【生徒用iPad活用事例】1人1台デバイスをiPadに統一した理由──デバイスを配るのではなく、環境を配る

GIGAスクール構想により、多くの学校で1人1台デバイス環境が整備されました。しかし、デバイスを配布しただけでICT活用が進むわけではありません。
「生徒がデバイスを持ってこない」「授業中にゲームをしてしまう」「アプリの不具合で授業が止まる」──こうした課題に直面した学校も少なくないのではないでしょうか。
本ブログでは、他OSデバイスとiPadの運用を経験した京都産業大学附属中学校・高等学校様が、iPadのみの環境にたどり着いた背景についてご紹介します。
※本記事の内容は2026年8月のTeacher’s Summit2026のセッションにてお話しいただいた内容です。
目次
1人1台デバイス導入から見えてきた課題
同校でICT専任職員として勤務する西尾様は、デバイス管理やネットワーク運用、システム管理、教員からのICT相談、生徒デバイスのトラブル対応など、学校内のICTに関わるあらゆる業務を担当しています。「授業をつくるのは先生方。その授業を支える環境をつくるのが私たちの仕事」と西尾様は語ります。
同校では2017年から段階的にICT環境を整備してきました。教室へのプロジェクターや無線LANの整備、教員用PCと情報教室のPCの入れ替えなどを経て、2020年に生徒1人1台のデバイスを導入。高校では、先生からの希望でChromebookを採用。中学校では、誰でも直感的に利用しやすいことを重視し、iPadを採用していました。
しかし、運用を続ける中で、高校のChromebook環境に3つの課題が見えてきたといいます。
・生徒がデバイスを日常的に持ち歩かない
情報や探究の授業では活用されるものの、それ以外の授業では利用機会が少なく、「使う日だけ持ってくる」「学校に置きっぱなしにする」といった生徒が増えていくことが課題でした。
・授業中にデバイスでゲームをしてしまう
ノートPCは教員から画面が見えにくく、授業を受けているように見えても、実際にはゲームをしているケースがあったそうです。
・アプリの不具合で授業が止まる
中学校で成功事例となっていた、iPadとリアルタイム学習支援アプリを活用した授業を高校でも試みていましたが、授業開始時に一部のデバイスでアプリが起動しなかったり、動作が不安定になるケースが発生しました。原因の特定が難しく、授業開始後20分近くトラブル対応に追われることもあったそうです。
なぜiPad環境では上記の課題が起こりにくかったのか
一方で、中学校のiPad環境では、こうした課題が比較的発生しにくい状況が実現できていました。
・iPadケースの自由選択でデバイスに愛着を持たせ、携帯率向上
「自分のもの」という意識が生まれることでデバイスを大切に扱うようになり、修理件数の減少にもつながっているといいます。
・外付けキーボードを採用し、自然とiPadを寝かせて使用
キーボード一体型ケースではなく外付けキーボードを採用することで、授業中にiPadを立てて使わない運用を徹底。教員から画面が見えやすくなることで、生徒の集中を促す環境づくりを行いました。
・Appleの統一した規格でアプリの動作不良が極めて少ない
iPadはハードウェアとOSが統一されているためアプリが安定して動作しやすく、授業中の不具合もほとんど見られませんでした。
学校としてのICT活用の方針を定め、生徒1人1台デバイスをiPadに統一
こうした課題が浮き彫りになる中、最適な授業環境を構築していくため、学校としてICT活用の方針を整理していきました。約5か月間にわたり、教員へのアンケートやヒアリングを繰り返し実施。集まった意見を分析した結果、たどり着いた結論が「1人1台デバイスは、プレゼン資料やレポートを作るためのパソコンではなく、学習や学校生活を支援するための補助ツールである」という考え方でした。日常的な活用のしやすさや授業での使いやすさを重視し、同校ではiPadが最も適しているという判断に至ったそうです。
iPad統一にあわせて見直した保守・運用体制
デバイスの統一と同時に見直したのが、保守や運用の体制です。これまでのiPad運用にも3つの課題がありました。
・修理に時間がかかりすぎる
修理先がiPadの調達会社と分かれているため、修理に約2ヶ月かかることもあり、代替機の運用も手間になっていました。
・iPadの価格改定により、修理時に差額負担が発生するケースがある
以前加入していた保証は、購入時のデバイス価格を基準としていたため、その後にiPadの価格改定が行われると、修理時に差額を保護者に負担していただく必要がありました。
・MDMの設定変更が思い通りにならない
以前はMDMの設定を自分で行うのではなくベンダーへ依頼しており、やり取りや確認に時間がかかることがありました。
これらの課題を解消するため、同校ではデバイスの調達・運用体制を見直し、Tooを採用しました。
Tooに変更したことによるメリット
・Apple正規サービスプロバイダであるTooは自社で修理をするため、修理に出してから約7営業日で手元に戻る運用を実現。従来は約2か月かかっていた修理期間が大幅に短縮
・Tooの保証は経年による保証上限金額の逓減がない
・学校側で自由に設定変更を行うことができ、不明点があればTooのサポートを受けながら運用できる
「デバイスを配る」から「環境を配る」へ
西尾様は、「デバイスを配るだけではICT活用は進まない」と語ります。同校では、生徒が意識しなくても自然と学習に集中できるよう、授業中にゲームへ脱線しにくい運用や、日常的にデバイスを持ち歩きたくなる仕組みづくりを進めてきました。重要なのはデバイスそのものではなく、生徒が自然に活用したくなる環境を整えること。ICT活用の成果は、こうした見えない仕組みの積み重ねによって生まれるのだと、セッションを締めくくりました。
記事は2026年8月31日現在の内容です。
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