瀬味証券印刷株式会社様は、古くから宝くじや商品券、債券などの有価証券類の印刷製造に携わり、重要印刷物の企画制作から製版、印刷、加工、物流業務までを手がける印刷会社です。金融機関の重要用紙や教育機関の入試問題など、間違いがあってはならない案件が多く、文字校正の効率化のため、ドキュメント差分検出ソフトウェア「Collate Pro」を導入されました。導入された経緯とその導入効果について、お話を伺いました。
ピーク時には文字校正に他部署の応援を必要としていた
制作物の確認の際に、常時2名で文字校正と検版作業をおこなうことが弊社のルールとなっています。少ないものでは一文字の修正、多いものではA4サイズで数十ページの冊子など、すべての案件で、例外なく2名で体裁確認と文字校正をおこなうことを必須作業としています。金融機関の重要用紙や教育機関の入試問題など、間違いがあってはならない案件を数多く受注していることもあり、正確かつ容易に校正ができるシステムがないかと探し始め、6年前には検査・検版システム「Hallmarker」を導入し検版作業の省力化を図りました。
しかし、お客様からお預かりした原稿と弊社で作成したデータの比較など、文字校正に関しては従来通り人力でおこなうしかありませんでした。ピーク時には、他部署に応援要請をして文字校正作業をおこなうことも常態化しており、この作業を効率化できるシステムを探していました。
試用導入で文字校正時間が1/5に
展示会「page2018」で弊社の制作スタッフがTooのブースでCollate Proを見かけたことから、導入検討が始まりました。弊社にお越しいただきデモを拝見した時には、「探していたものはこれだ」と感じたことを覚えています。
約2か月間試用期間を設け多くの作業に使ってみました。前年度も同じ作業をおこなっていたページものの作業で試用した際、前年度には延べ110時間を要していた文字校正作業が、延べ20時間と1/5に短縮できたのには驚きました。Collate Proの導入で文字校正時間が大幅に短縮することで、素読み(文章を読んで文章の中身を確認する)をおこなう時間が増え、ただ文字を組むだけではなく、お客さまのための提案により力を入れられると手応えを感じました。
導入後すぐに効果を実感
ピーク時でも、新たなページ物の案件に対応できた
2019年にCollate Proを導入し、金融機関の重要用紙および試験問題での利用をメインに、チラシやリーフレットなど文字校正が必要な作業すべてに活用していきたいと考えています。
実は、導入後すぐにページ数の多い案件の受注が決まりました。ほかの仕事も数多く動いている状況で、文字校正作業をおこなえる人員が少ない状況でしたので、Collate Proの効果を十分引き出すことができました。業種ごとに時期によっての制作物が多くなり、そういったピーク時でもCollate Proによる時間短縮の効果を実感しています。
異なるファイル形式でも直接比較できるところが便利
お客様から支給いただくテキストデータもWordやExcelなど多種あり、そのいずれもが間違いが許されないデータです。Collate Proでは「Office文書とPDF」など、異なるファイル形式でも直接比較できるところが便利です。Collate Proを使うことで、校正の時間短縮と正確性の向上が見込めるので、今後もどんどん利用していきたいです。
金融機関の規定集など、複雑な修正が多い案件にも効果を期待
Collate Proの力を最大限に発揮できるのは、初回作成時の校正だと思います。弊社の場合、お客さまからお預かりした支給テキストと、制作スタッフが作成したIllustrator、InDesignデータから書き出した PDFファイルとを比較する段階において、もっとも効率化が望めると感じています。
さらに、2回目以降の修正作業においても、修正箇所以外の確認作業としてCollate Proでの検査をおこなうことで、より間違いのないデータ作りができると考えています。金融機関の規定集などは複雑な修正が多く、確認するために多くの時間がかかります。より正確に、より早く確認できるCollate Proは重宝するはずです。
導入後20日で約500件の検査に活用
主に10名ほどのスタッフでCollate Proを利用しています。使用する基準を明確にしていませんが、使った方が便利だと思う作業についてはすべて使用していくつもりです。とくに、文字校正に不慣れな制作スタッフには積極的に使用するように促していくことで、個人のスキルに依存しないで高い精度の校正を短時間でおこなえる体制が作れると考えています。
導入後20日経った時点で、約500件の検査をCollate Proでおこなっています。一日平均25件程度で、今後もっと増やしたいと考えています。まだ導入したばかりで、検査を実行するまでの準備に時間がかかってしまうケースも見受けられます。慣れるにしたがって時間の短縮もできると思いますので、より良い作業方法を模索しながら作業しています。
今後は、制作スタッフだけではなく営業職にもCollate Proを使用してもらう予定です。とくに繁忙期には、営業担当者が外部で作成したデータのチェックに多くの時間を費やしていることが見受けられます。制作スタッフとは違いCollate Proに触れる機会が少ないので、よりわかりやすいマニュアルを用意して配付する予定です。
自社の管理体制の一環として、制作物の正確性をアピールしたい
制作物の完成度に厳しいお客さまに対しては、弊社の管理体制の一環として、Collate Proを使用することによる制作物の正確性をアピールしたいと考えています。検査結果や一覧などの出力紙をお客様に提示することで、制作物への信頼度を得られると同時に、お客様ご自身でおこなう確認に費やす時間の短縮にも繋がります。そういった取り組みを、弊社への信頼にも繋げたいと思います。
今後は、Collate Proの導入により、試験問題、ディスクロージャー、業務報告書など、IR資料の内容校正の事業を新たに展開していく予定です。