株式会社DRAGAMI GAMES様は、シリーズ累計販売本数150万本を突破する『LOLLIPOP CHAINSAW』などのタイトルを手がける、ゲームソフトの企画・開発・販売会社です。
今回、故障が頻発するオンプレミスサーバーでのデータ管理の不安を解消するため、完全定額制の高速ホットクラウドストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」(以下、Wasabi)と、ネットワークストレージ「QNAP」を組み合わせて導入されました。
導入の背景や効果を、社内のITインフラを管理される鈴木俊之様、冬野智様、佐野徳之様に伺いました。
頻繁に故障するオンプレミスサーバのデータ保管体制に不安を感じていた
当社は、デベロッパー兼パブリッシャーとして、自社ゲームコンテンツの開発から販売までおこなっています。開発本部では、家庭用ゲームやPC・Steam用のゲーム開発、パブリッシング本部ではエンドユーザーに向けたプロモーション施策の実行、管理本部では総務や経理、人事のほか、法務として知財管理などもおこなっています。
以前は、開発中のゲームデータからプロモーション素材まで、会社のあらゆるデータの保管をNASのみに頼っていました。パブリッシング本部と管理本部用に1台、開発本部用に1台設置し、社内ネットワークに接続して個々のPCにマウントさせ、共有ドライブとして運用していました。また、バックアップ用にもNASを2台運用し、定期的に手動でバックアップをおこなっていました。
ハードディスクは耐用年数が限られており、しばらく使っていると2台のNASが交互に故障を繰り返すようになりました。RAID構成を組んでいたものの、故障の度にデータ消失という大きな不安に駆られながら、ディスクを急いで買いに行って交換するという対応で凌いでいました。一度、NASが2台同時に故障してしまったことがあり、システムの見直しを決意しました。
バックアップのクラウド移行を考え、最初はAWSを検討しましたが、アクセス毎の従量制課金でコストが嵩むことや、0から構築しなければいけないことがネックでした。外注するのであれば開発費、社内で対応しようと思ってもプラスの人件費がかかるだけでなく、本業にかけるべき時間が圧迫されてしまうことが懸念点でした。
クリエイティブツールやフォントなど業務環境をサポートしてもらっているTooに相談したところ、クラウドストレージのWasabiとQNAP NASを組み合わせた解決策を紹介してもらいました。Wasabiは完全定額制で、低価格で大容量データを保管できるところが魅力的でした。
正直なところ、クラウドストレージはサブスクで毎年必ずコストがかかる分、オンプレミスサーバーに比べて価格が高いイメージがありました。しかし、故障毎に買い替えるディスクの代金や、保守のための人件費、データ消失の危険性と常に隣り合わせの状況を考えると、クラウドへの移行は必ずしも高いとは限らないということに気がつきました。中でもWasabiはそれを低コストで叶えられることが理想的で、費用対効果の高さから導入を決断しました。
高速転送可能なWasabiでスムーズに移行。QNAP独自のアプリケーションでクラウドとのシームレスな仕組みを実現
システムはすべてTooに構築してもらい、ファイルの引っ越し作業だけで済みました。特にゲーム業界は、開発データなど大きいファイルサイズを扱うことが多いですが、高速転送可能なWasabiで、画面が固まったり、バックアップに失敗することなく、スムーズに移行が完了しました。
現在は、作業中のデータをQNAP NASに保管し社内ネットワークで素早くアクセス、バックアップは毎週水曜日午前4時に、QNAP独自のバックアップシステム「Hybrid Backup Sync」でQNAP NASからWasabiへ自動コピーしています。本当にバックアップできているかどうか不安になりながら時間をかけて手動でバックアップしていた状況からも解放されました。
また、メインのQNAP NASに障害が発生した時のために、スタンバイ機としてもう1台QNAP NASを用意しています。クラウドへバックアップしたデータは本来、NASに一度ダウンロードしないと使用できませんが、クラウドストレージをQNAP NASにマウントできる「HybridMount」を使用してWasabi内のデータに手軽にアクセスできるようにしています。これにより、仮にメインのQNAP NASにトラブルが生じても、ダウンタイムが限りなく「0」に近い運用体制を実現することができました。
緊急時もPCからの見た目は変わらず、いつも通りWindowsのエクスプローラーからデータを取りに行くことができる。
インフラが空気のような存在に。クリエイティブ業務に安心して集中できる環境を実現
現場のためにも、普段の作業はなるべく変えずにシステム移行したいという思いがありました。Windows のエクスプローラーから開けることが必須条件でしたが、問題なくクリアし、バージョン管理についても、SVNとGit双方でスムーズに管理できています。
WasabiとQNAPを導入したことで、データ消失のリスクに気を病むことなく、クリエイティブに集中できるようになったことが一番の成果です。安定した運用ができており、毎日ハラハラすることなく、安心してコア業務に取り組めています。
当社はシステム専門の部門がなく、兼務での対応は大変でしたが、今や意識せずともそこに存在し、平穏に毎日の業務を支えてくれる空気のような存在です。理想のインフラの在り方を実現できたと感じています。
Tooの技術担当に何度も会社に足を運んでもらいました。実際にサーバーラックを見てもらい、セッティングもすべてお任せすることができました。到底自分でできることではないので、プロに任せてよかったなという感想です。
シームレスに美しく、安全に拡張できる仕組みを目指す
現状は出社前提の開発体制ですが、今後組織や事業規模が拡大した際には、多くの人が開発に携わることを想定しています。その際、さまざまな場所からのアクセスを、当社の開発環境の中にシームレスに美しく、安全に組み込めるネットワークとストレージ体制を目指していきたいです。

※記載の内容は2025年11月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。







