため、C265を使用した通常サイズの作画用紙の出力では、これまで必要だったタップの貼り替え作業が不要になりました。初めて使用したときは、あまりにもきれいに出力されて驚いたほどです。
タップ穴の貼り替え作業がほとんどなくなったため、場合によっては7割以上の時間が短縮されたと感じています。納期が迫っている時期に本当に助けられました。さらに、タップの貼り替え作業をおこなうと作画用紙にテープを貼ることによる段差ができてしまい、これがストレスになっていたスタッフも少なくありません。この問題が解消されたことも、大きなメリットとして現場から喜ばれています。

デジタルで描かれた原画を実際の作画用紙に出力したもの
出力のスピードやインクの滲みも改善された
谷脇:
出力スピードも申し分ないです。以前使用していた複合機やインクジェットよりも速く、特にインクジェットプリンターと比べると体感で5倍ほどの速さです。また、インクの滲みも大幅に軽減されています。滲みが多い場合、デジタルで上がってきた素材の不透明度を下げて、紙に乗るインクの量を調節していました。色味が薄くなり見づらくなることがありましたが、今はその心配もありません。
荒井:
指示を色分けで作画用紙に書くスタッフも多いため、鮮明に出力される点は演出からも好評です。アニメ『逃げ上手の若君』で作画用紙に出力する際は、C265を使うことがあっという間に根付いていきました。

現場の仕事環境をより良いものにしていく
荒井:
制作担当は、他セクションからの問い合わせ対応や営業など、多岐にわたる業務を担っています。制作スタッフ一人ひとりの手を動かす作業時間を短縮できれば、他の仕事の幅を広げることも可能です。C265の導入は、業務の効率化に画期的な効果をもたらしていると思います。
谷脇:
同じような悩みを抱えている方に、「C265は絶対に導入したほうがいい」と言えるぐらいの効果を感じています。導入に際しては、Tooのサポートが非常に手厚く、親身に対応してくださいました。複合機以外にもワークステーションなどをTooから導入していますが、当社の要件に合わせてセットアップされた状態で納品されるなど、独自のサービスにも感動しています。私自身、システム管理を担当する立場として、制作現場をできる限り良くしていきたいというテーマを掲げています。それを叶えるために、引き続き幅広いご提案に期待しています。
※記載の内容は2025年1月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。