新大学生のパソコン選び。MacとWindowsどちらを選ぶ?

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大学生はPCをどう選ぶべき?

大学入学時にはさまざまな準備が必要で、ノートパソコン選びもその1つです。スマホは使っていてもパソコンのことはよくわからないという新大学生の皆さんに、後悔のないパソコン選びのポイントを紹介します。

Windows PCとMacBook・それぞれを選択する場合の検討事項から、首都圏の一部有名大学の推奨パソコン・スペックもまとめています。
疑問や不安をなるべく解消して、快適な大学生活をサポートしてくれるパートナーを選択しましょう!

はじめてのノートパソコンどう選ぶ?

大学生になるといきなり、履修登録から課題作成、提出、場合によっては授業の受講やコミュニケーションまで、全てパソコンで行う生活となります。

デスクトップ型の共用パソコンが大学内に用意されていることもありますが、最近はオンラインと対面のハイブリッド授業を取り入れる動きもあるので、自宅と学校に持ち運べる自分用のノートパソコンが必要となることでしょう。

大学では、学校側から自分の持ち物に対する指導が細かく行われることはほとんどありません。
しかし、パソコンに関しては大学側が提供する学習システムや設備の関係で、推奨されるモデルやスペックが指定されることがあります。その場合は、【基本的に大学からの案内に従って機種を選択】しましょう。

スマホがあればノートパソコンはいらないのでは? と思われる人もいるかもしれません。確かに、インターネットでの調べ物や同級生との連絡などはスマホでも簡単にできますが、授業で用いる資料の整理、レポート作成や実験など生産・創造的な作業を行うにはノートパソコンのほうが効率的です。

では、大学側からの推奨パソコンの指定がない場合、あるいはMacとWindows PCの両方が推奨されていた場合にはどれを選べばよいのでしょうか。
どのOS・機種・スペックのものを選ぶべきか。まだ使い慣れたパソコンを持っていない段階では、悩むことも多いことでしょう。

しかし、少なくとも避けてもらいたいのが、安いからといって現在標準的なスペックを満たさない格安モデルや個人売買の中古品を選ぶこと。

これから数年間のキャンパスライフを快適に過ごすには、必要十分な性能を持つモデルを選びたいところです。 古いものや安価なものではスペックが低い(メモリ2/4GB等)パソコンも存在しますが、オンライン講義に対応できなかったり、4年間通して使えなかったりすると、かえって出費が嵩むこともあります。
後述の各大学推奨パソコンのスペックを参考に、なるべくストレスの無い端末を選びましょう。

さらに、新大学生向けには、期間限定の特別なキャンペーンや学割価格が設定されていることもあります。
また、保証期間が在学期間中の4年間に延長されていたり、専用のサポート窓口が設置されている場合もあるので、これらを活用して大学生活の頼れる「相棒」を賢く手に入れましょう。

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大学でのレポート作成や研究発表、ゼミやサークル活動にノートパソコンは欠かせない存在です。リモート授業にも対応できる1台を手に入れましょう。

有名大学の推奨パソコンはどうなってる?

現在、首都圏にある有名な大学では、どのようなモデルが推奨されているのでしょうか。国公立大学と私立大学、文系学部と理系学部などでそれぞれ基準が異なりますが、調査した2022年4月時点では次のようになっています。

東京大学教養学部

東京大学消費生活協同組合(東大生協)では、大学側の推奨仕様に基づき「駒場モデルパソコン」を販売しています。
MacとWindows PCが選択可能で、新規に購入する場合はmacOS 11.0以降を搭載したM1 Mac、あるいはWindows 10以降を搭載し、Intel Core i5以上のCPUを搭載したモデルとなっています。

東京大学消費生活協同組合外部サイト

早稲田大学

早稲田大学消費生活協同組合では、「早稲田パソコン」として文系学部ではPanasonicの「Let's note QVシリーズ」、理工系学部では「Let's note SVシリーズ」を推奨モデルとし、人間科学部・スポーツ科学部ではM1チップを搭載した13インチの「MacBook Air」「MacBook Pro」が指定されています。

早稲田大学消費生活協同組合外部サイト

慶應義塾大学(日吉キャンパス)

慶應義塾消費生活協同組合では、「塾生パソコン」としてタブレット型の「Surface Pro 8」「Surface Pro 7+スタンダード/理系モデル」「Surface Laptop Go」のほか、ノートパソコン型の東芝「dynabook」、Appleの「MacBook Air」「MacBook Pro」がラインアップされています。

慶應義塾消費生活協同組合外部サイト

いずれの大学でも共通しているのは、MacとWindowsそれぞれの最新版OSの動作をサポートしていることです。(記事執筆当時)Macであれば「macOS Monterey」、Windowsでは「Windows 11」と、現時点での最新版であることが必要です。

ハードウェア的には、メインメモリが8GB以上(理系などでは16GBも推奨)、ストレージは256GB以上のSSDを搭載していることが目安となります。また、持ち運びに適している1kg~1.5kg以内のノートパソコンが大半で、バッテリー駆動時間は1日フルに使えるように最低でも8時間以上もつことが必要です。

さらに、Wi-FiやBluetoothなどのネットワーク機能は標準装備です。リモート授業に対応できるように、小型のインカメラと音声入出力が備わっていることも必須の要件となっています。

Windowsのノートパソコンを検討する

大学や学部によって考えは異なりますが、Windowsを搭載したノートパソコンがおすすめできるのはどういう場合でしょうか。
以前は、大学側のLMS(ラーニングマネジメントシステム)や授業ポータル、図書館サービスなどがWindowsでの動作しかサポートしていないこともありましたが、最近はOSの種類に依存するケースは少なくなっています。

Windowsが推奨される理由として最も考えられるのが、調査や実験に使用するソフトや提出物でWindows専用形式が指定されている場合です。

Windowsでしか開けない実行ファイル形式(「.exe」など)は、変換ツールや仮想ソフトを用いればMacでも実行することができますが、基本的には研究室の指示通りに操作できる端末を選ぶほうが良いでしょう。
統計ソフトや解析、プログラミングなど、授業で利用するソフトウェアやプラグインにOS縛りがある場合は、必ず指定があるはずです。

このあたりは学部や選択科目、担当する講師の方針によって事情は大きく異なります。事前に、希望研究室でWindowsでないと受講できない授業があるかを確認しておきましょう。

また、Windowsの場合は様々なメーカーが製造しているためラインナップが豊富です。機能やハードウェアの構成がより柔軟なので、選択の難しさはある一方で、用途と好みに合わせたPCを準備できるのは利点と言えます。

利用できるソフトウェアの種類も多いのですが、プリインストールのアプリを使うことは少ないため、使い勝手の良い安全なソフトウェアを自分で探していく必要があります。

よく心配されるMicrosoftの「Word」「Excel」「PowerPoint」といったレポート作成やプレゼンテーションで用いられるOfficeソフトについては、Mac版もあるので一般的な大学生の利用範囲ではWindowsでもMacでも問題なく利用できます。

大学によっては学生向けに一括でライセンスが提供されていることがありますので、どのノートパソコンでも無償もしくは格安で利用できます。

少し気をつけなければならないのが、「一般企業に就職したら大半がWindowsになるのだから、就活にはWindowsが有利だ」という一見もっともらしい意見です。少しパソコンに詳しそうな人から言われると納得してしまいそうですが、最近の企業におけるパソコン利用状況は一昔前とはかなり変わってきています。

もちろん業種によって、Windowsが適している会社もありますが、エンジニアが多い人気企業ではMacをメインに使っていたり、MacとWindowsを従業員が自由に選択する制度を導入する企業も登場しています。

パソコンの「従業員選択制」を導入している企業事例
・株式会社サイバーエージェント 様
・株式会社サイボウズ 様

「最初に就職したところで定年まで働く」という価値観も変化している昨今、不明点はある程度自力で解決できる力を付けて、柔軟な選択肢を持つ方がキャリアの幅が広がります。

就職後のことを気にするよりも、大学生活ではいろいろな種類のパソコンやソフトに触れたり、問題発生時の解決力を向上させてみることをおすすめします。

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認定教育機関に所属する学生は、Word、Excel、PowerPoint、OneNote、Microsoft Teamなどを含んだ「Office 365 Education」を無償もしくは格安の価格で利用できます。

Macのノートパソコンを検討する

では、Macのノートパソコンが適している場合はどうでしょうか。
デザインや映像を扱う学部などではMacが指定されることもありますので、繰り返しになりますが、大学側の指定には従うことをお勧めします。

しかし、こちらも基本的にはWindows PCの場合と同様に、Macでしかできない授業はそれほど多くはないでしょう。MacとWindows PCのどちらでも選べるのであれば、価格や使い勝手の面に注目したいところです。

以前は価格が高いイメージもあったMacですが、大学生協などで推奨されているMacBook Airは学生価格のため、国産のWindows PCとの価格差はほとんどありません。コストパフォーマンスの観点からは、最新のApple Siliconを搭載したMacが同価格帯のWindows PCを上回ることもあります。

選べるモデルは限られていますが、現行モデルを購入すれば4年間は問題なく使い続けられるパフォーマンスを備えているのも利点です。
パソコン選びに自信が無くても、Macならスペック不足のものを購入してしまうリスクが無いのは安心できるでしょう。 数年利用した後の中古端末でも、市場価値が高く残り、価値が下がりにくいのもポイントです。

また、ハードウェア本体と基本ソフトを同じ会社が作っているため、操作に一貫性がありパソコン初心者でも使いやすいというメリットもあります。
もしiPhoneを使っているのであれば、Apple製品同士なので「メモ」「Safari」「FaceTime」等の純正アプリを共通で使えたり、データの受け渡しなどの利便性はかなり高いと言えるでしょう。

そして前述のように、レポート作成や研究発表に用いるMicrosoftのOffice製品も問題なく利用できます。なお、Macには「Pages」「Numbers」「Keynote」というドキュメント作成アプリが無料で搭載されていますが、こちらはMac独自のファイル形式が採用されています。Pages等を使って作業することもできますが、レポート提出時にはWindowsでも開けるように、それぞれOffice対応の形式やpdfで書き出す必要がある点は注意です。

また、以前のIntelのCPUを搭載していたMacでは、「Boot Camp」という仕組みを用いることで、WindowsをインストールしてmacOSと切り替えながら使うこともできました。しかし、現在のApple Siliconを搭載したMacでは、「Boot Camp」は非対応となっています。

「Parallels Desktop」などの仮想化ソフトを用いればMac上でWindowsのソフトを動かすことも可能ですが、現状ではフルスペックのWindowsとして動かすことができません。

1台でmacOSとWindowsを同時に使うことは、よほどの事情がない限り今のところ考えなくてもよいでしょう。

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デザイン、プログラミング、動画などクリエイティブ分野との相性がよくスマートなApple製品は大学生に人気です。

大学生ならではの特典を賢く利用しよう!

MacとWindows PCのそれぞれの利点と選ぶ理由について検討してきましたが、2022年現在においてはどちらを選んでも大きな問題はないという結果が見えてきました。つまり、大学側で指定がない限りは、自分の好みで選んで構わないということです。

2022年4月1日からは成年の年齢は20歳から18歳に引き下げられました。つまり、新大学生のほとんどは立派な「大人」です。
パソコンはあくまでツールですが、大人として主体的な判断で選ぶことで、手元に届いた時により使いこなしたいと思える「相棒」になることでしょう。

そして、購入する際には生協や各メーカーが提供する「学割プラン」の利用を検討するとお得なことがあります。例えば、Apple製品では学生向けのストアがあり、MacやiPadを1割引き程度の価格で購入できます。

また、写真編集ソフトの「Photoshop」や動画編集ソフトの「Premiere Pro」などをすべて含んだ、AdobeのCreative Cloudのコンプリートプランにも学割の特別価格があります。こちらは初年度のみ最大65%割引が適用されるなど、かなり魅力的なプランとなっています。

ほかにも、新大学生向けの特典は各社から提供されていますので、無理なく支払える範囲で賢く利用してみましょう!

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Appleの「学生・教職員向けストア」では、MacやiPadを特別価格で買うことができるようになっています。

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AdobeのCreative Cloudのサブスクリプション価格も学割価格が初年度のみ適用されます。


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【著者プロフィール】 栗原 亮
合同会社アルケー代表
Mac専門誌、Webマーケティング誌の編集・執筆のほか中小企業のDX支援コンサルティングなどを手がける。LinkedInラーニング講師としてmacOSコースを担当。
https://arkhe.ltd


記事は2022年4月25日現在の内容です。

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