【イベントレポート】校正品質を「再現できる仕組み」へ。オリオンビール様が語る校正DXの現在地

商品パッケージの校正は、ブランドの信頼性を守るために欠かせない工程です。一方で、正確性が求められるがゆえに担当者の負担が大きく、目視確認による見落としや業務の属人化といった課題があります。

こうした校正業務を、より再現性のある仕組みに変えていくには何が必要なのでしょうか。そのヒントを探る機会として、2026年7月24日(金)にウェビナー「校正品質を再現可能な仕組みに変える - 校正DXに挑み始めた企業が語る現在地 -」を開催しました。

本ウェビナーでは、オリオンビール株式会社にてデジタル校正ツール導入の推進を担う山本純里様をお迎えし、校正業務を見直すきっかけから、デジタル化に踏み出したプロセスと現在地についてお話しいただきました。当日の内容をダイジェストでお届けします。

アジェンダ

  • 講演:オリオンビール株式会社 山本純里 様「デジタル校正導入でミスゼロ&脱・属人化。年間100以上の新製品を沖縄から世界へ送り出すオリオンビールの挑戦」
  • トークセッション、Q&A

デジタル校正導入でミスゼロ&脱・属人化

オリオンビール株式会社 マーケティング本部 オリオン・ブランドマネジメント部 RTDチーム主任 山本純里 様

沖縄から年間100SKU以上の新商品を送り出すオリオンビール様。1つの商品につき缶・スリーブ・カートンなど複数の資材があり、入稿時と版下確認時のそれぞれに校正が発生します。デジタル校正ツールを導入する前は、担当者どうしによる目視での読み合わせを中心とした確認体制だったこともあり、校正に費やす時間は1人あたり月最低10時間ほど。読み合わせの相手を探したり、相手の時間を確保したりする必要もあり、商品数の多さに比例して工数と心理的な負担が積み上がっていたといいます。

それでも、校正は「時間がかかるから省けばよい」業務ではありません。だからこそ、正確性を維持しながら、どう負担を減らしていくかが課題となっていました。

デジタル校正を検討するきっかけの一つになったのが、上長との何気ない会話でした。校正業務の負担について率直に話したところ、「一度改善方法を考えてみては」と背中を押してもらったことから、デジタル校正の情報収集がスタートしました。

もう一つのきっかけは、読み合わせだけでは防ぎきれないヒヤリハットでした。例えば、「おきなわ」が「おなきわ」と並んでいても、文脈から無意識に「おきなわ」と読んでしまい、文字の並び替わりを見落としてしまうことがあります。これは「タイポグリセミア」と呼ばれる現象の一例です。こうした経験を通じて、人の目による確認だけではミスを完全に防ぐことが難しいという問題意識が、チーム内でも共有されるようになったと山本様は話します。

そこからツールの比較検討に入りました。その際に重視したのは、単に「校正作業を早くすること」ではありませんでした。異なるファイル形式どうしを突き合わせられること、段階的に自社仕様へカスタマイズできること、このような条件を踏まえて、Tooのクラウド校正システム「sowaos」の導入に至りました。

導入後は、これまで2人でおこなっていた確認作業の多くを、1人でも進められる体制へと移行できたと山本様は語ります。チームメンバーからは、「人に確認を頼む心理的な負担が減った」「読み合わせに使っていた時間を、戦略的な業務に充てられるようになった」といった声も寄せられたそうです。

また、ツールを選んで終わりではなく、導入に向けた部内や関連部署との合意形成、予算確保の進め方について紹介されました。さらに、複数年にわたる導入計画の中で、どの資材から段階的に自動化していくか、そのプロセスも具体的に語られました。

「校正のデジタル化はまだ第一フェーズ」と語る山本様。これからシステムをアップデートし、効率化によって生まれた時間をお客様により良い商品を届けることに使っていきたい、と展望を語りました。

トークセッション、Q&A

講演後は、Tooのスタッフと山本様によるトークセッション、続いて視聴者からの質問をもとにQ&Aをおこないました。

トークセッションでは、導入にあたり最も苦労したこととして「データの整理」が挙げられました。社内で使われている用語の共通認識をつくるところから始め、システムに必要な情報をそろえることに時間がかかったといいます。また、「正」となる原稿が複数あるなかで、自動化に向けてどのように整理し、システムに取り込むかについて、Tooの担当者と打ち合わせを重ねたことも紹介されました。

そのほかにも、短期間で導入を進めることができた背景には、新しい提案をまず検討してみる企業文化や、部署を越えて相談しやすい環境があったことが語られました。

Q&Aでは視聴者から、生成AIとデジタル校正ツールの違いについても質問が寄せられました。Tooからは、生成AIは日々進化している一方で、同じ指示を入力しても常に同じ結果が返ってくるとは限らないという特徴を説明しました。100%の精度が求められる校正においては、この点が難しさのひとつになっています。一方でsowaosのような校正システムは、同じ資材をチェックすれば必ず同じ結果が返る「再現性」がある、という違いを解説。将来的には、再現性のあるチェックと生成AIによる壁打ちを1つのプラットフォームで提供することを目指したいという展望もお伝えしました。

最後に「このまま改良を進めていけば、sowaosを完全に信用して任せられる実感はあるか」という質問が寄せられました。これに対して山本様からは「信用している」との答えをいただきました。導入時には「機械って本当に信用できるの?」という気持ちもあったそうです。一方で、人による確認にも見落としが起こる可能性があります。現在は、誰でも使うことができ、正確性も高い点を評価しているとお話しいただきました。

時間いっぱいまで質問が続き、校正業務に向き合う参加者の皆さまの関心の高さがうかがえました。山本様の明るく率直なお話もあり、セミナーは終始和やかな雰囲気でした。Tooのスタッフとも導入プロジェクトを一緒に進めてきたからこそのやり取りも交えながら、最後まで笑顔の絶えない時間となりました。

校正にかける時間とミスを削減し、本業に専念できる環境を

パッケージ校正は、ブランドの信頼を守る重要な工程です。オリオンビール様の講演では、現場の負担感とヒヤリハットをきっかけに課題を明確にし、周囲を巻き込みながら段階的にデジタル化を進めていく道のりを具体的に共有していただきました。校正にかける時間とミスのリスクを減らし、本業である商品づくりやブランド育成のための時間を取り戻す——その第一歩として、今回の内容が皆さまの参考になれば幸いです。

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