クラウドストレージの導入を考えているものの、選択に困っている人もいるでしょう。そこで今回は、比較の際にチェックしたいポイントをご紹介するとともに、無料サービスとビジネス用(法人向け)サービスに分けて、いくつかのクラウドストレージをご紹介します。ただし、情報は2019年10月現在のものであり、導入を検討したいサービスがあった場合には、サービス元から最新の情報を得るようにしてください。

クラウドストレージを比較する際にチェックしたいポイント

さまざまなクラウドストレージから、自社に適したサービスを選ぶのは至難に思われるかもしれません。しかし以下のポイントで自社の要件を明確にしておくと選択しやすくなります。

必要なストレージ容量

クラウドストレージの主な用途は、その名の通りデータを長期間保管しておくことです。したがって、どのくらいの容量のデータを保管しておけるかが重要なポイントです。
容量についての感覚がピンとこない場合は、eメールで考えてみましょう。メールボックスの容量はフリーメールであるGmailは15GB、Yahoo!メールは2GB(Yahoo!メールは状況により増量あり)となっています。AsahiネットやSo-netは無制限ですが、BIGLOBEならば5GB、OCNは1GBとなっています。また、GmailやYahoo!メールのメール1通あたりの容量制限は25MB、BIGLOBEやOCNは100MBですが、ビジネスにおけるメールのやり取りでは、添付ファイルは3MB以内に抑えておくのがすすめられています。
次に画像で考えてみましょう。現在のスマートフォンのカメラの画素数は、800万から1,200万が多いようですが、写真1枚のサイズは800万画素ならば約3.6MB、1,200万画素で約4.5MBです。
当然のことながら、通常のビジネス文書であっても、図、グラフ、写真、イラストなどが多用してあると容量が大きくなります。イラストレーターやフォトショップで作成したファイルは1GBを超えることもあるようです。自社で扱うファイルの平均的な大きさを調べ、必要な容量の目安をつかんでおきましょう。

運用コスト

無料プランから有料プランまでありますが、無料プランはビジネス(組織)で利用する場合の機能が足らない場合があるので、利用には注意が必要です。別途、グループワークやセキュリティ、管理機能などが強化された法人向けのプランを持つサービスもあります。
クラウドストレージのコストはプランに応じた単価×利用者数で計算するものが多く、毎月かかる料金が明確です。ランニングコストをほぼ正確な値で把握できるのは、クラウドストレージの大きなメリットです。したがって、必要な機能を持ったプランが自社の予算内に収まるかが事前に把握できます。

機能

サービスやプランによって、利用できる機能に違いがあります。

セキュリティの高さ

ビジネス利用ならば一層のこと、セキュリティに気を遣いたいところですが、セキュリティ対策の内容もサービスによって異なります。「ウイルス対策」「通信経路の暗号化」「保存時のファイル暗号化」「ワンタイムパスワード」「アクセス制限」など、どこまでの機能を求めるかについても考えておく必要があります。

ファイル共有の便利さ

ファイルの共有と転送に関する機能についても、過去のファイルを取り戻すことができる「バージョン機能」や外部からの閲覧に期限がつけられる「有効期限設定」などさまざまです。管理機能についても同様です。自社の業務内容、業務改革の課題などにあわせて、欲しい機能をリストアップしておきましょう。

その他

「バックアップ」や「マルチデバイス対応」などがあることは当然のように思われるかもしれませんが、すべてのサービスがそれらを備えているわけではありませんので、確認することを忘れないようにしましょう。

有料プランの中には、30日間の無料トライアルを設けているものも少なくないので、実際に試してみて導入の可否を判断するのもよいでしょう。

比較!クラウドストレージの無料プラン

クラウドストレージの無料プランの容量について以下にまとめました。無料だからといって、基本機能に違いはありませんが、利用を考える場合にはアップロードの容量制限やスマートフォン対応など、詳細な内容についても確認するようにしましょう。
また、クラウドストレージ市場には、無料と名打っているものであっても、90日間など期限付きのものがありますので、申し込む際にはよく注意するようにしてください。

サービス名最大容量
Amazon Cloud Drive5GB
CloudApp100MB
CloudMe3GB
Dropbox2GB
firestorage無制限 ただし、1か月を超えてログインがない場合には削除
Google Drive15GB
hubiC25GB
iCloud5GB
MediaFire10GB
MEGA50GB
OpenDrive5GB
TeraCLOUD10GB
Yahoo!ボックス5GB

比較!ビジネス用のクラウドストレージ

クラウドストレージのサービスには、ビジネス用に特化したプランがあります。ビジネス用では、保存容量が大きいことはもちろん、アップロードするファイル容量が大きかったり、セキュリティがより堅固であったり、バックアップ頻度が高かったり、管理機能が増強されていたりしています。
通常、ビジネス用のサービスは料金がかかります。保存容量や料金だけではなく、機能、サポート体制もさまざまですので、ビジネス用のプランを導入するならば、費用対効果の点から自社に最適なものを探したいところです。
日本語のホームページがあるサービスの中から、最も手頃なプランのみを以下にご紹介しますが、多くのものはより高度な機能を備えた上位プランがあります。また、導入を具体的に検討したい場合には、最新情報を入手するようにしてください。

サービス名プラン名最大容量月額料金(税抜きの場合あり)そのほか
BIGLOBEプラス300GBID数と容量による:初月無料最大ID数300、1IDあたりの最大容量300GBだが、必要なID数と容量で契約。契約中も柔軟に変更が可能。
BoxBusiness無制限1,800円 /ユーザーファイルアップロード容量5GB。バージョン履歴、データ損失予防機能、高度なITレポート機能あり。
Dropbox BusinessStandard5TB1,250円 /ユーザー180日間のファイル復元とバージョン履歴あり。デバイスデータの遠隔削除が可能。
firestorage法人プランプラン1 9TB89,800円(プラス100,000円の初期費用)契約会社専用回線で高速通信。
G Suite by Google CloudBusiness無制限(5ユーザー未満ならば、1人当たり1TBの上限)1,360円/ユーザー業務に必要なアプリを簡単に作成することが可能。監査証跡機能でユーザーのアクティビティの確認が可能。
KDDIID単位コース10GB/ID300円/IDウイルスチェック機能、フォルダ・ファイル時限機能、ログ・統計情報機能あり。
OneDriveOffice 365 Solo1TB1,274円30日前までのファイルの復元が可能。複数ページの紙書類を携帯電話でスキャンして保存が可能。
SoftBankPrimeDrive100GB180,000円(プラス30,000円の初期費用)ユーザー数は10,000まで。利用デバイス制限機能、ログ管理機能、ファイル検閲機能あり。

クラウトストレージに対する自社のニーズを把握してから

クラウドストレージのサービスは現在、無料のものから大規模企業向けまでさまざまなプランが混在しています。費用対効果をベストにもっていくためには、自社がクラウドストレージのサービスをどのように使用していきたいかを正確に把握しておく必要があります。規模や、必要な機能などをよく確認して、サービスやプランなどを選択しましょう。
繁忙期と閑散期での使用量に大きな違いがあるところでは、月ごとに柔軟に変更できるサービスを選択するのもいいでしょう。また、近年は、無料プランを終了させているところも多く見られます。無料、有料に関わらず、サービスの継続性が高そうなところという観点も入れて選ぶとよいでしょう。


脱PPAP! クラウドストレージの導入メリット


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