Vol.2 業務で使うメリットは多い! Gunosyのエンジニアはほぼ全員がMac

Mac User's Interview

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エンジニアはなぜMacを選ぶのか。

日本最大級の情報キュレーションサービス「グノシー」などを展開する株式会社Gunosyでは、業務用パソコンにMacを採用しています。同社でVP of Engineering/メディア開発部部長を務め、学生時代からMacを利用してきた加藤慶一氏に、エンジニアにとってのMacの魅力を伺いました。

プロフィール

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株式会社Gunosy
VP of Engineering/メディア事業本部メディア開発部部長
加藤 慶一 氏

埼玉県出身、早稲田大学大学院卒業。ソーシャルゲームの開発やアドテク企業でのデータエンジニアを経て、2015年12月に株式会社Gunosyに入社。「ニュースパス」のリリース、広告ロジックプラットフォーム開発、エンジニア採用担当や採用責任者を務めたあと、現在はVP of Engineering/メディア事業本部メディア開発部部長として活躍。

学生時代に感じたMacのメリット

はじめに、株式会社Gunosy(以下、Gunosy)における現在の加藤さんのお仕事について簡単に教えていただけますか?

グノシー」や「ニュースパス」「auサービスToday」などのメディアサービスを開発するメディア開発部の部長を務めています。
メディア開発部は主にエンジニアやデザイナーが所属する20名ほどの組織で、iOSアプリやAndroidアプリといったモバイルアプリを開発するチーム、サーバサイドやバックエンド、またはサービス運用に必要な社内向けアプリを開発するチーム、デザイナーが所属するUXデザインチームがあり、それぞれのチームを統括しています。

現在は、VP of Engineering(VPoE)としてもご活躍されていますね。

各社によって定義は違うこともありますが、GunosyでのVPoEはエンジニア組織全体のマネジメント責任者としてイメージしてもらえると。そのため、管理職としての業務に加えて、採用や育成、組織設計などのヒューマンマネジメントに関わる業務も担当しています。

加藤さんのこれまでの経歴を教えていただけますか?

2011年に新卒でグリー株式会社へ入社し、Webエンジニアとしてキャリアスタートしました。その後株式会社フリークアウトを経て、2015年にGunosyに入社しました。入社後すぐに「ニュースパス」のプロジェクトが発足され、ニュースパスのサーバサイドやデータ基盤の開発を担当していました。

加藤さんはいつからMacを使っているのですか?

大学生だった2005年頃からです。初めてのApple製品はiPod miniだったのですが、Macもかっこいいなぁとずっと憧れていたのがきっかけです。最初に購入したMacは、iBook G4でした。親戚がデザインの仕事をしていたこともあり、古くなったポリタンク型のPower Mac G4を譲ってもらい、OS 9も少しさわったことがありますが、基本的にはMac OS X PantherかTigerあたりの頃から使ったことがあるという感じです。

学生時代からMacでプログラミングをしていたのですか?

はい、そうです。大学でコンピュータサイエンスを専攻し、そこからプログラミングをスタートしました。
学校で推奨されていたのはWindowsやLinuxマシンでしたが、環境の違いには苦戦しつつも、なんとかMacで乗り切っていました。学生なのでプライベートと学業に使うパソコンを分けることは経済的に難しかったこともありますが、正直に言うとMacでもなんとかなるなと思ったんです。iPhoneアプリを開発するアルバイトもしていて、そこでも開発環境はMacだったので。

Macでのプログラミングは大変ではありませんでしたか?

大学の授業ではLinuxやUNIXの上でプログラミングする想定でしたが、Mac OS X(現在はmacOS)はUNIXベースのOSだったので、Windowsと比べると共通なコマンド等もたくさんあり、気軽に使えました。当時CPUはPowerPCだったのでそこで苦労することはありましたが。ちなみに、学生時代は主にC言語やJava、Pythonを使ってプログラミングしていました。

同じようにMacを使っている学生は周りにいましたか?

当時PowerPC搭載のMacを使っている人はかなり少なかったですね。Macを使っている学生をちらほら見かけるようになったのは、2007年くらいからでしょうか。ちょうどMacのCPUがPowerPCからIntelに切り替わった頃からです。
そして、MacBook Airが登場してから、爆発的にユーザが増えた印象があります。2008年に登場した初代モデルは性能面でやや不安はあったものの、それ以降は性能もいいし、見た目も良いし、コストパフォーマンスにも優れていたと思います。特に学生にとっては「デザインがかっこいい」という点が大きかったように思います。講義中に部屋が薄暗くなったときに、昔はリンゴマークが光ったのでクールでしたよね。回答を入力

Mac標準マシンとして採用するGunosy

Gunosyのエンジニアは、皆さんMacユーザなのですか?

はい、ほぼ100%Macです。というのも、弊社では標準の業務用PCとしてMacを採用しているからです。
どうしてもWindowsやLinuxマシンが必要な場合を除き、一般的なビジネス職には13インチのMacBook Pro、CPUやGPUパワー、メモリが必要な開発者やエンジニアには14インチまたは16インチのMacBook Proを支給しています。
社内にはまだIntel製CPUを搭載したMac(以下、Intel Mac)も半分くらい残っていますが、現在はAppleシリコン搭載Macしかラインアップされていないので、徐々にAppleシリコン一色になっていくと思います。

加藤さんがお使いのMacはどのモデルですか? Appleシリコン搭載Macでしたら、その感想を教えてください。

2021年にリリースされたM1チップ搭載の13インチのMacBook Pro(メモリ16GB)です。昨年から使っていますが、まずファンが回りづらく、とても静かなのがいいですね。あと、バッテリの持ちが非常に優れていて、ACアダプタに長時間つないでいなくても残量を気にせずに使えます。たとえばオフィスの中の別の部屋で仕事をしなければならないとき、Intel MacはACアダプタを携帯しないと不安でしたが、AppleシリコンになってからはMac単体だけ持っていけば大丈夫です。

Appleシリコンに変わって、業務上問題はありませんでしたか?

正直に言うと、社内的な混乱はありました。
弊社のサービスは基本的にAWS(Amazon Web Services)上に構築しており、APIサーバはIntel CPUをベースとしています。そのため、日々の開発は手元のMac上に環境を再現して開発しているわけですが、いくつかARMベースのAppleシリコンのアーキテクチャには対応していない環境がありました。そのため、CPU環境の違いによる差分を埋める作業が発生し、導入当初はドタバタしました。

業務用PCがMacであることでエンジニアの採用に影響はありませんか?

面接時にどのようなデバイスを使っているかを聞くことはほとんどありません。おそらく聞かなくても、Macを使っている方が多いのではないでしょうか。面接時にはどんなMacを支給するかをお伝えすることもありますが、それで問題になったことはこれまでありません

従業員に配付されるデバイスを選定するうえで大事にしていることはありますか?

会社としてはできるだけ1台のマシンを長く使ってもらいたいですが......在宅勤務が主流となった今は、メンバーの生産性やリプレース時のトラブルシューティングの手間などを考えると、できる限りスペックの高いものを支給するようにしています。
実際にIntel MacからAppleシリコン搭載のMacにリプレースした直後は、処理能力の速さや動作の静かさ、また熱くなりにくさなどを含めて、メンバーからはとてもよいフィードバックも返ってきました。

業務用PCとして配付するMacは、エンジニアやデザイナーといった職種ごとに仕様が異なるモデルを細かく分けていますか?

現行のMacBook Proでいえば、14インチか16インチかを選べれば十分だと思います。エンジニアやデザイナーは画面にできるだけたくさんの情報を表示して作業できるほうが効率的だと考えていますが、必要であれば外部ディスプレイを使ってデュアルディスプレイ環境にできます。
実際に弊社ではコロナ禍のときは16インチを多く支給していたのですが、今は出社する頻度が増えてきたので、サイズや重量の大きい16インチよりも「14インチがバランス的にいいのでは?」という声が社内から上がってきています。もちろん、理想は会社では14インチなどのより軽いモデル、家では16インチと使い分けられる環境がいいのでしょうが、2台を業務用PCとして配付するのは予算面、環境の同期の面でもあまり現実的ではないでしょう。

Macを使うエンジニアの増加とMacのメリット

貴社もそうですが、最近は多くのエンジニアが業務でMacを使っています。その理由は何だと思いますか?

「Web開発にMacを使う」という流れは、MacがIntelベースになった頃から加速してきたように思います。もちろん、PowerPC時代もmacOS(当時はMac OS X)がUNIXベースであることを評価していた開発者はいたと思いますが、やはりCPUがPowerPCからIntelに変わったことが大きいと考えられます。というのも、当時Webサービスを提供するスタートアップやITベンチャーでは、サーバはIntel CPUを搭載し、かつオープンソースで利用できるLinuxをベースとした環境を構築することが多かったからです。
サーバ環境がLinux前提で構築される中、全員手元の開発端末をLinuxにするのも現実的ではなかったので、それよりは標準環境でLinuxとの親和性が高いMacが選ばれたのだと思います。その頃に創業したスタートアップやITベンチャーは、ほとんどMacを標準マシンとして採用していたのではないでしょうか。

そのほかに考えられる理由はありますか?

先ほどお話しした流れから、プログラミングやWeb開発を始めようとする人にとって参考になるリソースもMacをベースとして書かれはじめたことも理由にあると思います。Macというマシンは良くも悪くもAppleからしか販売されていないので環境のブレが少なく、説明どおりに作業すればたいていはその通りに動きます。
ですから、これからプログラミングを勉強する人にとっては、学びやすい環境を作りやすいのではないでしょうか。また、iOSアプリを開発するのはMacしかできないので、Gunosyのようなアプリサービスを提供する企業はMacで社内環境を統一したほうが管理面でも楽だと思います。

当時、Windows PCは選択肢に上がらなかったのでしょうか?

Windows上でLinuxにデプロイするようなアプリケーションを直接構築して開発するのは難しかったと思います。もちろんWindows PC上にLinuxのVM(仮想マシン)を構築して開発することもできたとはいえ、PCのリソースも必要となり、手間もかかりました。ただ、Windows 10から「WSL」(Windows Subsystem for Linux)を使ってWindows PC上でLinux環境を構築できるので、Web開発のしやすさはWindowsも遜色なくなってきた感じがします。

エンジニアとしてMacを選ぶことのメリットはどこにあると思いますか?

ハードウェアの面では、エンジニアで好んで使う人が多いUS配列キーボードを選べるのが1つのメリットです。Macであれば日本のApple Storeでも簡単に選べます。最近では自作キーボードなどもはやっており、こちらもUS配列のものが多く、Macと自作キーボードの配列を揃えたい需要は高いと思います。
また、もう1つはMacのRetinaディスプレイも強みと考えています。フォントサイズをある程度小さくしてもはっきりと読み取れるため、長いソースコードを見るときも効率的に読むことができます。

では逆に、エンジニアにとってMacを使うことのデメリットはないのでしょうか?

IntelからAppleシリコンに変わったことで現在は多少の混乱があることを除き、Web・アプリ開発においてはMacという選択肢はデメリットが少ないと思います。
実際に弊社でも多くのエンジニアが使っていますし、Webの情報を参考にする際もMacだから動かないというのはまずないと思います。メジャーなアプリケーションのMac版が存在しないという昔の印象はかなり払拭され、ともすればMac版が選考してリリースされることもあるくらいです。
また、多くのアプリケーションがクラウドベース、Webブラウザで作業できることも多くなってきましたので、MacかWindowsかと悩むことは減ったのではないでしょうか。
ただ、これは業務とは関係ないですが、Macだと動かないゲームはまだまだ多くありますね。ですから、私は主にゲーム用途のWindows PCを別に持っています。

愛用するツールと今後のMacへの期待

業務でよく使うツールはありますか?

IntelからAppleシリコンに変わったことで現在は多少の混乱があることを除き、Web・アプリ開発においてはMacという選択肢はデメリットが少ないと思います。
実際に弊社でも多くのエンジニアが使っていますし、Webの情報を参考にする際もMacだから動かないというのはまずないと思います。メジャーなアプリケーションのMac版が存在しないという昔の印象はかなり払拭され、ともすればMac版が選考してリリースされることもあるくらいです。
また、多くのアプリケーションがクラウドベース、Webブラウザで作業できることも多くなってきましたので、MacかWindowsかと悩むことは減ったのではないでしょうか。
ただ、これは業務とは関係ないですが、Macだと動かないゲームはまだまだ多くありますね。ですから、私は主にゲーム用途のWindows PCを別に持っています。

業務でよく使うツールはありますか?

プログラムを書くために使っているのは、Microsoftの「Visual Studio Code」です。私以外にも、社内では多くのエンジニアが使っています。Visual Studio Codeはフリーかつオープンソースで使えますし、プラグインも充実していて、とても高機能なエディタです。「Vim」や「Emacs」を使っている人も少なからずいますし、私も使っていましたが、現在は減ってきている印象です。

そのほかに導入されているツールはありますか?

プログラムを書くということで言いますと、利用する言語によっては、JetBrains社のリリースしている統合開発環境の「IntelliJ IDEA」を支給しています。たとえば、GunosyではGoogleのGoという言語を積極的に採用しているのですが、JetBrainsの製品にはGoに特化したエディタ「GoLand」があり、高機能でデバッグの際の生産性が高まることもあり導入しています。また、iOSアプリの開発はXcode、Androidに関してはAndroid Studioを使っています。

今後のMacに期待することはありますか?

年々macOSは、システム領域をユーザに触らせないようになってきています。もちろん、それはセキュリティ的には素晴らしいことだと思うのですが、エンジニアとしては時々使いづらさを感じることもあります。
ですから、ユーザの自己責任でシステム領域に自由に触れることのできる「パワーユーザモード」のようなものを搭載してくれると嬉しいですね。

そのほかに期待することはありますか?

macOSはとても良いOSだと思います。ただ、個人的にはどちらかというと、ハードウェアとしてのMacBookシリーズの完成度の高さに魅力を感じています。ですので、これは進化なのか退化なのかわかりませんが、Mac上でmacOS以外のOSも使いやすくなるといいと思っています。また、省電力なのにパワーがあったり、システムが熱くなりにくいというAppleシリコンのさらなる進化も楽しみにしています。


加藤様、ありがとうございました!

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2012年11月に東京・六本木で設立されたGunosy。「情報を世界中の人に最適に届ける」を企業理念として、情報キュレーションサービス「グノシー」や、KDDI株式会社とニュース配信アプリ「ニュースパス」を共同提供し、ポータルアプリ「auサービスToday」の開発・運営を担当。また、アドネットワーク事業や子会社の「Game8」といった複数のメディア事業と広告事業も行っています。

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「グノシー」は言わずと知れた国内最大級の情報キュレーションサービスで、国内のダウンロード数はすでに4000万を突破。インターネットに存在するさまざまな情報を独自のアルゴリズムで収集して評価付けを行い、ユーザに最適な形で届けています。国内では全国の飲食店などで使えるクーポンも人気です。

記事は2022年11月 2日現在の内容です。

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