プレスリリースや商品説明など、企業が扱う文章にはさまざまなものがあります。いずれも企業の顔であり、生活者や社会に向けた情報発信の役割を担います。文字校正にミスがあり文章が不完全で本来の意図が正しく伝わらないと、最悪企業の信頼性にも影響しかねません。この記事では正確な文章を送り出すための、文字校正のポイントやデジタル校正ツールを活用することによる効率化について紹介します。

文字校正と校閲の違い

初めに文字校正の基礎知識や混同されがちな文字校正と校閲の違いについて解説します。

文字校正の概要

文字校正とは表記の間違いを修正する作業を指します。
具体的には、誤字、脱字、誤用の修正、表記統一、ことばを開く・閉じる(ひらがな・漢字に置き換える)などをおこない、さらに表現の修正も含みます。略して「文字校」と呼ばれることもあります。

文字校正は、読み手が内容を把握しやすく、読みやすい文章にすることが目的です。正しく整えられた文章は読み手にストレスを与えず、自然に先へと読み進めることができます。例えば名称や表現に統一性がなかったり、誤字があると読み手側では引っ掛かりを感じ、スムーズに読み進められなくなります。
正確に発信者の意図を伝えるという点においても、文字校正は欠かすことのできない作業といえるでしょう。

一方、校閲とは内容の誤りを正す、また不足している内容を補足する作業です。文章表現・事実関係の間違いや矛盾点を精査し改めます。具体的な要素としては、人名・地名・企業名などの固有名詞、歴史的事実、数値データなどが対象となり、これらの事実確認を含む点が文字校正とは違います。

また似たような言葉に、推敲があります。推敲とは特に詩や文章の制作において、より適切な字句や表現を求めて、試行錯誤して、作品として練り上げることです。単純な誤りの修正ではなく、作品としての質を高めるための作業である点がほかの2つとは異なります。

文字校正においてチェックすべき項目

文字校正においてチェックされる項目としては以下のようなものがあります。

誤字脱字:認識違い、タイプミス、変換ミス

意図しない誤りや思い違いによって誤用している語句を正します。

表記のゆれ:意味の同じことばについて表し方を統一

漢字やひらがな、カタカナ表記、また送り仮名について一貫性をもたせる作業です。例としては、「犬・いぬ・イヌ」、「行なう・行う」などの表記統一があげられます。

数値表記の統一:年月日、時間、その他の数値

数字を表す表記法にもさまざまなものがあります。算用数字・漢数字・半角全角・カンマ区切りなど、同じ種類の数値について表記を統一します。

日本語としての正確性:日本語の文としての正しい表現や構成

重複表現、尊敬語・謙譲語の混同、主語・述語のねじれ、助詞の使い方など、日本語としての正確性を確認し正します。

文章全体の整合性:表記の一律化

表記ルールの統一・引用元、参考元の表記の仕方など、一定の形式にそろえて読みやすく、ばらつきのない文章に整えます。

文字校正の手順とポイント

文字校正の手順は、上記で紹介した「チェックすべき項目」の順でおこなうのがおすすめです。

チェックすべき項目

誤字脱字

存在することを前提として取り掛かる

表記のゆれ

同じことばを拾い出す

数値表記の統一

ルールを一覧表にする

日本語としての正確性

主語と述語の対応、修飾語と被修飾語の位置関係など

文章全体の整合性

ルールに照らし合わせる

文字校正を正確におこなうポイント

プリントアウトして確認

モニター画面のみではなく、プリントアウトして確認することで細かな個所にも気づきやすくなります。

なるべく多くの人間の目を通す・時間をおいて再読する

「目が変わる」ことで、誤りや違和感をとらえやすくなります。

文章をコンパクトにする

一文が長すぎると、主語と述語のねじれや関係性のわかりにくさが発生しがちです。

数字・固有名詞に注目する

特に気をつけたいのが事実との相違です。数字や固有名詞は念入りに目を通し、誤りのない情報の記載に留意します。

タイトル・見出し・訳注などにも注目

タイトルや見出しは、もっとも目につきやすい位置にありながら、意外に見落とされがちです。また欄外の訳注にも目を通すようにします。

文字校正においては先にあげたようなポイントを踏まえ、細心の注意を払いながら実施することが大切です。しかし、どれほど注意をしても人為的なミスを完全になくすのは容易ではありません。
校正の精度を上げるには、校正ツール(デジタル校正ツール)の活用も有効です。文字校正に校正ツールを取り入れることで、時間の短縮が可能となるだけではなく、校正品質が向上します。

文字校正の精度を上げるには校正ツールの活用を

校正ツールの導入には以下のようなメリットがあります。

検査時間短縮による、大幅コスト削減



校正ツールは、データとして比較するため人間が意識していない変更箇所もデータの違いとして確実に見つけ出すことができるます。さらに人の目でおこなうよりも処理スピードが格段に向上します。特に大量のページを一度に処理しなければならない場合には、校正時間の大幅な短縮となり、人為的、時間的コストの節約が可能です。

校正時の負担が軽減

校正は非常に緻密な作業であり、担当者には大きな心理的プレッシャーがかかります。一定の作業を自動化することで、校正時の負担軽減に役立ちます。

経験に左右されない校正が可能

校正ツールは、熟練者と同等のスキルや経験がなくても高精度なチェックが可能です。文字はデータとして「0」「1」の単純な値で比較するため間違いの発見は確実です。
比較機能では微細な部分までわかりやすく明示できるため、見落としといった人為的なミスを防げます。

多様な要素に対応

校正ツールでチェックできるのは文字だけではありません。一般的な書類・原稿やチラシ以外に、デザインやパッケージの校正にも活用できます。きれいにレイアウトされたデザインデータに配置されている写真やロゴもチェック可能です。図版や罫線などのグラフィック要素の違いも検出が可能で、微妙な色の違いや意図しない移動や回転なども確実にピックアップできます。

商品ロゴや包装紙に印刷するデザイン化された文字でも誤りを見逃すことはありません。例えば食品パッケージの成分表記のチェックにも活用できます。

多様な働き方に対応

校正を複数人で担当する場合、紙ベースの校正では作業できる場所が制限されます。テレワークやリモートワークが浸透するなかにあって、多様な働き方への対応という点でもオンライン上で共同作業が可能となる、校正ツールの活用が有効です。

損失リスクの観点から文字校正を見直そう

どれほどデジタル化が進んでも、印刷物やパッケージが不要になることはありません。一度世に出てしまうと、後からミスに気づいても取り返しがつかなくなります。
文字校正のわずかな見逃しが、企業の大きな損失リスクとなる可能性もあります。リスク回避のためにも、現在の校正の体制を見直し、効率性と精度を高めていきましょう。

精度の高い文字校正の実現には、バージョン管理や差分チェック、共同作業など、校正業務に必要な機能がそろっているオンライン校正ツールやパッケージ校正ツールの活用がおすすめです。ぜひ一度詳細をご確認ください。


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