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ビジネスにおいて契約を結ぶ場合、これまでは紙に印刷した契約書に押印・署名をして、双方が保管するという形式が一般的でした。しかし、最近は紙の書面を作成せず、電子データですべてを完結させる電子契約を導入する企業が増えています。電子契約とは具体的にどのようなものなのでしょうか。その仕組みや、導入前に知っておくべきメリット・デメリットをまとめました。

電子契約の仕組みと法的効力

電子契約とは、契約における合意形成の手段として、双方の取り決めを記した電子ファイルをインターネットなどの通信回線上で交換し、電子署名やタイムスタンプを付与することで契約を締結するものをいいます。
2001年に施行された「電子署名法」により法的環境が整備されたことや、電子署名やクラウドストレージなどのサービスが充実してきたことで、企業にとっては導入しやすい環境が整い、近年特に注目を集めるようになりました。また、政府の主導により進められている働き方改革や新型コロナウイルスの影響で、リモートワークが多くなり、会社の外から契約書類をハンドリングする機会が増えていることも、注目を集める一因としてあげられるでしょう。

これまで日本ではハンコ文化が浸透していたこともあり、特に重要文書は紙に印刷して押印または署名し、物理的に保存しておくのが一般的でした。そのため、電子契約には業務上のメリットがあることはわかっていても、その法的有効性を心配する声もあります。双方の取り決めがつつがなく遂行されている場合は問題なくても、もし仮に裁判などの争いになった際に法的根拠を示すことができなければ、大きな損害をこうむることになりかねません。

電子証明書とタイムスタンプ

こうした問題に対応するため、電子契約における署名(電子署名)には電子証明書やタイムスタンプが付与されています。

電子証明書

電子証明書とは、電子契約書に記された電子署名が、間違いなく本人によるものであることを確認するための証明書です。印章や署名をただ電子データに落とし込んだものではなく、第三者機関により認証されたものをいいます。印鑑証明付きの印鑑のような役割を果たすと考えるとイメージしやすいかもしれません。

タイムスタンプ

タイムスタンプは付与された時点から文書の内容が改ざん・変更されていないことを示すための証明書です。これを付与することで文書の内容が間違いなく正確なものであることが保証されます。

また、2020年4月に施行された新民法の第五二二条第2項には、以下のように記載されています。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

【出典】民法第五二二条第二項 より引用

法律上有効な契約を締結するうえでは、必ずしも手書きの署名や押印が求められるわけではなく、また契約の方式(書面を発行するかどうかなど)は、特定の法定書式要件の対象である場合を除き原則自由とされています。こうした理由から、電子契約は従来の紙文書と同じように法的効力を持つものとして認識され、多くの企業が導入を進めています。

電子契約における3つの方式

電子契約には、署名鍵の種類で大きく分けて3つの方式があります。
電子書類には改ざんができないように暗号化された電子署名がされています。この暗号を解除するために利用するのが署名鍵です。電子署名の検証をおこなうことにより、正規の書類かどうかがを確認することができます。

ローカル署名型

電子署名の検証をおこなうための署名鍵を事前に利用者全員が取得し、それを格納したICカードやソフトウェアなどの物件を保有する形式。2001年の電子署名法施行時は主流だったものの、現在はあまり用いられていません。

リモート署名型

署名鍵をICカードやソフトウェアではなく、クラウド上で管理する形式。利用者がICカードなどの物件を保有する必要はないものの、署名鍵を事前に取得しないといけないというデメリットは変わりません。

グローバル・スタンダード型

クラウド事業者が契約主体者の指示で電子署名をおこない、検証に必要な署名鍵もクラウド事業者が提供する方式。スピードと安全性を両立できるとして、現在の電子契約の主流になりつつあります。

電子契約のメリット

電子契約には、紙面の契約書にはない数々のメリットがあります。なかでも業務において注目されているのは以下の3点です。

コストの削減につながる

紙面での契約書から電子契約に切り替える最大のメリットは、コスト削減につながるという点です。契約書作成時の用紙代やトナー代、郵送にかかるコストはもちろんですが、保管するための書庫にかかる費用や管理費用も削減することができます。特に、頻繁に契約を結ぶ企業にとっては、保管スペースにコストをかけなくてすむのは大きな差といえるでしょう。
また、電子契約は紙の書面を発行しないため、印紙税法上の「課税文書の作成」には該当せず、印紙税の課税原因が発生しないというメリットもあります。

事務処理が迅速化する

電子契約は紙の契約書に比べて、契約処理が迅速におこなえるというメリットもあります。紙の契約書の場合、契約書を印刷・製本したあとに社内で押印し、さらに契約相手と郵送でやり取りをおこなう必要があります。それぞれのリードタイムを考えると早くても数日、場合によっては1ヶ月程度の時間がかかることも珍しくありません。
電子契約の場合、クラウド上にアップロードされた契約書のデータに電子署名をおこない、契約相手にメールで送付し相手方が電子署名をおこなえば契約処理は完了となります。準備が整っていれば数時間程度で終わることもあり、事務処理にかかる時間を大きく削減できます。

インデックス性が強化される

契約書は税法によって一定期間の保管が義務付けられています。仮に過去の契約書を確認したい場合、ファイルが保管されているキャビネットを一つひとつ調べていく必要があります。しかし、電子契約の場合はファイル名や内容で検索することができます。特に近年一般的になったクラウドストレージと併用することで、高いインデックス性を確保することができるでしょう。

クラウドストレージの導入によるインデックス性の強化や業務効率の向上については、以下でも詳しく説明しています。ぜひ、あわせてご参照ください。

なぜペーパーレス化が必要なのか?成功事例から学ぶメリット
ビジネス用にクラウドストレージ導入。比較のポイントは?比較表で比べてみよう

電子契約導入には課題もある

一方で、電子契約の導入には少なからず課題もあります。
その代表的なものが、相手先企業が電子契約を認めている必要があるという点です。電子契約に必要なツール自体は送り主側だけが導入していれば運用可能ですが、相手側が従来のような紙面による契約を希望した場合は使えません。
また、従来の業務フローを少なからず変えることになるため、運用環境の整備や担当社員の教育などの手間も発生することになります。特に日本はハンコ文化が根強いため、企業によっては物理的な押印のない電子契約を導入するために社内の理解を得る必要があるケースもあるかもしれません。

電子契約は業務の効率化、低コスト化に大きく貢献する

このように電子契約は一部で課題もありますが、業務の効率化やコスト削減に大きく貢献することは間違いなく、今後は導入する企業も増えることが予想されます。将来的に電子契約が主流になった時に焦ることのないよう、早いうちに検討してみてはいかがでしょうか。


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