【校務Mac活用事例】教員の不安を乗り越えたMacBook導入奮闘記

生徒用デバイスとしてiPadを導入する学校は増えています。一方で、教員用PCは依然としてWindowsが主流であり、「校務でMacは本当に使えるのか」「Macにしたいけど、他の教員の理解をどう得るのか」と悩む学校も少なくありません。
今回、教員用デバイスをMacへ移行した学校法人アミークス国際学園様に、導入の背景や現場で直面した課題、教員の理解を得るために行った取り組みについて、管理者ならではの視点で紹介いただきました。
※本記事の内容は2026年7月のTeacher’s Summit2026のセッションにてお話しいただいた内容です。
目次
生徒の学びに合わせて、教員の業務環境もAppleへ
学校法人アミークス国際学園様は、幼稚園69名・小学校354名・中学校98名の生徒が所属する一貫校です。教育特例校として英語イマージョン教育を実践しており、教職員は世界10か国、生徒は15か国から集っています。
生粋のWindowsユーザーであった玉城先生が教員用デバイスとしてMacを選択した理由は、「生徒の学習用デバイスとしてiPadを選定したから」「教員が生徒を指導する際の親和性・一貫性を最優先にした結果」だといいます。
同校では2011年からiPadを授業に取り入れ、2015年には中学校の生徒用デバイスとしてMacを導入。生徒たちにとってiPadやMacは特別なICT機器ではなく、学習環境の一部として自然に溶け込んでいたそうです。
その後、中学校の教員用デバイスもMacへ移行し、教室にはApple TVを配備するなど、開校当初からApple製品を積極的に活用してきました。そうした中で浮かび上がったのが、「生徒はApple製品を使っているのに、小学校教員だけがWindows環境である」という課題です。クラスルームやApple TVを活用した授業運営、生徒用デバイスとの連携、Jamfによる一元管理などを実現するため、教員用デバイスのMac導入を決断しました。
最大の壁は技術ではなく、教員の心理的ハードルだった
Mac移行にあたって最大の障壁となったのは技術面ではなく、教員の心理的な抵抗感でした。
小学校の教員からは、
「今まで使っていたWindowsで十分ではないか」
「操作方法が大きく変わるのではないか」
「新しいことを覚える負担が大きい」
「Macはクリエイター向けで校務には向かないのではないか」
といった声が上がったそうです。
そこで玉城先生は、単なる機能説明ではなく、「なぜ学校としてMacを導入するのか」を伝えるプレゼン資料を用意しました。
<プレゼン資料に含めた内容>
1. なぜMacに変えるのか
・学校内のデバイスをApple環境へ統一し、ICT運用をシンプルにする
・管理工数やトラブル対応を削減し、教育活動の支援に時間を使える体制を目指す
2. Mac導入によって得られるメリット
・iPadとMacの連携による業務効率化
・AirDropやクラスルームを活用した授業運営
・Jamfによるデバイス管理の効率化
・故障やトラブル発生時の復旧のしやすさ
3. 教員の不安や疑問への回答
・Macは高価というイメージがあるものの、残価設定型リースや管理コスト削減によって導入しやすくなる
・OfficeやWebサービスはMacでも利用でき、中学校での運用実績からも大きな支障はない
・USB機器や周辺機器もアダプタや代替手段によって対応できる
・操作方法は異なるものの、設定次第でWindows PCに近い使い方もできること
また、導入時に意識したもう一つのポイントが、急激な変化を避けることでした。Macを配布したからといって、すぐにWindows PCを使えなくするのではなく、一定期間は両環境を併用しながら徐々に移行できる体制を整備。「使いこなせなかったらどうしよう」という不安を軽減したことも、スムーズな導入につながったといいます。
導入後に見えてきたWindows環境との共存課題
一方で、Mac導入後の現在も抱える課題があるといいます。特に苦労したのが、長年運用してきたWindows中心のシステムとの連携です。
例えば、
・Active Directoryとの連携
・初回ログイン時のユーザープロファイル作成
・MDM利用のためのネットワーク設定
など、既存環境との接続にはさまざまな調整が必要でした。
また現場では、
・Excelマクロが正常に動作しない
・PowerPointのフォント表示が変わる
・Windows専用のデジタル教材が存在する
・一部レガシー機器が利用できない
・ネットワークや印刷環境で細かな差異が発生する
といった課題も上がっていました。
次のステップはクラウド化と運用体制の強化
こうした課題は発生したものの、現在同校では、Mac導入をきっかけにさらなるICT環境の最適化を進めています。Active Directory中心の運用から脱却し、認証基盤や業務システムのクラウド化を進めることで、サーバー依存の少ない環境づくりを目指しています。また、Apple製品への統一を活かしながら、安定したデバイス調達や更新計画を構築することも今後のテーマだといいます。
伝えたい3つのメッセージ
最後に玉城先生は、Mac導入を通じて得た学びとして、次の3点を共有しました。
1. マルチOS共存は避けられない
どれだけApple環境へ寄せても、世の中にはWindows前提のシステムやサービスが存在します。完全な単一環境を目指すのではなく、マルチOS環境を前提に、小規模導入や段階的な移行を進めることが重要だと語りました。
2. ICTは「一人SE」にしない
ICT環境の複雑化が進む中、一人の担当者だけで運用を支えることには限界があります。業者任せにするのではなく、学校側も環境を理解しながら、教職員や外部パートナーと連携して運用できる体制づくりが重要だと強調しました。
3. 判断に迷ったら「子どもたちのためになるか」で考える
ICT整備を進める中では、さまざまな選択肢や課題に直面します。そのような時こそ、「子どもたちが最も恩恵を受けられるか」という視点を軸に判断することが大切だと締めくくりました。
記事は2026年8月28日現在の内容です。
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