立命館守山中学校・高等学校様は、全国に5校ある学校法人立命館の直営の小・中・高等学校のうち最も新しい学校で、2026年に20周年を迎える中高一貫校です。「Be a GAME CHANGER」をビジョンに掲げ、世界を変える人材の輩出を目指しています。
2023年度高校入学生より、アウトプットの幅を劇的に広げ、より質の高い学びを提供するため、生徒一人ひとりがiPadとMacの2台持ちという先進的な学習環境を実現しました。導入の経緯から効果までを、情報科教諭で校内のICT管理をされている伊藤久泰先生と、同校でデバイスの運用をされているワールドビジネスセンター株式会社の山口小百合様、岸田晃子様に伺いました。
「ICTで新たな価値を生み出す人材」の輩出を目指し、iPadに加えて1人1台のMacを導入
伊藤先生(以下、敬称略):
高校の情報Ⅰと理系生徒の選択科目であるコンピューターサイエンスの授業を担当しています。また、メディア教育部の主任として、校内のICT機器やネットワーク、サーバーなどの管理を担っています。
岸田様(以下、敬称略):
校内で生徒が使用するデバイスの設定や管理・運用、トラブル発生時の対応、そして情報Ⅰやコンピューターサイエンスの授業補助をしています。学校の要望を汲み取ったうえで、生徒たちが安心して学習できる安定したインフラを構築・運用することが私たちのミッションです。
伊藤:
本校では2014年からICT化の推進をはじめ、中学校・高校の生徒へ1人1台のiPadを導入しました。iPadの活用が進む中で、アプリを活用すれば質の高い成果物を簡単に作り出せるものの、アイデアを表現する方法が限られてしまうと感じていました。生徒たちにはアプリを使う側にとどまらず、「どうすればもっと面白くなるか」を考え、アプリやゲーム、Webサイトそのものを設計・制作してほしいと考えました。「ICTを使う」だけではなく「ICTで新たな価値を生み出す人材」を育てるため、高校の生徒を対象に、iPadに加え1人1台のMacを導入し、アイデアを形にして、プロトタイプ制作までできる環境を整えました。
iPadとの親和性やコストパフォーマンスの良さからMacを選択
伊藤:
PCの中でもMacを選択した理由はいくつかありますが、一つは、これまで生徒が使用してきたiPadと高い親和性がある点です。生徒は新しい操作を一から覚える必要が少なく、AirDropで簡単にデータを共有したり、Sidecarを使ってiPadとMacの画面を行き来することができます。これまでiPad向けに作成してきた授業資料をそのまま活用できる点も大きなメリットでした。
また、コストパフォーマンスの良さもMacを選んだ理由の一つです。長時間のバッテリー駆動により一日中の学習に対応できることや、壊れにくく長く使える点は、教育現場で継続的に運用するうえで大きな利点でした。
仮に壊れた場合でも、安定した部品供給と標準化された修理対応フローが構築されています。他OSのPCは修理期間が長かったり、修理用パーツが不足し別のデバイスに置き換えざるを得ないケースもあると聞いていたので、安定した修理フローがあることもMac選択の理由でした。
Macの導入によって、アイデアをデジタルで形にするさまざまな手段が身近に。生徒のアウトプットや、教員の授業方法が多様化
伊藤:
Macを1人1台導入したことにより、アイデアをデジタルで形にする手段が広がり、アウトプットが多様化しています。
本校が注力している探究の授業では、生徒自らテーマと問いを立てて研究し、成果を発表します。これまでは、iPadを使ってレポートやポスターにまとめる生徒が多かったです。しかし現在は、Macを活用してWebページやゲームを制作したり、探究データを解析してまとめた発表などが多くなりました。生徒たち自身から、多様なアイデアを多様な手段で表現するようになりました。
また、多くの教員がMacを活用し、ICTで思考力や想像力を高める授業をさらに展開するようになりました。例えば、美術科ではMac上でアドビ製品を活用し、デジタルツールを使用したポスターの制作をおこなっています。物理科では、実験をゲーム開発環境「Unity」でシミュレーションし、動きを可視化し解析するなどの活用も検討されています。生徒たちがさまざまなデジタルの手段で学びを深められる授業が多くなりました。
場所や時間にとらわれずMacが使用できることで、生徒たちの主体性と創造性が向上
伊藤:
私が担当している情報Ⅰやコンピューターサイエンスの授業では、以前からゲームやアプリの制作をしていましたが、学校に設置してあるPCを使用しなければいけませんでした。環境復元ソフトの影響で、授業ごとに制作データをUSBメモリまたはクラウドにアップロード・ダウンロードする必要がありました。50分間の授業のうち15分をその作業にとられ、中にはデータの保存を忘れてしまう生徒やファイルが壊れてしまう生徒もおり、最初からやり直さなければいけないことが多く発生していました。
しかし現在は、生徒が自分のMacで使用できるアプリ開発環境のXcodeや、Unityなどを使った制作ができるようになり、授業時間のすべてを作品の制作にあてることができています。また、Macを持って席を移動して生徒同士で教え合いながら制作を進めていく姿が日常的に見られるようになりました。授業時間外でも自宅や外出先で熱心に作業を続ける生徒が増えています。自らアプリを制作し外部コンテストに応募する生徒もいるほどです。時間や場所にとらわれずMacを使用できるようになり、生徒たちが主体的に試行錯誤を重ね、完成度の高い作品が多く生まれるようになりました。
1人2台のデバイスを、生徒たち自らそれぞれの強みに合わせて使い分けて活用している
伊藤:
iPadとMacの1人2台体制になり、生徒自身が場面に応じてそれぞれのデバイスの特性を活かした使い分けをしています。例えば、Macで制作作業をおこない、iPadでは教材や参考資料を表示したり、AIに壁打ちしたり。また、Macで参考動画を視聴しながら、iPadにApple Pencilでノートを取るなど、さまざまな活用をしている姿が見られます。
山口様(以下、敬称略):
導入当初は正直2台の必要性に疑問もありましたが、生徒たちの姿を見ていると2台あるからこそ、より高度で深い学びが実現されていると感じています。
デバイス管理工数の増加は、Apple製品に特化したMDM「Jamf Pro」で効率化
山口:
デバイスの増加による管理負荷を懸念していましたが、PCにMacを採用したことで、Apple製品を柔軟に管理できるJamf Proを用い、iPadとMacの一括運用・管理ができています。そして、以前別のMDMでiPadを管理していた際に感じていた運用上の手間も解消されました。
岸田:
たとえば、学校の方針やOSアップデートに応じて項目ごとに設定を配布できるため、柔軟な運用が可能になりました。また、配信のタイミングも制御できることで、デバイスの未起動による設定漏れを防ぐことができています。
山口:
デバイスを条件ごとに自動でグループ化できるため、 問題が発生したデバイスをすぐに特定し、迅速に対処できるようになりました。学習が止まってしまうことも減り、安全で安定した学習環境を維持できています。
Tooあんしんパックでデバイスの運用コストを削減。実現したい方向性に合わせたTooのサポートに期待
伊藤:
TooにはMacとiPad管理の検証から構築、導入後のフォローまで一貫してサポートしてもらっています。要望に対するレスポンスも早く、デバイス管理や設定内容についても、高い技術力と意図を汲み取ったうえで最適な形を提案・設計してくれます。
また、Macにはすべて「Tooあんしんパック」を付帯し、修理対応を一括で依頼しています。修理から返却までのスピードが非常に速く、以前は2〜3週間、場合によっては2か月ほどかかっていた修理も、現在は最短で3営業日ほどで手元に返ってくるようになりました。その結果、修理中の生徒向けに約30台運用していた代替機も、台数を減らせるのではないかと検討しています。運用コストの削減にもつながっており、修理時のトラブルもなく、とても助かっています。
長い時間をかけながらも私たちが叶えたい学習環境の実現に寄り添ってもらっています。
カリキュラムの刷新で、社会とつながる実践的な学びを届けていきたい
伊藤:
Mac導入から3年が経ち、生徒たちが自らMacを開き活用する姿が日常的に見られ、多くの授業でMacが当たり前に使われるようになりました。生徒たちの「デジタルものづくり」の力を育てると同時に、大学や社会に出たときに必要となる「PCを操作するスキル」が身についてきていると感じます。しかし、これを最終到達点とは捉えていません。すべての授業で十分に活用できているとは言えず、選択する科目によって、生徒たちのMacの活用状況にばらつきがあるのも現状です。
今後は、すべての生徒が社会に出た際にさまざまな場面で活用できるICTスキルを身につけられるよう、シラバスやカリキュラム、教育課程の見直しを進めていきたいと考えています。たとえば、理科の授業でゲーム制作やアプリ開発に取り組んだり、数学の授業でデータ分析を扱うなど。教科の枠にとらわれずMacを活用し、何か一つでも自分の強みとなるデジタルスキルを持てるようにしていきたいです。
山口:
さらに2026年度からは、Macのフィルタリング体制を見直し、より自由度の高い学びを実現できる環境を構築していきます。これまでのフィルタリングは生徒にも複雑な設定作業が要求されたり、過度な制限により学習に必要なサイトの閲覧やクリエイティブ活動が制限されるなど、学習の足かせとなる場面がありました。今後は、Jamf ProtectとSafe Internetを組み合わせ、Macとの親和性を重視したセキュリティ構成へ移行していきます。生徒や先生方と対話を重ねながら、自由度・安全性・運用効率のバランスを取った学習環境を目指していきたいです。



※記載の内容は2026年4月現在のものです。内容は予告無く変更になる場合がございます。




