【校務Mac導入事例】Mac導入を学校改革の起点に。先生が学び続ける学校へ

「Macを導入すること」が学校改革のゴールではありません。ICTをきっかけに先生自身の働き方や授業づくりをアップデートし、その変化を子どもたちの学びにつなげていくことが重要です。
小学校で首席教諭を務め、学校運営や研修、ICT活用などに携わる荒濱先生は、学校改革を進める中で全教員にMacBook Neoを導入しました。子どもたちにはiPadを1人1台配布し、先生と子どもがともに学び続けられる環境づくりを進めています。
今回のセッションでは、なぜMacを導入したのか、導入に向けてどのような準備を進めたのか、そしてICTを学校改革につなげるために大切なことについて、具体的な実践が紹介されました。
※本記事の内容は2026年8月のTeacher’s Summit2026 大阪のセッションにてお話しいただいた内容です。
目次
変化する社会に合わせて「学び」も変える
城南学園小学校は、子ども一人ひとりの「やってみたい」「知りたい」を大切にし、自ら学びをつくっていく学校です。授業や多様な体験を通して、考え、対話し、挑戦する中で、自分の学びを見つめ、次の一歩へつなげる「前向きなメタ認知」を育みます。それは、変化の激しい未来を、自分らしく生きるための「学びに向かう力」につながります。
そんな未来を創る学びと学校改革に注力する同校。学校改革の出発点として紹介されたのが、「なぜ学びは変わらなければならないのか」という問いです。
生成AIをはじめとするテクノロジーの進化によって、子どもたちを取り巻く社会は急速に変化しています。セッションでは、ChatGPTが社会に登場したのは2022年であり、わずか3年で学校や家庭にもAIが広がった現状が紹介されました。
今の小学生が大人になる頃、社会がどのような姿になっているのかを正確に予測することはできません。だからこそ、学校も「これまでと同じ学び」を続けるのではなく、変化し続ける社会に応える学びを考えていく必要があると説明しました。
同校では、GIGAスクール構想を契機に子どもたちへiPadを1人1台導入。電子黒板やApple TVなどの環境も整えています。そして次のステップとして、全教員へのMacの導入を進めました。
Mac導入は「機器の更新」ではなく、学校改革の一歩
Macを選んだ理由について、「Appleだから」という理由だけではなく、同校が目指す学校の姿に適した環境であることを挙げました。同校が目指しているのは、子どもも先生も主体的に学び、互いに学び合い、チームで学校をつくっていく姿です。さらに、創造的な授業をつくり、先生自身も学び続ける学校を目指しています。
そのためには、子どもだけでなく先生も新しい技術を使いながら学び、一緒に試行錯誤できる環境が必要です。子どもたちはiPad、先生はMacにすることで、両者が「同じ学びの環境に立つ」ことができる。そうした環境が先生と子どもが一緒に試しながら学ぶ文化を育んでいく上で大切だと話します。
先生の声と不安に向き合いながら、導入の土台をつくる
Macの導入にあたっては、いきなり端末を切り替えるのではなく、約1年をかけて少しずつ環境を整えていきました。まず重視したのが、現場の先生たちの声を聞くことです。
「今、何に困っていますか?」「こんなことができたらいい、ということはありますか?」
と問いかけ、それを新しいデバイスで実現していくことを大切にしました。
また、GoogleやSlack、Notionなど、ブラウザベースで利用できる環境を増やし、Windowsに依存していた業務も可能なものから見直していきました。こうした準備を進めたうえでMacの導入を迎えました。
デバイス導入時には先生からさまざまな不安の声も寄せられました。
「Windowsじゃないと仕事ができないのでは?」
「新しい操作を覚えられるかな?」
「マウスがなくても大丈夫?」
「忙しいのに新しい端末を渡されても困る」
こうした声を単なる「反対意見」と捉えるのではなく、新しいことに挑戦することへの不安や悩みとして受け止めることが大切だと説明しました。
だからこそ、導入後には小さな成功体験を積み重ね、先生同士で助け合える環境をつくることを重視しています。分からないことを気軽に聞いたり、うまくいった方法を共有したりすることで、一人の先生の経験を学校全体の学びへと広げていきます。
これは子どもたちの教室づくりとも共通する考え方です。「間違えても大丈夫」「まずはやってみよう」と思える教室が必要なのと同じように、職員室にも安心して挑戦できる文化が必要だと話しました。
校務DXの先にあるのは「子どもと向き合う時間」
校務DXでは、「業務を効率化すること」だけを目的にしないことも重要です。デジタル化によって仕事が速くなったとしても、そのメリットが子どもたちに返ってこなければ、学校にとってのDXとしては十分ではありません。
業務を効率化することで子どもと向き合う時間を増やす。授業準備の時間を生み出し、より良い授業を考える。先生同士の情報共有をスムーズにして、子どもについて話し合う時間をつくる。こうした「児童ファースト」の視点を持つことが、校務DXを進めるうえで重要だとしました。
「先生の仕事が楽になる」だけで終わらせず、そこで生まれた時間や余力を子どもたちに還元する。荒濱先生は、そこまでを含めてDXの成果と捉えています。
正解を探すのではなく、「次の一歩」を見つける
セッションの最後には、校務DXには「唯一の正解」はないというメッセージも伝えられました。ある学校でうまくいった方法を、そのまま別の学校に取り入れても、同じように成功するとは限りません。学校の規模や文化、先生たちの経験、子どもたちの実態によって、必要な取り組みは変わります。
そのため、他校の実践事例を見るときも、「同じことをやろう」と考えるのではなく、「自分たちの学校なら、何ができるだろう」と考えることが大切です。
今回のセッションでも、答えそのものを提示するのではなく、参加者がそれぞれの学校で「次の一歩」を考えるきっかけにしてほしいという意図が示されました。
先生が変われば、子どもたちの未来が変わる
今回のMac導入で目指しているのは、新しい端末を使いこなすことだけではありません。先生が学び続け、挑戦し続けられる学校をつくること。それが、学校改革につながっていくというビジョンです。
先生が一歩アップデートすれば授業が変わり、授業が変われば子どもたちの学びが変わる。そして、その先にある子どもたちの未来も変わっていくと説明しました。
Macの導入は、そうした大きな変化に向けた「最初の一歩」です。何を導入するかだけではなく、「何を変えたいのか」を考えること。現場の声を聞き、小さな成功を積み重ねながら、先生たちが安心して挑戦できる文化を育てていくこと。
今回の実践からは、ICTを学校改革につなげるためには、端末そのものよりも、そこから生まれる「人と文化の変化」が重要であることが示されました。
記事は2026年9月29日現在の内容です。
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