Too主催の特別セミナー「.design surf seminar 2017 - デザインの向こう側にあるもの - 」が、2017年10月13日(金)に虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区虎ノ門、虎ノ門ヒルズ森タワー4F)で開催されました

昨年に続き第2回目となる今回も、デザインをビジネスの側面から捉えた9本のセミナーを行いました。

本レポートでは、AIが「いま」できること、できないことをテーマとしたトークセッション「AIをデザインする」について紹介します。

スピーカー紹介

鈴木 徹

on fleek株式会社 代表取締役社長 1980年代後半に日本IBMに入社。メインフレーム機のOSやJava仮想マシンなどの海外開発部門での活動や国内・海外のお客様サポートなどのグローバルチームでの活動などを経て、Watson IoT事業部にてIoTのテクニカルリードとして新しいビジネス価値を創出。2017年8月よりTooのCTOに就任。趣味は野菜作り。

町田 裕治

フジヤマゲイシャLLC 代表 マッキンゼー&カンパニー、株式会社リムネット、ユニゾン・キャピタルなどを経て、2013年9月フジヤマゲイシャLLC代表。画家としてもニューヨーク、東京にて活動中。

川崎 紀弘

株式会社コンセント クリエイティブディレクター 凸版印刷、アスキーなどを経て、2000年コンセント入社。エディトリアルデザインをベースとした、情報デザイン全般のデザインセミナーや講師、デザインコンサルティング、プロデュースといった総合ディレクションを担当。

身近にすでにあるのか、まだまだ実感がないのか。氾濫する「AI(人工知能)」という言葉はよく耳にしますが、デザイナーの仕事にはどう影響を及ぼすのでしょう?
技術を代表して鈴木さん、デザイナーを代表して川崎さん、そして、ビジネスコンサルタント兼アーティストの町田さんの3人に登壇していただき、「AIがどうなる」ではなく「AIをどうデザインするか」というワクワクする話をしていただきました。

道具としてAIを使う。AIって何ができるの?

最初に、漠然と壮大なイメージのあるAIについて「AIがいまできること、できないこと」を伺いました。AIは似た作業の繰り返しや、何万人分もの好みを把握するなど、煩雑な作業を得意とします。その一方で、「デザインの仕事にはその先があるはず」と鈴木さんは話します。

そして、「AIがデザイナーの仕事にどう影響を及ぼすのか?」に触れつつ、道具としてのAIの活用について、いくつかの事例や将来の活用イメージを紹介しました。

川崎さんは、昔から今に至るデザイナーの動向を踏まえて、素朴な疑問や感想を投げかけました。町田さんは、会社ごとに異なるAI活用のポイントについてビジネスの観点から話をしました。


写真左から、鈴木さん、川崎さん、町田さん

『どんなAIつくるか』をデザインする

次に、「AIをデザインする」という、もう一歩踏み込んだ内容についてトークセッションが繰り広げられました。

鈴木さんは、「AIには可塑性があり、エンジニアとは違う視点、違う切り口で『どんなAIつくるか』を考えることが大事」と語り、デザイナーの出番があるのは「AIをどう活用して、“ワクワク”を設計、デザインしていくか」だと解説しました。


「AIをデザインに使う素材として捉えるのはどうだろう?」と話す鈴木さん

デジタル端末の有無に関わらず常にインターネットに繫がっている状態が当たり前となり、AIがありふれたテクノロジーとして普及したときには、そのデザインは生活スタイルの提案そのものとなるでしょう。川崎さんは、すでに多くのデザイナーが、ユーザー体験やサービス設計に関与していることを踏まえ、「なるほどねぇ」と得心がいったようでした。

まずは簡単に、AIを使ってみる体験を

「モノづくりだけではなく、“コト”を提案するために、AIを知っておいた方が良いです」と話す鈴木さんに、川崎さんは「AIを知るって、どこまで知れば良い?」という、来場者を代弁するような問いかけをしました。

「大きなシステムではなく、まずは小さく、ノートPCで動かせるレベルのAIで機械学習を体験してほしい」と答える鈴木さんからは、多少なりとも体験した上で、大局を知る人との議論が必要だとアドバイスがありました。

軽妙なやりとりに会場から笑い声が上がるなど、和やかな雰囲気で進んだ3人のトークセッションでしたが、どんな話題が飛び出すかわからないテンポの速い応酬に、話を聴き逃すまいと耳を傾ける来場者の皆さんの真剣な姿が印象的でした。


会場では、町田さんがトーク内容のキーワードをリアルタイムにマッピング。最終的に1枚の図が描かれました。


page top