学校にとって使いやすいMDMとは?「デバイス移行機能」とMDM乗り換えポイント解説

WWDC25で発表されたApple Business Manager/Apple School Manager(以下:ABM/ASM)での新デバイス移行機能によって、iOS、iPadOS、またはmacOS 26以降のデバイスではより簡単にMDMの移行作業を進められるようになりました。
これまで「今のMDMに困りごとはあるけれど、別のMDMへ乗り換えるのは大変そう」と思っていた管理者の方にとっては、学校の運用に合ったMDMを再検討するのに良いタイミングです!
では、学校にとって本当に使いやすいMDMとは一体どのようなものでしょうか?
この記事では、学校でよくある課題を交えながら、乗り換えを検討する際のポイントをご紹介します。
目次
新デバイス移行機能について
そもそも、Apple が新たに提供するデバイス移行機能はどういった機能なのでしょうか?
具体的には、ABM/ASMに登録されているデバイスへ既に割り当てられているMDMから、別のMDMへ期限付きで移行できるように設定する機能です。
以前の移行機能
ここで改めて、MDMを移行する際に必要だった作業を確認してみましょう。今回はiPadOSを例として見ていきます。
最初に、必要に応じてiPadやアプリケーションのデータをバックアップした後、ABM/ASMへサインインし「デバイス管理サービスを割り当てる」を選択します。
その後、新たに割り当てたいMDMを「デバイス管理サービス」から選択し「続ける」で次へ進めます。
新たに選択されたMDMへ変更されることが確認されるため、問題がなければそのまま「確認」を選択します。
その後、選択したMDMへiPadが割り当てられます。
ここまでが、今までのiPadにおいてMDMを移行する際に必要な作業でした。
では、新デバイス移行機能によって今後どのように作業が楽になるのでしょうか?
新デバイス移行機能により便利になったポイント
ABM/ASM上で割り当てたいMDMを選択するところまでは同じですが、「+期限を追加」を選択することでMDM移行作業が完了するまでの期日を設定できるようになります。
また、MDMの移行作業が必要なことをデバイス上の通知で確認できるため、管理者ではなくデバイスを使用している生徒や教員といったユーザー自身で移行作業を進められます。
加えて、設定した期限を過ぎると自動的に移行が始まり、移行手順も画面上で案内されるため、計画的に移行作業を進められます。
これにより、移行作業の抜け漏れを防げるだけでなく、管理者が移行作業のために作業時間やスケジュールを確保するといった負担が軽減されます。
MDM検討で重要なポイントとよくあるお悩み
新デバイス移行機能によってMDMの移行作業が楽に行えるようになるのはいいものの、改めて、学校ごとの運用にあったMDMを検討するにはどういったことが大切なのでしょうか?
ここからは、MDMを検討する上で重要なポイントを具体的な事例とともにご紹介します。
コマンド送信の確実性
「コマンドがデバイスへ到達できるまで、繰り返し送信し続けてくれる」といった、確実に届く仕組みはとても重要です。
例えば、MDM製品の1つであるJamf Proでは、デバイスに届くまでコマンドが保留状態となるため、再度コマンドを送り直すといった手間が抑えられます。
コマンド送信が役立つ場面の具体例をお伝えします。
- 生徒がiPadを紛失してしまった
MDMから紛失モードを有効にするコマンドをデバイスへ送信して、
第三者から情報を抜き取られないようにすることで情報漏洩を抑えることが可能です。 - 生徒がiPadのパスコードを忘れてしまった
パスコードリセットのコマンドをデバイスへ送信することで、
入力回数の上限に達してしまいデバイスがロックされるといった事態を回避することも可能です。
柔軟な構成プロファイル
利用するMDMによっては、構成プロファイルで設定できる内容が異なる場合があります。
設定したい制限や活用したいアプリケーションに構成プロファイルが対応していなかった場合、運用に沿った設定を行えない恐れがあります。そのため、柔軟に設定ができる構成プロファイルとなっているのか確認しておくことをおすすめします。
一例として、Jamf Proでは、一般的にデバイスを管理するために必要な制限に加えて、必要な証明書の配布設定やホーム画面のレイアウトなどを柔軟に構成プロファイルで設定することが可能です。
こちらも具体例をお伝えします。
- iPadを授業ですぐに使える状態に設定しておきたい
Webフィルタリングサービスなど、iPadの運用に関わる他サービスもMDMを介して設定したい場合は、利用しているMDMの構成プロファイル内で導入したいフィルタリング製品の設定作業が終えられるのか確認しておくと、設定作業が円滑に進められます。
MDM内で作成できるグループの動き
MDM内では特定の条件を定めてグループを作成することができます。
作成したグループを活用することで、特定の学年やクラスだけに必要なアプリケーションを配布したり、制限をかけたりといったことが可能です。
あらかじめ設定したグループの条件に、当てはまらなくなったデバイスが出てきた場合、そのデバイスはグループから外れるという動きが必要です。
万が一グループからデバイスが外れなかった場合、必要のないアプリケーションや設定が適応されてしまう可能性もあります。
そのため、適宜デバイスの状態をMDM側が把握し、グループに当てはまるのか確認してくれる動きがあると日頃の運用が行いやすくなります。
例として、Jamf Proのスマートデバイスグループは、条件に当てはまらないデバイスは自動的にグループから外れるようになっています。

グループ内の1台の端末名を変更した後の状態
こちらも具体例をお伝えします。
・授業で使うアプリケーションが必要なデバイスに漏れなくインストールされているのか確認したい
※この場合は、指定のアプリケーションがインストールされていないデバイスのみを条件として設定し、
既にインストールされているデバイスはグループに属していない必要があります。
しかし、既にアプリケーションをインストールしていたものの誤って生徒が削除してしまった場合、
「インストールされていないグループに誤操作したデバイスが追加されないと、管理者側では把握ができない」といった事態となります。
このように、学校では日常的にさまざまなMDMの機能を活用できます。
だからこそ、その機能がどれだけ使いやすく現場の負担を減らせるかがMDM選びの大きなポイントになっていきます。
まとめ
今回は、WWDC25にて発表されたABM/ASMの新デバイス移行機能をきっかけとした、学校の運用にあったMDMの検討ポイントを具体例を交えつつご紹介しました。
日頃の運用を楽にすることで、先生方の負担軽減や生徒たちの快適な学習環境に繋がっていきます。
MDMの移行作業の負担が軽減される今こそ、学校の運用にあったMDMの入れ替えを検討してみませんか?
記事は2025年9月29日現在の内容です。
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