パッケージデザインに携わるお仕事をされている方に向けた「パッケージデザイン トレンドセミナー & DEMO」が、2017年7月12日(水)、Too本社の「The Gallery Too」(東京都港区虎ノ門)で開催されました。

「働き方改革」が叫ばれるいま、生産性を高めるためのツール選択やソリューション導入を検討するお客様が増えています。

本イベントでは、制作現場の効率化を図る注目製品およびソリューションを、セミナーと展示・デモンストレーションにて、じっくりご覧いただく機会となりました。

2Dデザインソフトでバーチャル・モックアップを簡単につくる

第1部の前半では、パッケージデザインに特化した『ESKO Studio』による3Dデザイン&シミュレーションを、エスコグラフィックス株式会社の佐藤衣里子さんにご解説いただきました。

消費者の方が、棚にある特定商品に費やす上限はわずか「4秒」だと言われています。瞬間的に商品のオリジナリティを伝え、販売実績に繋げることが、パッケージデザインには求められています。Studioによって作業を効率よく簡単にし、良質なパッケージデザイン制作をサポートするご提案でした。

『ESKO Studio』は、2Dのパッケージデザインを手軽に3Dとして確認しながら制作できる、Illustrator用プラグインを中心としたソリューションです。セミナーでは、実際にソフトウェアを操作しながらご説明いただきました。

展開図に折り線を設定すると、箱状のパッケージを画面上で組み立てることができます。湾曲した容器やビン、袋やシュリンク包装などの複雑な形状も、3Dデータがあれば簡単にデザインに反映させることが可能だそうです。
展開図では分かりづらい2面を跨いだ絵柄や、収縮による変形など、最終成果物の形状をデザイン段階から反映させることができ、手戻りやミスを軽減するような機能が充実しています。

またバーチャル・モックアップでは、エンボス加工や特色印刷など表面効果も再現されます。画面上で完成度の高いモックアップを確認することができるので試作品制作の数を減らし、その時間やコストを削減します。
さらに、仮想店舗でのシミュレーションでは、棚に陳列したときの商品パッケージの見え方を確認します。画面上で製品の積み重ねや、ユーザーによる目線の高さなどを考慮しながらデザインを比較変更できます。

製造現場における、色の品質管理

第2部では、「カラーマネージメントを導入する製造現場とトレンド」について、エックスライト社の冨川丈司さんよりお話いただき、特色の色管理などについて、eXact実機を使用してご説明いただきました。

近年、グラフィック関係のお客様のみならず、製造現場のお客様からも「色を管理したい」という要望をいただくことが増えたそうです。冨川さんは「小ロット製造によって製造のターンがはやくなったこと」「布地、プラスティック、貴金属など、多様な素材へ着色するような製造が増えたこと」が、製造現場で色の管理が求められる要因ではないかと、話されていました。

色と色との微妙な違いは色差といって、色彩計の座標情報から求められる数値(ΔE)によって表わします。ブランドカラーやオリンピックに向けたユニフォームカラーなどの現場では、ΔE=1以下といった、特に厳しい色の管理が求められるそうです。
同じ色差であっても、彩度の高い色では、人間の目は認識しにくいという特徴があります。この特徴を計算式に含んだ「ΔE2000」という判断基準を採用することが多いそうです。

何度も製造を繰り返したとき、1回ごとの色差は許容範囲の数値であっても、何度も色差を重ねることで、徐々に基準色からズレてしまう危険性があります。「eXact」では、測定した特色を基準色としてライブラリ化することができます。そのため、厳しい色管理が求められる現場において、繰り返しの品質管理にご活用いただけるというご紹介でした。

高クオリティのサンプルを内製化

第2部の後半では、プリンターを使ったリアルなサンプルの内製化を、株式会社沖データの小宮壮一郎さんよりご提案いただきました。
パッケージデザインの現場では、最終成果物の「形状」「素材」「特色」を確認するため、外注によってダミーを製作されています。

「OKI MICROLINE VINCI」は、厚紙やファンシーペーパーへの対応、白版印刷など、パッケージデザイン向けとして定評のあるカラープリンターです。2013年に販売してから4年、「OKI MICROLINE VINCI」が導入された様々な企業様の導入事例をご紹介いただきました。

クオリティの高いサンプルを内製化することで、「外注にかかる時間やコストの削減」「クライアントに対して、より最終成果物に近いダミーを使ったプレゼンテーション」が提案されました。

パッケージデザインのワークフローにおける、デジタル校正

また、第1部後半では、「校正ミスによる事故を未然に防ぐ! 文字検査・校正支援ソフト『フォルトファインダープロ』」と題し、デジタル校正を支援するツールについてTooからの提案を行いました。

パッケージには欠かせない製品表記、特に成分表記や製品の注意書きなど、パッケージデザインの校正は、非常に重要かつ大変な作業です。『フォルトファインダープロ』は、アウトライン処理された文字や、レイアウトの異なるデータでの比較照合を特徴とし、パッケージデザイン校正の現場でご活用いただけます。

表記指示書とデザインデータを比較照合するとき、テキストデータとIllustratorでアウトライン処理された文字を比較します。レイアウトがまるで異なる両者のデータですが、マッチングさせたい範囲を手動で指定することで、ものの数秒もかからずに検査結果が表示されました。

デモ実演では、シンプルな操作画面と簡単な操作もご覧いただきました。現在、多くの校正現場では「内容の変化がないこと」を、数名体制での読み合わせや目視検査で確認しています。そういった作業はツールに任せ、クリエイティブなことをする時間に使いましょうというご提案でした。

今回ご紹介した『フォルトファインダープロ』以外にも、デジタル校正支援ツールには様々な種類があります。お客様のお仕事に合わせたツール選択のために、Tooでは、デジタル校正支援ツールに関する個別相談デモ会も定期的に開催しています。ぜひお気軽ご相談ください。

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