株式会社Too主催、アドビ システムズ 株式会社協力による「Adobe 秋の全国セミナーツアー」が2016年11月8日〜18日まで全国8都市で開催されました。

京都、大阪、名古屋、福岡、東京では、アドビ システムズ 株式会社の名久井舞子氏の講師による「Adobe MAX最新情報セミナー」、山形、仙台、札幌では、Tooの前田勝規が講師を務めた「Adobe MAX最新情報+Adobe Creative Cloudセミナー」を開催し、大勢のお客様にご来場いただきました。

東京会場での入場の様子
東京会場での入場の様子

本記事では、2016年11月15日(火)に東京・秋葉原UDXシアターで開催した「Adobe 秋の全国セミナーツアー Adobe MAX最新情報セミナー」の模様をレポートします。

まずはAdobe MAXとはどんなイベントなのかを解説

講師はアドビ システムズの名久井舞子さんです。今回の内容は2016年10月31日〜11月4日までアメリカのサンディエゴで開催されたカンファレンス「Adobe MAX 2016」で発表された内容を紹介するため、まずは「Adobe MAX」とはどんなイベントなのかを解説しました。

世界からクリエイターが集うAdobe MAXの様子を紹介
世界からクリエイターが集うAdobe MAXの様子を紹介

世界60カ国から1万人以上が集まるという「Adobe MAX」の規模の大きさや現地の盛り上がりを映像を交えて紹介し、セッションやキーノートはネットで見られることを案内しました。

2016年には東京でも開催されましたが、その「Adobe MAX Japan 2016」に参加した人に挙手を求めたところ、意外と多くの手が上がっていました。

クリエイターを取り巻く環境の変化

マルチデバイスを前提とした制作が当たり前になったことや、ユーザーの求めるクオリティが高まっていることなど現代のクリエイターを取り巻く環境は大きく変わっています。

また、デザインの重要性が見直され始めており、Adobeが提供するクリエイター同士のソーシャルメディア「Behance」での求人も増えているそうです。

動画、アニメーション、UI/UXといった新しい分野や、モバイル環境を重視したクリエイティブに対応するため、Adobeのツールも進化し続けています。

「Adobe MAX 2016」で新たに発表されたAdobeの技術のひとつとして、AI (人工知能) と機械学習の統合による「Adobe Sensei」が紹介されました。

AIを活用した話題の技術Adobe SenseiのSenseiは日本語の「先生」から
AIを活用した話題の技術Adobe SenseiのSenseiは日本語の「先生」から

たとえば、Photoshopの画像解析、検索、物体認識などに応用されていく技術で、ユーザーの意見を取り入れながら一緒に作っていくとのことでした。

新しいアプリケーション

新しいアプリケーションとして、様々なデバイスのUI/UXをデザインするAdobe XD(Experience Design)、グラフィックデザイナーでも簡単に3Dコンテンツが作れるProject Felixが紹介されました。

Adobe XDは、Webサイトやモバイルアプリの制作時に、実際に動くプロトタイプを作るのに有効です。現在はベータ版でMac/Windows版が提供されており、ユーザーの声を反映しながら製品化していく予定です。

ページ遷移などを設定し、動くプロトタイプが簡単に作れるAdobe XD
ページ遷移などを設定し、動くプロトタイプが簡単に作れるAdobe XD

モバイルアプリのUIによく使われるレイアウトを、パターンの繰り返しを使って楽に作る例や、ページ遷移を設定する方法、作ったプロトタイプの共有の仕方などをデモンストレーションで紹介しました。

Project Felixはあらかじめ用意された3D素材を利用することで、簡単に3D画像を作れるツールです。グラフィックデザイナーがブツ撮り、パッケージ制作、シーンビジュアリゼーションなどに利用することを想定しています。

3Dの経験がなくても3D画像が制作できるProject Felix
3Dの経験がなくても3D画像が制作できるProject Felix

3Dで用意されたドリンクのビンにロゴを合成し、ポスターに使われるようなビジュアルを制作するデモンストレーションが行われました。

こちらも、現在ベータ版として提供されています。

Photoshop、Illustratorなど定番アプリケーションの新機能

Photoshop、Illustratorといった定番のアプリケーションも、Creative Cloudのアップデートにより強化されています。

Photoshopは、Adobe Stockのテンプレートを使って簡単にデザイン制作する実例や、検索機能で操作方法のチュートリアルを探す方法、「ゆがみ」フィルターを使った顔認識による加工などをデモンストレーションで紹介しました。

Photoshopのマスクを作る機能がより使いやすくなりました
Photoshopのマスクを作る機能がより使いやすくなりました

また、人物などを切り抜いてマスクを作るための新たなツール「選択範囲>選択とマスク」についても、実際の操作を交えて丁寧に解説しました。

Illustratorは、新規のドキュメントを開く際にテンプレートから選べるようになり、文字ツールなどでテキストオブジェクトが生成されるときにダミーのサンプルテキストが配置されるようになりました。これらの機能は設定で以前のバージョンと同様のものに戻すことも可能ということも紹介しました。

Illustratorは文字周りのアップデートを中心に紹介しました
Illustratorは文字周りのアップデートを中心に紹介しました

ほかにも、フォントを選ぶときに適用前にプレビューできるようになったこと、お気に入りのフォントにチェックを入れることで探しやすくなったこと、選択されているフォントと似たフォントを探す機能、異体字に切り替える機能など、文字周りのアップデートについてもデモンストレーションで詳しく解説しました。

モバイルアプリで変わるワークフロー

続いては、モバイルアプリの話題です。現在、全てのモバイルアプリがiOS版とAndroid版の両方で提供されるようになりました。

iPhoneのCaptureアプリで、カメラを使って色を拾う、写真からパターンを作る、写真をベクトルデータに変換して保存するといった作業を、デモンストレーションで紹介しました。

Captureでカメラに写ったものからカラーパレットが作れます
Captureでカメラに写ったものからカラーパレットが作れます

このCaptureや、カンプを簡単に作れるCompなどのモバイルアプリを素材作りやデザインカンプ作りに利用し、IllustratorやPhotoshopなどにデータを同期してフィニッシュワークを行うというワークフローは、現在でも十分実用的ですし今後益々期待できることが感じられました。

モバイルアプリやサービスも含んだAdobeが考えるワークフロー
モバイルアプリやサービスも含んだAdobeが考えるワークフロー

より充実したAdobe Stock、Typekit

さらに、Adobe Creative Cloudを使ってのワークフローの中で、重要な位置付けとなっているのがAdobe StockとTypekitです。

Adobe Stockは取り扱うコンテンツが拡充され、従来の写真、イラストレーション、ベクター、ビデオに加え、3Dモデリングデータ、テンプレート(Photoshop、Illustrator)が追加されました。

Adobe Stockは取り扱いコンテンツが拡充されました
Adobe Stockは取り扱いコンテンツが拡充されました

また、機械学習を用いてパワーアップしたビジュアルサーチにより、画像を使って類似のイメージを探すことが可能になりました。

Typekitにはマーケットプレース機能が提供され、20社以上のパートナーが提供する約6,000種類のフォントを購入できるようになりました。マーケットプレースの日本での提供は2017年を予定しています。

Adobe MAX 2016の発表内容のまとめです
Adobe MAX 2016の発表内容の振り返りです

大勢のお客様にご来場いただき、ありがとうございました。

大勢のお客様にご来場いただき、ありがとうございました。

関連リンク

※Tooでは、AdobeアプリケーションのMacでの使用時のトラブルへの対策など、Macの操作やアプリケーションに関する「よくある質問」をまとめたFAQを提供しています。

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