契約書を電子化する方法は?電子化のメリットとデメリット、注意点を解説

近年、新型コロナウィルス流行に伴うテレワークの導入もあり、契約書の電子化が進んでいます。これから契約書の電子化を進めようと考えている企業も少なくないでしょう。一方で「契約書の電子化についてよくわからない」「紙の原本のような効力があるのか心配」と考える担当者もいるのではないでしょうか。
電子契約書にできない書類もあることから、電子契約についてよく知らずに導入してしまうと、後で対応に追われてしまうかもしれません。本稿では電子契約書の効力・契約書を電子化する際のメリット・デメリット、注意点を解説します。合わせて契約書を電子化する際の方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

※この記事は2022年9月1日現在の内容です。

目次

  1. PDFの契約書の電子化とは?
  2. 電子化された契約書の効力は?
  3. 契約書を電子化するメリット
  4. 契約書を電子化する際のデメリットと注意点
  5. 契約書を電子化する方法
  6. 契約書の電子化で業務効率を向上させよう

1. PDFの契約書の電子化とは?

契約書の電子化とは、紙ではなく電子データに電子署名・電子サイン・電子印鑑を入力して、契約を締結することです。「電子署名及び認証業務に関する法律」によると、電子契約書は電子署名によって紙の契約書と同等の法的効力があり、電子署名の有無によって原本とそれ以外とを区別しています。
近年、契約書の電子化が進む背景には、以下の要素があります。
・多くの企業でDX(デジタル・トランスフォーメーション)が推進されていること
・新型コロナウィルスの流行等に伴ってテレワークが推進されていること

DXとは、業務にデジタル技術を導入し、業務効率化やビジネスイノベーションを図ろうとする動きを指します。また、新型コロナウィルスの流行によるテレワークの推進は、一時的な対処ではなく多様な働き方のひとつとして社会に定着しつつあるようです。これらの流れを受けて、今後も電子契約を導入する企業が増えていくと見込まれます。

2.電子化された契約書の効力は?

電子化された契約書の効力は、次の要素が揃うことによって法的に保証されます。
・電子署名
・電子証明書
・タイムスタンプ

紙の契約書をスキャナで取り込むことも含め、契約書の電子保存自体は、「e-文書法」や「電子帳簿保存法」で認められています。「e-文書法」は法令で保管が義務付けられている文書や帳簿類などについて電子データでの保存を定めた法律で、「電子帳簿保存法」は国税関係の帳簿・書類等の電子データ保存を定めた法律です。
注意すべきは、単に紙の契約書をスキャナ保存で読み込んだり、デジタルの契約書を作成したりするだけでは、法的効力をもたせられない点です。
それは「電子署名及び認証業務に関する法律」第3条にて「電磁的記録は本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する」旨が明記されているからです。つまり電子署名は、契約書が本人によって作成されたことを示す役割があるといえます。電子証明書とタイムスタンプにも、それぞれ電子署名と契約内容を保証するために、以下の役割があります。

・電子証明書の役割
契約者本人による電子署名だと第三者が示す証明書です。電子証明書を発行する第三者には、電子契約サービス事業者と公的認証局の2種類があり、どちらか一方から電子証明書を取得後、署名を行います。

・タイムスタンプの役割
契約日時に電子契約書が存在していたことと同時に、内容に変更がないことを示す時刻証明書です。タイムスタンプは時刻認証局(TSA)が発行するもので、発行には、電子契約書のハッシュ値(ハッシュ関数によって自動的に算出される)をユーザーがTSAに送信することが必要です。電子契約書のハッシュ値とタイムスタンプのハッシュ値が同じであれば、内容に変更がないことが証明されます。

3.契約書を電子化するメリット

契約書を電子化することで、企業は複数のメリットを得ることができます。主なものは次のとおりです。

契約時の手間が省ける
契約書の電子化によって、紙の契約書では必須だった押印・印刷・製本・郵送等の手間がかからなくなり、契約にかける工数を大幅に削減可能です。工数削減はそのままコスト削減にもつながります。また、契約締結時もクラウド上で内容を確認し、合意後にその場でスピーディーに締結ができます。

保管・管理が容易
契約書を電子化すると、保管・管理が容易になります。会社法によると、一般的な契約書は「契約終了後7年間」保管・管理することが義務付けられていますが、紙の契約書だと保管スペースが必要です。多くの場合、企業別や年度別などに分類して棚やケースに入れて保管しますが、どこにあるのか分かりにくく、後日確認したい場合に契約書を探し出すのが大変、といった問題が起こります。
しかし、電子契約書であればクラウド上でまとめて管理できるので、保管スペースが要りません。のみならず、検索機能を使って目的の契約書をすぐに探し出すことができます。また閲覧権限を管理することで、情報漏洩・紛失のリスクを減らせる点もメリットに挙げられるでしょう。

リモートワークへの対応が容易
契約書の電子化を進めれば、出社したうえでの押印が不要となり時間や場所に縛られずに契約ができます。インターネット上で契約業務を円滑に進められるので、部分的なリモートワーク導入・完全リモート化がしやすくなります。

相手方の満足度向上が見込める
電子契約書は契約までの時間短縮・手間削減ができるので、相手方の利便性向上にもつながります。
顧客と自社サービスの利用契約を締結する場面では、顧客にとっての利便性が特に重要になります。契約を円滑に進められれば、満足度の向上が見込め、良好な関係性の構築やサービスの継続利用などの効果が期待できるでしょう。

4.契約書を電子化する際のデメリットと注意点

契約書を電子化することには、次のようなデメリットも存在するため、注意が必要です。

電子契約に切り替えるには時間・相手方の協力が必要
契約書は締結する相手がいてこそ成立するものですから、一方的に電子契約に切り替えることはできず、相手方の協力を得る必要があります。しかし、相手方によっては「セキュリティが心配」「ITに慣れていない」などの理由で、拒絶反応を示すケースも考えられます。相手方の懸念点についてどのような対策を取っていくのか、時間がかかっても丁寧に伝えて理解を得ていくことが重要でしょう。
双方が同一のシステムを導入する必要があるケースでは、コストと時間がかかることもあるので、そういった場合は特に相手方からの同意と理解が必要です。電子契約書のURLを送信するだけで契約締結が可能なサービスもあるので、それらを導入し、相手方の負担を軽くすることも可能です。

電子契約で契約締結ができない書類もある
全ての契約書が電子化できるわけではなく、電子契約での契約締結が制限されている書類も存在します。

・事業用定期借地権
借地借家法により、公正証書によらなければならないと定められています

・任意後見契約書
「任意後見契約に関する法律」にて、法務省令で定める様式の公正証書によって契約を締結しなければならないと定められています。

以前は書面での契約が必須であった賃貸借契約書や定期借地契約書も、近年は電子契約が可能になっており、法令面でも契約書の電子化が進んでいます。そのため上記書類も今後電子契約締結ができるようになる可能性があります。電子化推進の動きは活発ですので、常に最新情報を得ておくことも重要です。

5.契約書を電子化する方法

契約書を電子化する方法には、主に次の2つがあります。

電子契約サービスを導入する
新たに作成する文書の場合は、電子契約サービスを導入する方法があります。既存文書の電子化をする場合は、紙の契約書を自社でスキャンして電子化する方法や、契約書スキャン代行サービスを利用する方法があります。
Adobe Acrobatならば、複数のデバイスでPDFの作成ができるほか、既存の紙の契約書をスキャンしての電子化・クラウド上で法的に有効な契約締結が可能です。

認定タイムスタンプが付与できるシステムを使う
電子契約書には電子署名・電子証明書・タイムスタンプが必要ですが、それらが付与できる文書電子化システムを使う方法です。
文書電子化システムには多様な種類がありますが、Adobe Acrobatでは分かりやすいインターフェースによってスムーズに電子署名追加・電子証明書の書き出しと読み込み・タイムスタンプの取得と付与が可能です。導入後、社内で容易に法的に有効な電子契約書の作成・締結を行えるでしょう。

6.契約書の電子化で業務効率を向上させよう

契約書の電子化には、締結時の手間が省ける・保管や管理が簡単といった、多くのメリットがあります。一方で、電子契約の導入には取引先の同意が必要ですし、電子契約書にできない書類も存在するなどのデメリットもあります。
しかし、今後、電子化できる書類の数はますます増える可能性が高いです。相手方の同意さえ得られれば、契約書の電子化は工数削減やリモートワークの推進など、業務改善にも大いに役立つといえます。
電子化にはコストと時間もかかりますが、Adobe Acrobatなどのツールを導入することで、契約書の電子化を効率的に進めていきましょう。

詳細はこちらをご覧ください。
Adobe Acrobat /株式会社Too

アドビの電子サインプラットフォームAcrobat Sign

参考:
電子署名及び認証業務に関する法律|e-Govポータル
宅地建物取引業法|e-Govポータル
会社法|e-Govポータル
任意後見契約に関する法律|e-GOVポータル


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記事は2022年9月 1日現在の内容です。

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