コンテンツ制作の現場で、日常的におこなわれるデータの更新作業。例えばWebサイトを構成している各要素の更新管理が適切でないと複数のバージョンが混在し、サイトの「先祖返り」や各ページの統制が取れないといった不具合が生じます。そうした事態を回避するためには、更新を確実に把握できるバージョン管理が必要です。ここではデザイン・文字データの校正などコンテンツを制作するうえでのバージョン管理について解説します。

コンテンツ制作におけるバージョン管理とは?

バージョン管理とは、コンテンツ制作の現場においてファイルやデータの変更履歴を管理することです。コンテンツ制作では、修正や差し替え、追加、変更が繰り返されながら最終稿に向かって完成への道をたどります。

バージョン管理を適切に実施することにより、時間の経過とともに作成されるファイルの全バージョンのセットを管理し、常に整理された状態が保たれます。どのバージョンをいつアップしたのか、また各バージョンで使用されている要素や、前バージョンとの相違点といった詳細を確実に把握しておくことは、制作過程においてとても重要です。

バージョン管理を通じて、いつ、誰が、どこを、どのように変更したのかが明らかにされていれば、複数の関係者がいても混乱を回避できます。 一般的にバージョン管理という言葉は、ソフトウェアのソース管理を指す場面で多く使われますが、ここではドキュメントのデザイン・文字データの校正など、コンテンツ制作で必要とされる、作業工程におけるバージョン管理について解説します。

バージョン管理の重要性について

バージョン管理が適切でないと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。バージョン管理をすることの重要性と実施のメリットを確認しておきましょう。

バージョン管理の重要性

電子ファイルのバージョン管理

電子ファイルはアナログの書類と異なり、上書きされてしまうと前のバージョンが残らず消えてしまいます。バージョン管理をおこなっていないとデータを元に戻せなくなります。更新履歴を管理し、全バージョンを保存・管理する必要があります。

また複数人のチームで作業をおこなう場合では、ファイルのバージョンが一元管理されていないと、他のメンバーが更新したバージョンを古いバージョンで上書きしてしまい、先祖返りが起こるリスクもあります。
ファイル名がバラバラで統一されておらず最新バージョンが探しにくい、また同じような内容のファイルが多数存在するといったことも混乱を引き起こす要因となります。

紙やPDFのバージョン管理

紙やPDFで回覧する場合は、途中で紛失してしまったり、古い方を渡してしまったりと、誰がどこまで把握しているのかがわからなくなるといった事態も起こり得ます。

書き込みによる印付けがされていても、校正の要・不要がわかりづらく、見落としが発生する可能性もあります。アナログの場合は特に進捗状況が可視化しにくく、更新履歴が明確化しづらいという点が課題となります。

Webページのバージョン管理

Webページの制作においてバージョン管理がされていないと、ページ同士の連携や統一性に不具合が生じる可能性があります。

例えばサイトの中で表記内容が違う、日付が異なるなど、コンテンツに矛盾や齟齬が発生する場合があります。お知らせやキャンペーンなど、リアルタイムでの情報が必要なコンテンツでは問題が深刻化します。また、更新によりリンク切れが発生して遷移できないというケースは一般的にもよく見られる現象です。
これらの問題が起きてしまうと、サイト全体の信頼性が薄れてユーザー離れの原因となるほか、SEOの観点からも好ましくありません。

バージョン管理のメリット

バージョン管理を強化することで、各コンテンツ制作において以下のような課題を解決できます。

修正過程の明確化

PDF、Webサイト、動画などコンテンツ内容に限らず、制作物の修正過程を明確にできます。

過去バージョンの内容にすぐに戻せる

しっかりとバージョン管理がされていれば、コンテンツにどのような内容が盛り込まれているのかを瞬時に把握できるため、クライアントから、「前の状態に戻してほしい」などのニーズにも柔軟に対応できます。

制作物の統一性が保たれる

デザインや文体に手が加えられたことがわかりやすくなり、統一性を図ることが容易になります。

不要・ムダな作業の軽減

一度おこなわれた修正を、ほかのメンバーがやり直すといった作業の重複を避けられます。

情報共有が迅速化される

常に情報共有がなされることで、チーム内の認識違いから起こるトラブルを回避できます。

セキュリティ面の強化

バージョン管理の適正化は、コンテンツの外部流出、情報の漏えいの機会を抑制し、セキュリティ強化につながります。

バージョン管理を効率的におこなう方法

まずはバージョン管理を正確に実施するための手軽な方法を紹介します。

ファイルの命名ルールを統一する

誰が見ても一目でバージョンの順番がわかるよう、ファイル名に関するルールを統一します。日付を主体にして同種類のファイルの名称を統一するだけでも、かなり見た目が整理されます。

半角、全角、区切り文字の統一化を徹底する、また通し番号として連番を付与するのもバージョンを管理するうえでのポイントです。

フォルダー分けのルールを統一する

ファイルを格納する共有フォルダーについても、同様にルールを統一します。名称の一律性を図ると同時に、階層を深くしすぎないようにすることも大切です。2階層までといった階層ルールの設定や、フォルダー内に格納するファイルの種類も規定します。

「新」「最新」「New」など、時間軸があいまいな名称の禁止も必要です。作業途中のものについては、個人名を明記し、作業完了後は速やかに消去してフォルダ全体の整理整頓を意識します。

バックアップのルールを統一する

バージョンが確定した後は、上書きの禁止を徹底します。作業終了時には各自でバックアップを習慣づける、ローカルのみの保存禁止というように、各業務で必要と思われるルールを設定します。

ルール決めだけでは、管理しきれない場合も

このようにバージョン管理の具体的な方法は多数ありますが、チームメンバーが多くなったり作業のフローが複雑化したりすると、ルール決めのみのバージョン管理では破綻する恐れもあります。次の項では、さらに効率的なバージョン管理を実施するためのシステム導入について紹介していきます。



さらに一歩進んだバージョン管理とは?

制作物のバージョン管理・校正作業を面倒に思っていませんか?

業務の効率化という面では、やはりデジタル化がおすすめです。
バージョン管理システムを導入すると、効率的なバージョン管理が可能です。バージョン管理システムとは、Webベースでファイルに関するやりとりができるアプリケーションです。ファイルのバージョンを取り違えないよう管理することができ、ユーザーに分かりやすく見える化したりワークフローを設計できます。

バージョン管理はデジタル校正システムでおこなうと効率が良い

制作物のバージョン管理を楽におこなえるシステムとして特におすすめなのが、レビュー・承認フローが効率化できるオンライン校正システムです。オンライン校正システムでは、バージョン管理はもとより、変更箇所の指摘や差分チェックも効率よくできます。オンラインで組織・企業を超えて複数の校正者がスムーズにやりとりできるようになり、意思疎通を図りながら校正作業を進められます。


制作物のバージョン管理例(クリックでPDFをダウンロード)

制作物のバージョン管理例(クリックでPDFをダウンロード)


作業状況が一元管理でき、状況が可視化されるため、誰が最新の情報を持っているのかが不明になるといった心配もありません。また、紙媒体のような紛失リスクがなく、セキュリティ面でも安心です。新旧ファイルの同時表示による差分チェックが可能で、バージョン管理の自動化によりコンテンツ制作での確実性が向上します。

終了案件のアーカイブの一元化や、整理されたフォルダー設計により多人数が関わるプロジェクトでもファイルのバージョンを取り違えることなく、プロジェクトを進行できます。アクセス制限による書き換えも防止できるため、知らない間にファイルの内容が変わっているといったトラブルも回避できます。さらに他のツール、サービスと連携して自動化するなど、さまざまなデータの活用が可能なため、コンテンツ制作支援としても役立ちます。

複雑なフローでも大丈夫


こんな状況になっていませんか?

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制作物に関する信頼性を高め、円滑な作業工程を進めていくためには、データのバージョン管理をしっかりとおこなう必要があります。コンテンツ制作では、プロジェクトの規模が大きい場合、関わる人数も多くなってきます。そのため、ちょっとした行き違いやミスから古いバージョンが混入したり、作成した成果物が見当たらなくなったりということも起こりがちです。

このような場合には特に、バージョン管理もできるオンライン校正システムの導入が有効です。

オンライン校正ツール「Ziflow」

バージョン管理にとどまらず、差分チェック、共同作業など、校正業務における承認・レビューができるクラウドシステムです。校正では、修正が入るたびにファイルのバージョンが増えていきますが、Ziflowであれば誰にでもわかりやすく効率的に管理できます。関わる人数が多い場合にも柔軟に対応できる仕組みになっています。
コンテンツ制作におけるバージョン管理にお悩みの際には、ぜひ一度お試しください。


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