兵庫県神戸市にあるカネディアン・アカデミイ様は、3歳から18歳までが在籍する幼小中高一貫のインターナショナルスクールです。同校ではAdobe Creative Cloudを導入し、小学生から高校生までの12年間の学びを通じて幅広くアドビ製品を活用することで、子供たちが将来も使い続けられるクリエイティブスキルを身につけることを目指しています。デザイン・アート・クリエイティブの領域を中心にデジタルツールを活用した教育に携わる茂田可愛様とJan Ryszawy様に、教育現場でのアドビ製品の活用事例を伺いました。
小学校から高校まで段階的に広がるアドビ製品の活用
同校では、デザイン・アート・クリエイティブの領域の授業において、創造力・探究心・基礎技術を育成し、AIリテラシーや主体的に学び続ける力、社会とつながりながら表現する力を身につけることを目指しています。
デジタルツールの一つとしてAdobe Creative Cloudを500ライセンス導入しており、ライセンスがなくても使用可能なAdobe Expressの利用者数は720名にのぼります。小学校では、種類豊富なテンプレートを使って誰でも簡単にコンテンツを制作できる「Adobe Express」や、無料で使用できるプロ品質のペイント・描画アプリ「Fresco」を中心に授業を展開。中学校・高校では、テキストと画像を組み合わせたレイアウトやデザイン・イラスト制作に最適な「Illustrator」や、プロフェッショナル向け動画編集ソフト「Premiere」、ページレイアウト・デスクトップパブリッシング(DTP)ソフト「InDesign」など、プロの現場でも使われる本格的なクリエイティブツールが揃ったAdobe Creative Cloudを活用しています。
茂田先生は小学校での活用について「3年生の頃からAdobe Expressを使い始め、4年生はすでに5つほどのプロジェクトを通じて作品を作り上げています。5年生は、Frescoを用いたアニメーション制作を通じて、レイヤーや色の仕組みに対する理解を深めました」と説明します。
例えば、3〜4年生のVisual Artsの授業では、出身地の異なる子供たちが自分の思い描く雪景色を、Adobe Express内のAIで生成した背景やオブジェクトを重ね、遠近法を学びながら表現しています。中にはアニメーションをつけて雪を降らせた作品も。それぞれのバックグラウンドがよく現れた作品が数多く生まれています。
中学校・高校を担当するJan(以下、ヤン)先生は、高校1、2年生のグラフィックデザインの授業で、レーザーカッターを使ったものづくりをおこなっているとのこと。Illustratorでデザインしたオリジナルモチーフを、レーザーカッターでアクリル素材に刻み、LEDライトスタンドの彫刻を作り上げます。デジタルツールだけでは完結しないものづくり体験が実施されています。
AIでの画像生成に失敗する体験を意図した授業も
生成AIを取り入れた授業も積極的におこなっています。AIを活用した教育を進める中で、AIでの画像生成に失敗する体験も重要視していると茂田先生は言います。Adobe Expressの画像生成AIを用いて、理想の給食を作る授業では、「炊いた米を意図していたのにも関わらず、米粒が生成されたなど、生成に失敗することを狙っています。生成したい物は何個なのか、何色なのか、切ってあるのか、事細かくプロンプトで指定しなければいけません。自分の思い通りのものを生成することがどれだけ難しいかを説明します。『AIすごい』じゃないんです、私がやりたいのは」と、まず最初に失敗することで気づくことの重要性を語りました。
その際、著作権やAIリテラシーについても丁寧に教えています。小学3年生の授業から画像生成AIを使用するという茂田先生は、「アドビ製品を使うことが多いです。他社の画像生成ツールも試しましたが、実在の人物や既存のキャラクターに似た画像が生成されるケースがあり、教育現場での活用には少し慎重に考える必要があると感じました。アドビ製品はそうした点への配慮があり、安心して子供たちに使わせることができます。一方、AIに対するリテラシーを身につけられるよう、さまざまな生成AIツールを使用し、子供たちAIの注意点や課題を肌で感じてもらうこともあります」と説明します。
ヤン先生によると、「高校1、2年生は、ディスカッションを通じてAIの使い方について学ぶ、AIミニレッスンをおこなっています。その際、アドビのAIに対する姿勢を良い例として紹介しています。アドビは高いクリエイティブ精度を持ち安全なAI開発に、積極的に投資をしていることや、著作権にも配慮して画像を生成するなど、倫理面でも優れていることを説明しています」とのこと。AIとの向き合い方を段階的に学ぶことで、社会に出た後も役に立つ活用方法を身につけていきます。
クリエイティブな体験に、ぴったりなのがアドビ製品
同校では、他社製品も含めてさまざまなツールを比較検討しながら、プロジェクトに最適なツールを選択しています。その中でアドビ製品を選択する理由について、茂田先生は次のように語ります。「どんなものを作り上げ、何を最終目的にするのか、そのプロジェクト内容によって、使うツールを変えます。他社ツールを使う場面もあります。正直、アドビ製品かどうかは関係ないです。アドビ製品にこだわっているというより、アドビ製品がふさわしいという方が近いですね。『子供たちが将来も使い続けられるクリエイティブスキルとして、アドビ製品の使い方を覚えると便利』という側面もあります。ただ、それ以上に重要なのは、いかにクリエイティビティやキュリオシティ(好奇心)を発揮できるかという点です。それにぴったりなのがアドビ製品でした」
小学生が授業で主に使っているChromebookでAdobe Expressが快適に動作するなど、使用するデバイスとの相性もポイントとなります。また、AI機能が著作権に配慮しているなど、教育者として伝えたいことに集中できる環境はアドビ製品だからこそ整えられていると感じているそうです。
ヤン先生は、「中学・高校のデザインの授業でIllustratorを使っている理由は、ベクターのグラフィックスをしっかり学んでほしいからです。ラインからオブジェクト、レイヤー……。一つひとつの仕組みをゼロから理解し、『なぜそうなるのか』を考えることを大切にしています。もちろん、子供たちが個人的に制作を楽しむ場合は、使用するツールや方法は自由です。しかし、私のデザインの授業では、基礎力を身につけるために、理論と技術の両面をきちんと学んでほしいと考えています」と説明します。
アドビのエコシステムが支える小中高一貫の学び
アドビ製品を使用していれば、学校に在籍している間、自分のアドビアカウントのクラウド上に、制作したすべての作品が蓄積されていきます。「小学生の頃にAdobe Expressを使い始めて以降、アドビ製品で作ったファイルが在籍中ずっと残っているのは大きいです。小中高と続く自分のポートフォリオになっています。自分のアート作品を振り返ることができるんです」と茂田先生はそのメリットを語ります。
さらに、学校のiPad上でFrescoで描いた絵がクラウドで同期され、自分のChromebook上のAdobe Expressに出てきたり、Illustratorで作成したベクターデータをAdobe Expressに取り込めるなど、デバイスやファイルフォーマットを意識せず、ツール間で連携できる点について、利便性を実感しているといいます。
ヤン先生は「iPadにApple Pencilで形を作り、それをIllustratorで整えるといった、それぞれのいいところを組み合わせて使うことを伝えていきたいです。また、iPadのFrescoからボタンひとつでパソコンのIllustratorにデータを移動できるなど、ファイルフォーマットやバージョンを気にせず連携できるのはすごく便利」と、小学生から高校生までのデザイン・クリエイティブの学びを支えるアドビのエコシステムを高く評価しています。
先生がすべてを知っている必要はない。アドビ製品は子供たちが自分のペースで学べる環境が整えられている
「先生がツールを完璧に使いこなせなければ教えられない」と考える教育現場も多いですが、同校の姿勢は異なります。茂田先生は「ツールに詳しくなくても使えるし教えられます。子供に聞かれて答えられないって言える度胸があるかどうかです」と語ります。
Illustratorなどの高度なツールを教えるヤン先生も、手取り足取り教えることはしません。アドビが提供するチュートリアル動画などを活用し、子供たちが自分のペースで学べる環境を整えています。「レッスン動画を作っていたこともありますが、バージョンアップでツールの形や位置が変わると子供たちは混乱します。アドビの公式レッスンを見て勉強する方法で十分なんです。子供たちが自主的に学び、私の知らないツールや使い方を教えてくれることはとても嬉しいです」とヤン先生は説明します。どの授業でも、子供たちは自主的にツールを使っており、考えるプロセスや伝えようとする姿勢を大切にする教育が根付いているのです。
アドビとTooの協力で、教育現場と社会とのつながりを広げていきたい
茂田先生はTooについて「アドビが開催するミートアップイベントでお会いし、アドビ製品に対する手厚いサポート体制があることを知りました。また、Adobe Creative Educator Innovator主催の教育イベントでも協力いただきました。教育者に寄り添い、学校現場への理解があるからこそのサポートを受けられると感じ、Tooさんにリセラーを変更しました。今回も導入事例として当校を広く知っていただけるチャンスをくださり、ありがたいです」と語ってくださいました。
「学校は社会とのつながりが少ない」と教育現場の課題を語る茂田先生。「アドビ製品をきっかけに著名なイラストレーターとつながりを持つことができ、その方に子供たちへ授業をしてもらいました。アドビ製品やアドビに関するイベントが、社会との出会いを広げてくれていると思います。今後もアドビさんやTooさんに協力いただきながら、社会とつながる学びの機会をさらに広げていけると嬉しいです」と今後の展望を語りました。


※記載の内容は2026年3月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。


