Apple Vision Pro 企業導入を解説!導入ステップ、管理、関連パートナー紹介まで。

Apple Vision Pro(以下、Vision Pro)が提供するのは、新しい時代を作る空間コンピューティングという概念です。ビジネスでどのように活用できるのか、まだまだ未知数ながら取り組んでみたい、と気になっている方も多いのではないでしょうか。
企業に導入するとどんなことが実現できるのか。
共同で取り組んでくれるパートナーはどんな企業があるのか。
導入のステップや、気をつけるべき調達、管理のポイントは?
Vision Proの企業導入が可能な唯一の販売店であるTooが、 Vision Pro関連ビジネスに取り組まれているパートナー様の紹介も交えて解説します!
目次
Vision Pro導入で実現したい“4つの価値”
コントローラのいらない直感的な操作、4Kテレビを超える解像度の表示、空間オーディオとイマーシブビデオ、そしてその場に一緒にいるかのように感じられる“空間ペルソナ”。
こうした要素が重なり合って、仕事にも大きな変化をもたらします。
4つの想定される進化を紹介します。
意思決定の高速化(設計、レビュー、合意形成)
まず大きいのは、レビューに関する意思決定速度の向上です。
設計レビューでもプロダクトのチェックでも、同じ空間に同じサイズ感でモノを置いて、みんなで覗き込む感覚で確認できます。
細かい文字やディテールもくっきり見えるので、「一度戻って直してからまた集まろう」という往復が減り、その場で合意が進みます。空間オーディオとペルソナ表示が“同席感”を生むため、リモートのメンバーともテンポよく話がまとまっていきます。
現場の生産性向上(遠隔支援、作業手順)
作業者が見ている視界を遠隔のエキスパートと共有し、必要な手順や注意点をそのまま視界に重ねていく、という作業支援が主に想定されます。
高解像度のカメラとセンサーが周囲を正確に捉え、作業場所に合わせたマニュアルや指示を表示することも可能です。
空間に浮かぶ作業指示は、製造や建設、フィールドサービスのような“現場の産業”に大きな効果をもたらすはずです。
顧客体験の拡張(営業・デモ、ショールーム、体験型コンテンツ)
実機が手元になくても、営業の場で等身大の製品を見せたり、ショールームで体験型のコンテンツを来場者と“共有視聴”したり。
ビルやキッチンや車内など、大掛かりな製品の体験もリアルに、その場でカスタマイズを加えながら顧客に体験してもらえます。toBでもtoCでも、大きな効果を発揮できることでしょう。
オリジナルのアプリを作る必要性が高いですが、すでにストアには2,000本を超えるvisionOS対応アプリが登場しており、用途に合わせた組み合わせもしやすくなっています。
toC領域の表現方法の拡張(イベント、ライブビュー)
ライブイベントやスポーツ観戦の“没入感”は、映像を観る体験を「その場にいる体験」に近づけます。360°で表現できるイマーシブビデオを使えば、ブランド体験そのものをアップデートできます。
Vision Proのイマーシブビデオを一度でも体験すると、他のAR・グラス型デバイスとの表現レベルの差が体験できるはずです。ブランドやエンターテインメントの世界では、参加者の熱量や記憶への残り方が違ってくるでしょう。
「やりたい」を叶えるパートナーガイド
Vision Proの導入は、デバイスを買うだけでは終わりません。
それぞれの領域ごとの得意な企業に相談し、必要に応じて開発やプロジェクト進行のサポートを受けることで、ビジネス活用までが一気に近づきます。
この章では、目的に合わせてどんな企業が存在し、どう組むと近道になるか──
空間コンピューティングの領域で「やりたい」を叶えてくれるパートナーを紹介します。
※弊社Tooよりパートナー様のご紹介も可能です。導入の際に何かご要望がございましたらご相談ください。
※掲載は五十音順です。
株式会社STYLY 様
株式会社STYLYSTYLYは、特にランドオーナーや街づくりに携わる皆様に対しての空間プロデュースやソリューション提供に強みがあります。STYLYが提供する制作プラットフォームを活用し、世界中のクリエイターや事業者の皆様と共にあらゆる「場所」にリッチな体験を配信することで、文化・産業を創出します。
技術・体制
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visionOS対応:STYLY for Vision Pro
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3Dコンテンツ配信:CAD / BIM / CGデータをGLTF・USDZ等に最適化して取り込み可能
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運用・保守:継続的なアップデート、ランドオーナー/クリエイター双方を支援する体制
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対応業界:ランドオーナー(不動産デベロッパー/商業施設/鉄道/アミューズメントパーク)、IPホルダー、自治体など
実績・事例
- プロレスをレフェリー距離で楽しめる大迫力の自由視点映像!『バーチャルプロレス スペシャルマッチ
「清宮海斗vs拳王」powered by Pontaパス』
株式会社STYLYが提供するプラットフォーム「STYLY for Vision Pro」を活用し、KDDI株式会社、株式会社KDDI総合研究所、株式会社AbemaTVとともに作り上げた、現実ではありえない距離と視点でプロレスラー同士の戦いが視聴できるファン必見のApple Vision Pro向け3D映像コンテンツ
まるでレフェリーの距離で、等身大の選手の戦いを自分の好きな視点で見ることができます。また、XRならではの演出をプラスし、体験者が参加できるインタラクティブ性やゲーム性を加えることで、プロレス初心者でも楽しめる映像体験になっています。
依頼にあたって
価格・スケジュール:相談しながら決定いたします
株式会社ホロラボ 様
株式会社ホロラボホロラボは2017年の創業以来、XR領域に特化し、数多くのプロジェクトを手掛けてきました。エンタープライズ(BtoB)向けの業務支援アプリケーションから、エンドユーザー(BtoBtoC)向けのコンテンツ開発まで幅広く対応し、実績に裏打ちされた高い技術力と企画力を有しています。
現在は「Apple Consultants Network」のメンバーとして認定を取得し、空間コンピューティングとともに新しい世界を創造します。
製造業のCAD、建設業のBIM、エンターテインメント分野のCGなど、アプリ開発に欠かせない 多様な3Dデータ の取り扱いに精通しています。業界特有のワークフローやデータ形式を深く理解し、Apple Vision Pro のような先進的デバイスに最適化したソリューションを提供可能です。
技術・体制
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visionOSアプリ開発(Swift、Unity/PolySpatial)
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BIM/CADデータ活用、デジタルアーカイブ(3Dスキャン・フォトグラメトリ)
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技術サポート
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運用保守
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対応業界: 建設/製造
実績・事例
1.ヤマトプロテック株式会社様 - 顧客体験の拡張(マーケティング、セールス)
ヤマトプロテック株式会社様と制作したApple Vision Proの技術を活用したデモアプリにより、顧客は消火設備のプロモーションを仮想空間で体験できるようになります。これは、展示会や商談において、製品の仕組みや効果を直感的に理解させるための体験型コンテンツとして活用され、顧客体験の向上を狙った試みが進んでいます。
ホロラボ、ヤマトプロテック K/SMOKE 消火プロモーションApple Vision Pro デモアプリを開発2.理解と意思決定を加速する(デザイン、レビュー、マーケティング、合意形成)
建築設計やプロダクトデザインを担当する方でも満足するApple Vision Proのディスプレイ品質。
デザインプロセスでは関係者がその場でデジタルデータを現実の模型のように確認でき、合意形成までのプロセスを大幅に短縮します。
マーケティングでは購入するユーザーが購入する商品に極めて近いデジタルデータを見て体験することで購買の意思決定を早め、顧客が想像する商品イメージと現実の商品とのギャップを減らすことで顧客満足を向上します。
これらを組み合わせることで、導入企業の利益に貢献します。

依頼にあたって
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PoC 標準スケジュール - 契約から 3ヶ月前後を目安。
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実導入スケジュールは応相談。
リンク・補足情報
ホロラボ Apple Vision Pro SHOWCASES サイト -体験会: 導入をご検討中のお客様向けに、Apple Vision Proの体験会を実施しています。弊社スタッフが貴社へ訪問し、実際にデバイスを装着いただきながら活用イメージをご体感いただくことが可能です。
株式会社MESON 様
株式会社MESON(1) 0→1のプロダクト開発を要件定義からローンチまで一貫サポートする共創パートナー
(2) 過去プロジェクトのノウハウを活用した独自技術基盤による空間コンピューティング機能の高速実装
(3) 空間設計・デザイン・AI・アートの専門家連携による領域横断的な創造力とコンセプト実装力
(4) 3次元空間×AI融合で次世代インタラクティブ体験を創出、最先端技術シナジーによる先駆的開発
技術・体制
- visionOSアプリ開発 Unity/PolySpatial
- 3D制作
実績・事例
・株式会社イトーキ様
株式会社イトーキ本社にて開催された「第4回 教育フェア」において、最新空間コンピューティングデバイスを用いたバーチャルショールーム「SMART CAMPUS tour」を制作いたしました。
「SMART CAMPUS tour」は、イトーキが提案する「ハイフレックス型グループ学習教室」の空間を、リアルな没入体験として再現するもので、従来のプレゼンテーション手法では伝えきれなかった「空間の価値」を体感として届けることを目的としています。
来場者はデバイスを装着し、空間全体を上空から俯瞰するような視点と、実際に教室内に居るかのような没入感のある視点の両方を体験。視点が自然に移り変わる構成によって、什器のレイアウトや動線、使用シーンまでを直感的に把握できる内容となりました。
さらに、本展示ではデバイスでの体験だけでなく、体験者が見ている内容をプロジェクターに投影することで、デバイスを装着していない多くの来場者の方にもイトーキの提供する価値を紹介することができました。
[体験の流れ]



[Execution]
本展示では、従来のCGパースや図面では伝えきれなかった空間構成やスケール感を「その場にいるかのように」体験できることから、以下のような反応が寄せられました。
「家具単体だけでは分からなかった教室全体の運用のイメージがよく理解できた」
「レイアウトの工夫や家具の機能的特徴をユーザー視点で感じることができた」
「提案の際にこのコンテンツを実施して欲しい」
[Background]
従来の提案は、カタログ・CGパース・模型といった「視覚情報の提供」に限られていましたが、今回の展示では空間全体を「その場にいるかのように体感できる」ことが最大の特長です。
・教室内の什器を実寸で確認できる
・レイアウトの変更による動線や印象の違いを体感できる
この「SMART CAMPUS tour」は、空間そのものを提案に取り入れる新たなコミュニケーション手法として、教育業界のみならず、内装・家具業界における営業活動のDXを後押しする展示となりました。
実物を持ち込めない商材の提案や、設計段階での合意形成、ショールーム運営の効率化といった多様なシーンにおいて、今後の活用が期待されます。
依頼にあたって
- 価格レンジとスケジュール
初期導入:¥2,000,000~
運用保守:¥200,000~/月
標準スケジュール:最大24週間
要件定義(3-6週)→試作(4-10週)→検証(3-4週)→リリース(4週)
リンク・補足情報
Cases | 株式会社MESON(メザン)企業導入の流れや手法を知る
導入方法 :Apple Financial Services
Vision Proを法人で購入するには、Apple Storeもしくは法人に対応可能な販売店(株式会社Too)より購入いただけます。
お見積もりのご希望があれば、ぜひお問い合わせください。
また、Vision Proの導入で頼りになるのがApple Financial Services(AFS)というリースの導入方法です。
AFSは、Apple製品の高い残存価値をあらかじめ織り込む「残価設定型リース」で、終了時の返却を前提に月々の負担を抑えながら導入を始められるのが特長です。
与信審査を通過した企業だけが利用できます。
初期のPoCから部門パイロット、他方面への展開に育てていく“ステップアップ”型の導入になりがちで、短い利用年数で更なる発展が見込まれる、という空間コンピューティングのデバイスにとても相性が良い導入方法です。
購入の流れ
購入に必要な流れはその都度ご案内いたしますが、まずは、Vision Pro FitというiPhoneのアプリで利用者ごとにサイズを測定するところから始まります。
サイズ測定結果から型番を指定いただき、ストレージ(256/512GB/1TB)とバンド、28種類のライトシーリングを組み合わせて選択したお見積もりをご用意いたします。
あとからサイズ変更はできないため、複数人で利用したい場合は選択するサイズには注意が必要です。
必要に応じて、トラベルケースやライトシーリング、バンドなどのアクセサリを選択いただきます。視力矯正が必要な方のオプティカルインサートはApple Storeでの購入になりますのでご了承ください。
管理とセキュリティ、企業専用APIs
Vision Proの特長は、「他Appleデバイスと同様に管理ができる」ことです。
他のグラス型デバイスでは企業導入機器としての管理が想定されていないものもありますが、Vision Proは空間「コンピューティング」として、企業のポリシーに合わせた制限やアプリ配布の仕組みが整っていることが強みです。
まず、iPhoneやMacと同様にApple Business Manager(ABM)とMDMの二本柱を整えます。ABMはデバイスの登録やアプリ等のコンテンツ購入などを担い、MDMは端末情報の可視化、アプリ配布、構成プロファイルの適用といった実務の心臓部になります。
他のAppleデバイスが組織内にあれば、同じ管理環境を流用することができます。

ゼロタッチ導入の展開も可能です。必要な設定の配布、アプリケーションの配布など、MDMで一括セットアップを進められます。
Vision Proを操作して逐一社内ネットワークに接続する作業は、iOSやmacOS以上に煩雑なステップとなるため、Wi-Fiプロファイルの初期設定時配布ができるのは特に嬉しいポイントです。
対応要件として、visionOS 1.1ではアカウント駆動型登録、visionOS 2以降でABMを使った自動デバイス登録が可能になっています。
※2025年9月以降に導入される場合はvisionOS 2以降となりますので、自動デバイス登録によるゼロタッチ導入が可能です。ぜひご相談ください。
認証とIDまわりは、Entra IDやGoogle Workspaceとのフェデレーション、SSO拡張の活用でセキュアに統制を取ることができます。
アプリ配布は、visionOS向けのネイティブだけでなく、iPhone/iPad互換アプリや、iPhone・iPad・Macと同じバイナリを用いるアプリ、そして企業内専用アプリも配布対象にできます。
セキュリティ運用では、リモートロックやワイプ、パスコード要件、証明書やWi-Fiの配布などをポリシー化できます。

なお、紛失モードは非対応であるため、資産の物理管理(保管・貸出・回収)やアラート運用、保険などでリスクを補う前提で計画しておくのが安全です。
また、2025年時点ではJamf Proの“visionOS向けデバイスコンプライアンス”(CISベンチマークに準拠させる設定の展開)も未対応です。
開発の面では、Enterprise APIsの整備が進んできたのも企業向け展開における大きなポイントです。
これは通常は制限される機能を企業向けアプリで利用できるようになる特別な機能です。
カメラの利用やQRコードの読み込みといった機能を扱えることで、医療・製造・建築・フィールド業務など、より深いシステム統合を前提にした業務アプリの開発が可能になります。
管理機能や開発機能に関しては、日々発展や状況の変動が見込まれますので、詳しくはお問い合わせください。
まとめ
Vision Proをはじめとした空間コンピューティングの企業導入は、国内でもまだ先駆者が少ないながら、積極的に検証に取り組む法人も現れはじめているという状態です。
空間コンピューティングの企業導入の動きはまだ始まったばかりです。
これからチャレンジしたい企業様には、Apple正規販売店である株式会社Tooと、visionOSの領域で先進的なご提案ができるパートナー企業様が寄り添ってご提案いたします。
ぜひ日本における、有用な先行導入事例や企業活用の型を一緒に作っていきたいと思います。
お気軽にご相談ください。
記事は2025年9月 9日現在の内容です。
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