あにつく2025レポート | オレンジ リクルート講演会 〜就職をめざすあなたに届ける、”エフェクト表現”最前線~

2025年9月20日(土)に開催された「あにつく2025」より、「オレンジ リクルート講演会〜就職をめざすあなたに届け”エフェクト表現”最前線~」のイベント内容をご紹介します。

オレンジ リクルート講演会〜就職をめざすあなたに届ける、エフェクト表現最前線~ 会場風景01

セッション概要

アニメーションにおける「エフェクト」とは、炎や煙、水しぶき、光のきらめきなど、シーンの臨場感や感情を引き立てる重要な要素です。本セッションでは、その役割や魅力をやさしく紐解きながら、オレンジならではの独自のエフェクト表現についてもご紹介します。

さらに、実際に採用された方のポートフォリオを、スタッフによる解説付きで特別公開。エフェクト制作の最前線に触れながら、映像表現の奥深さを感じていただける内容となっています。アニメ業界をめざす学生の方はもちろん、映像づくりに興味のある方にもおすすめのセッションです。

【主催】株式会社Too
【登壇者】有限会社オレンジ 早川 大嗣 氏
     有限会社オレンジ 船田 純平 氏

早川大嗣 船田純平

セミナー概要

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まず初めに、今回の講演内容をなぜこのテーマにしたのかについてお話します。きっかけは、「エフェクト」という分野がアニメCG業界の中でまだ少数派である、という現状でした。実は、アニメーション制作におけるエフェクトに興味を持ってくれる方が、非常に少ないのです。

しかしエフェクトは、炎や煙、水、光など、作品の世界観を支えるだけでなく、時には“ヒーローカット”と呼ばれる印象的な場面を演出する、非常にクリエイティブで魅力的な要素だと私たちは考えています。それにもかかわらず、知名度が低く、その面白さややりがいが十分に伝わっていないのが現状です。

そこで今回は、エフェクトの魅力をより多くの方に知ってもらいたいという思いから、この講演を企画しました。すでにエフェクトに関心を持っている方はもちろん、これをきっかけにさらに興味を深め、オレンジのエフェクト表現をより魅力的に感じていただけたら嬉しいです。

会社紹介

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それでは、最初に簡単な会社紹介をしていきます。

有限会社オレンジは、「100年後に伝える。」をコンセプトに、2004年5月に設立されました。代表は井野元英二で、現在は170名ほどの社員が在籍しており、業務内容としてはCGアニメーション制作全般を行っています。

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会社へのアクセスです。東京都中央線の武蔵境駅から徒歩7分の場所にあります。周辺には果樹園や公園があり、のどかな環境に囲まれています。近くには第2スタジオもあり、そちらには背景チームやモデリングチームが勤務しています。

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手がけた作品のご紹介です。

設立当初は下請け業務を中心に行っていましたが、2017年に『宝石の国』で初の元請け制作を担当しました。それを皮切りに『モンスト』や『ゴジラS.P(シンギュラポイント)』など、さまざまな作品に携わってきました。最近では『BEASTARS Final Season』や『リヴァイアサン』が好評配信中です。

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続いて、CG部の構成についてです。制作進行を除いたCG部だけで見ると、現在は全部で133名が所属しています。その中で、「アニメーター」「モデラー」「フェイシャル」「エフェクト」の4部署に分かれて作業を行っています。エフェクトチームは現在5名という少数精鋭体制で、各プロジェクトに取り組んでいます。

エフェクトとは

ここから本題であるエフェクトの説明に入っていきます。「エフェクト(Effect)」を直訳すると「効果」という意味になります。この言葉は映像業界に限らず、デザインや音楽の分野でもよく使われる表現です。

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では、映像業界においてエフェクトとは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。

一言で言えば、エフェクトとは「自然現象や非現実的な表現」を担う要素です。炎や煙、水しぶき、光のきらめきなど、現実世界の現象から、ファンタジー的な魔法表現まで、あらゆる“動きのある効果”を生み出すのがエフェクトの役割です。

言葉だけでは少しイメージしにくいかもしれませんので、弊社で手がけた具体例を見ていきます。

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まず代表的なものとして「自然現象」が挙げられます。炎や煙、爆発、海の波、そして建物の破壊など、物理的な現象を映像上で再現するのがエフェクトの仕事です。

たとえば、左のカットはBEASTARSに登場する海の表現です。右側のカットはリヴァイアサンでの戦闘シーンで、爆発や海の動きといったエフェクトがふんだんに使われています。どちらも作品の世界観や臨場感を支える重要な要素となっています。

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もう一つの例として、「非現実的な表現」についても触れておきます。こちらは現実世界では起こり得ない、いわゆる抽象的な描写や心情表現といった特殊な演出を指します。こうした表現もエフェクトの領域に含まれます。

BEASTARSでは、主人公レゴシが匂いを嗅ぎ取るシーンがあります。本来、匂いというのは目に見えないものですが、それを視覚的に「匂いの筋」として描写することで、キャラクターの感覚を観客に伝えることができます。このように現実には存在しないものを映像上で表現することも、エフェクトの仕事のひとつになります。

VFXとの違い

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ここで、よく混同されがちな「VFX(Visual Effects)」と「エフェクト」の違いについても整理しておきましょう。VFXは、映像に後から加えられる“視覚効果”全般を指す言葉です。

たとえば、左側のグリーンバックで撮影された実写映像があるとします。そこに背景を合成したり、煙や炎といったエフェクトを重ねたり、色味を調整する、こうした後処理の工程全体がVFXです。つまり、VFXとは「映像に後から加える効果」の総称といえます。

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では、エフェクトとは何かというと、このVFXの中の一部を担う要素です。ここまでは主に実写映像でのVFXについて説明しましたが、アニメーションにおけるVFXは、少しニュアンスが異なります。

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こちらの表は、「アニメにおけるVFX」と「実写でのVFX」の目的の違いをまとめたものです。実写のVFXは、実際に撮影された映像をベースに“現実では再現できない要素”を自然に追加することを目的としています。一方で、アニメのVFXは、もともと手描きやCGで構成された映像に対して、より印象的で迫力のある演出を加えることを目的としています。

つまり、アニメにおけるVFXとは、映像の完成度を高め、作品全体の演出効果を強化するための要素と言えます。その中核を担うのがエフェクトやコンポジットといった手法なのです。

オレンジのエフェクトの主な役割

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ここからは、オレンジにおけるエフェクトの主な役割を3つご紹介します。

1つ目は「空間に臨場感を与える」こと、2つ目は「キャラクターや物体の動きに説得力を持たせる」こと、そして3つ目は「芸術的な表現を付加する」ことです。

これら3つの目的を軸に、オレンジでは作品ごとの世界観や演出意図に合わせて、エフェクトの使い方を工夫しています。

空間に臨場感を与える

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それでは、先ほど挙げた3つの役割について、具体的な例を見ていきましょう。まず1つ目は「空間に臨場感を与える」表現です。こちらは『TRIGUN STAMPEDE』に登場する“高次元空間”を描いたシーンの例です。非常に特殊な空間表現で、エフェクトの有無によって印象が大きく変わります。

左の映像はエフェクトを加える前の状態です。背景が1枚置かれているだけで、空間の広がりや動きが感じにくく、何が起きているのかがやや分かりづらい印象になります。一方、エフェクトを加えた右の映像では、空気の流れや光の粒子などが加わることで、空間に奥行きと臨場感が生まれています。

このように、エフェクトは背景とキャラクターの間に「空気」を作り出し、画面全体の説得力を高める重要な役割を果たしています。

キャラクターや物体の動きに説得力を持たせる

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2つ目の例は「物体の動きに説得力を持たせる」表現です。

これは非常に分かりやすいケースで、エフェクトの有無によって状況の伝わり方が大きく変わります。まず、エフェクトなしの映像では、船を飲み込もうとしている巨大な生物が登場しているのですが、背景との関係性がつかみにくく、どのような環境で何が起きているのかがやや分かりづらい印象です。

一方、エフェクトを加えると水しぶきが上がり、そこが海辺や水中に近い環境であることが直感的に伝わるようになります。さらに、水しぶきの勢いや動きを見ると、巨大な生物が力強く動いていることが感じ取れるため、シーン全体の迫力やリアリティが格段に増します。

芸術的な表現を付加する

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3つ目は「芸術的な表現を付加する」役割です。

これは先ほど触れた抽象的な表現にも近く、エフェクトそのものが画面演出の中心となるケースです。例として、BEASTARSに登場するレゴシの感情を表現したシーンを挙げます。ここでは、キャラクターの内面を直接的に描くのではなく、エフェクトを使って感情の揺れや不安定さを視覚化しています。

エフェクトがあることで、まがまがしさや緊張感といった情緒的な要素が強調されています。つまり、単なる効果としてではなく、演出の一部として作品の世界観を構築する「主役」としてエフェクトが機能している例といえます。

エフェクトの作り方

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では、ここからはエフェクトがどのように作られているのかを、実際の工程を踏まえて紹介していきます。

まず、エフェクト制作で使われる主な手法についてです。水や煙、炎といった“流体”の動きを再現する「流体シミュレーション」、そして建物の破壊や岩の崩落など“硬い物体”の動きを再現する「剛体シミュレーション」が代表的です。このほかにも、布や髪の毛の揺れ、柔らかい物体の変形、大量の粒子を使った演出など、さまざまな計算手法があります。

よく数学の知識が必要かと聞かれることもありますが、最近では専門的な知識がなくても直感的に操作できるツールが数多く存在します。

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ここでは、代表的なエフェクト制作ソフト『Houdini(フーディニ)』を使って、炎のエフェクトがどのように作られているのかを例に説明します。

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工程は大きく3つのステップに分かれます。

まず「1. 炎の発生源を追加」します。次に「2. それをシミュレーション用の発生源に変換」し、最後に「3. シミュレーションツールで計算」して炎の動きを生成します。

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さらに、障害物を置いたり、炎の勢いを強めたりといった調整も自由に行うことができます。この程度の規模であれば、1フレームあたり1秒もかからないほどの速度でシミュレーションが可能です。そこから試行錯誤を重ねながら、より魅力的な動きへとブラッシュアップしていきます。

こうして見ると、意外と簡単に炎を作ることができると感じられるのではないでしょうか。

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オレンジでは、こうしてシミュレーションで作成したエフェクトをそのまま使用するのではなく、最終的に「コンポジット」という工程で仕上げを行います。コンポジットとは、複数の素材を組み合わせて最終的な映像を完成させる作業のことです。

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比較してみると、コンポジット後の映像では炎がより自然に見え、光や熱の表現にも深みが加わっています。シミュレーションの段階でも十分リアルではありますが、コンポジットを経ることで映像としての完成度が大きく向上し、説得力のあるビジュアルへと変化します。

なぜコンポジットが重要なのか?

ではここから、なぜオレンジがコンポジットを重視しているのか、その理由についてお話しします。

そもそも、なぜエフェクトを背景などの映像と合わせることが必要なのでしょうか。その答えには、感覚的な部分も多く含まれます。ここでは、背景と炎のエフェクトを使った2つの例で考えてみます。

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まず、コンポジットを行わず、シミュレーションした炎をそのまま背景に乗せた例です。背景はアニメ寄りのテイストになっていますが、この絵には少し問題があります。見方はいろいろあるかと思いますが、ここでのポイントは「シミュレーション素材を何の工夫もなくそのまま置いている」という点です。

弊社では、この工夫をしていない状態を非常に問題視しています。アニメの背景を描く背景スタッフは、キャラクターや作品の世界観に調和するよう、細やかな工夫を凝らして制作しています。エフェクトも同じく、アニメの中で世界観を支える重要な要素です。

そのため、エフェクトにも背景と同様の調整や工夫がなければ、視聴者に違和感を与えてしまうのです。

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次に、炎をアニメ調に寄せてコンポジットしたパターンを見てみましょう。

背景は先ほどと同じアニメ背景を使っています。ぱっと見た印象では、先ほどよりも自然に馴染んでいるように感じられると思います。しかし、これもオレンジではNGとしています。

理由は、単に「手描きエフェクトに寄せた」だけの表現になっており、その作品の世界観や質感を深く理解した上での処理になっていないためです。つまり、見た目の模倣にとどまっていて、作品の文脈に即した表現にはなっていません。

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こちらが、世界観を考慮したオレンジ流の炎エフェクトです。

背景がシンプルすぎない、ある程度のディテールを持った構成であるため、炎もそのバランスに合わせてディテールを抑え、色数を制限しながらアニメ全体に馴染むように設計しています。一方で、光の加減についてはリアルさを保ちつつ、美しく見えるよう丁寧にコンポジットを行い、映像としての見応えを加えています。

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さらに、フレームレート(コマ打ち)についても、オレンジでは細かく調整しています。

映画では1秒間に24枚の絵で映像が構成されるのに対し、日本のアニメーションでは1秒間に8枚から12枚の絵で動きを作る「リミテッドアニメーション」が主流です。そのため、炎のエフェクトもキャラクターと同様に、アニメならではの動きやテンポに合わせて調整を行います。

このようにオレンジでは、作品の世界観と調和させることを何より重視しています。そのため、まず調整幅の大きいリアルな素材を用意し、最終的にコンポジット工程でトーンや質感を整えることで、映像全体としての完成度を高めています。

エフェクト班で働くということ

ここまでで、CGエフェクトがどのように作られているのか、その工程や考え方についておおまかにイメージしていただけたのではないでしょうか。

では次に、そうした技術や表現の考え方が、実際の制作現場でどのように活かされているのかに触れていきます。そして、この仕事に携わっているスタッフがどんなきっかけでエフェクトの道を選んだのかについてもお話しします。

早川氏のケース

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ここからは私、早川がどのようにオレンジに入社したのかについてお話しします。

もともとアニメ業界に深く関わりたいという思いがあり、アニメの専門学校に進学しました。アニメーション研究科に所属し、作画や動画、撮影、背景、そしてCGなど、アニメ制作の全工程を学びました。その中で、自分にはCGの分野が最も合っていると感じ、この道を選ぶことにしました。

在学中には幸運にもスタジオカラーでのインターンシップの機会をいただき、貴重な経験を積むことができました。その後のご縁で、弊社オレンジのインターンにも参加しました。オレンジでのインターンでは、作品づくりへの姿勢や会社のスタンスが自分の考え方に強く共鳴し、終了後もその気持ちは変わらず、専門学校を卒業してそのままオレンジへ入社しました。

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入社後、最初に参加した作品は『終末のイゼッタ』で、アニメーターとして携わりました。「エフェクトではなかったの?」と思われるかもしれませんが、当時はまだエフェクト班が存在しておらず、アニメーターがエフェクトも兼任していました。

今では考えられないほどアニメーターの負担が大きかった時期ですが、この作品は第二次世界大戦をモチーフにしており、爆発や炎、土煙などの表現が多く求められました。そのため、アニメーターとしてシミュレーションを扱う業務にも携わることになりました。

そうした経験を通じて、シミュレーションとアニメーションが組み合わさったときの映像表現の面白さを強く感じました。これは作品づくりに欠かせない表現方法だと実感し、エフェクト班が立ち上がった際に自ら手を挙げて参加しました。

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その後は『ゴジラS.P』などに関わり、初めてディレクターとして参加した作品が『TRIGUN STAMPEDE』です。この作品はガンアクションやSFといったジャンルで構成されており、爆発や煙、エネルギー表現など、エフェクト班が手がける要素が非常に多い作品でした。

ディレクターとして携わる中で、単なる爆発や煙といった現象の表現だけでなく、抽象的な演出や新しい表現を一から考える場面も多くありました。頭を悩ませることも多かったですが、同時に「どうすれば観る人を飽きさせないか」という工夫を学ぶことができた貴重な経験でもあります。

特に「まがまがしさ」や「気味悪さ」といった感情的な表現は、作品の文脈を理解しないまま“美しさ”だけを追求してもうまくいかないということを痛感しました。その学びは現在制作中のリヴァイアサンやTRIGUNの第2期にも生かされています。

『TRIGUN STAMPEDE』で得たスキルと、作品ごとの世界観への理解。その両方を武器に、今後もエフェクト班のメンバーとともに表現の幅を磨いていきたいと考えています。

船田氏のケース

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続いて、船田の経歴についてご紹介します。

私はもともと工業系の大学を卒業し、その後4年間ほど電力会社に勤務していました。アニメ業界とはまったく関係のない仕事をしていたのですが、昔からアニメが好きだったこともあり、「やはりアニメに関わる仕事がしたい」という気持ちが強くなりました。
そこで思い切って転職を決意し、専門学校に1年間通うことにしました。

その在学中に、たまたまエフェクトに関するセミナーを見る機会がありました。エフェクトというのは非常に難易度が高い分野でありながら、作品全体の印象を大きく変える力を持っていることを知り、強い衝撃を受けました。その体験をきっかけに、独学でエフェクトの勉強を始めるようになりました。

その後、オレンジへの入社を目指しましたが、実は採用試験を3回受けています。2回は不合格で、3回目の挑戦でようやく内定をいただきました。今振り返っても、とても苦労した思い出です。

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最初に担当したカットを少しご紹介します。もし皆さんがオレンジに入社された際には、このようなカットを担当するかもしれません。私が初めて携わったのは『ゴジラS.P』のシーンで、ラドンという怪獣に人々が追いかけられる場面の土煙のエフェクトを担当しました。

一見シンプルなカットですが、実際には非常に繊細な調整が必要でした。というのも、キャラクターの動きをそのまま物理的にシミュレーションすると、あのように煙が高く立ち上ることはないのです。そこで、現実的な正確さよりも「画としてどう見えるか」を優先し、あえて誇張した表現を加えました。

このように、映像業界では「嘘をつく」と言われることがあります。いわゆる“ケレン味”と呼ばれる、意図的な演出効果を取り入れることが重要で、そこにどの程度の加減を加えるかが腕の見せ所でもあります。このカットも単純に見えて、非常に時間をかけて仕上げたのを覚えています。

エフェクトを始めたばかりの頃は、こうした煙などのカットからスタートすることが多いかと思います。

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私にとって初めてのディレクター作品は、劇場版『アイドリッシュセブン BEYOND THE PERiOD(ムビナナ)』です。

この作品ではVFXアートディレクターを務めました。ライブシーンではスパークやスモークなど、ライブ演出らしいエフェクトを多く担当しましたが、それに加えてライティングも自分で行いました。

当時、オレンジではライブ演出に特化したライティング技術のノウハウがなく、リアルなライト表現をどう実現するかが大きな課題でした。新しい技術や表現方法に挑戦する部署として、エフェクト班がVFX全体を統括する形で試行錯誤を重ねました。

使用したのは、ゲームエンジンである「Unreal Engine」です。実際のライブ演出で使われる照明制御ソフトを活用し、ライトを動かしながら映像を構築していきました。作業はとても大変で、試行錯誤の連続でしたが、最終的にはライブさながらの臨場感を持つ映像を作り上げることができました。

エフェクト班の魅力

ここまでで、私たちエフェクトアーティストがどのような仕事をしているのか、少しイメージを持っていただけたのではないかと思います。ここからは、オレンジのエフェクト班ならではの魅力をお話しします。

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一言で言うと、その魅力は「画作りを一貫して行える」という点にあります。

どういうことかというと、多くの制作現場では分業が進んでおり、エフェクト担当が素材を作成したあと、コンポジット(合成)は別の部署や他社に依頼するという体制が一般的です。その場合、エフェクトアーティストは最終的な完成映像に関わることが難しく、自分の作ったエフェクトがどのように画面に仕上がるのかを直接確認できないこともあります。

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一方で、オレンジではエフェクト制作にとどまらず、コンポジットを含めた最終的な画作りまでを一貫して担当します。つまり、自分たちの手で「映像として完成させる」ところまで関われるのが大きな特徴です。

たとえばリヴァイアサンでの水のカットでは、4種類ほどのパターンを出し、演出チームや監督と意見を交わしながら最終的な表現を決定しました。最終的に採用されたのは「D案」で、水の流れや透明感など、作品全体のトーンに最も合う形に調整されています。

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また、この破壊シーンのように演出の一部としてエフェクトを組み込むケースもあります。

今ご覧いただいているカットでは、レイアウト設計から破壊用モデルの制作、エフェクト処理、そしてコンポジットまで、すべてをエフェクト班が担当しました。単に煙や破片を足すだけでなく、「どう見せるか」という演出の観点からカット全体を構築しているのです。

このように、オレンジのエフェクト班は単なる素材で終わらせるのではなく、表現として”このカットをどう魅せるのか”という観点で関われることが、最大の魅力であり、私たちの強みだと考えています。

採用のポイント

ここからは、学生の皆さんに向けたお話になります。

今日ご参加されている方の中には、将来的にエフェクトの仕事に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。これまでお伝えしてきたように、オレンジのエフェクト班には「画作りを一貫して行える」という大きな魅力がありますが、ここでは採用の観点から、私たちが応募者のどんな点を重視して見ているのかをお話しします。

また、実際に採用に至ったポートフォリオの一部も紹介しながら、どのような表現や工夫が評価されたのかについても触れていきます。

求める人物像

では、オレンジのエフェクト班が採用にあたって重視している「評価のポイント」と「求める人物像」についてお話しします。私たちは、特に次の3つの要素を大切にしています。

探求心・好奇心

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1つ目は「探究心と好奇心」です。

画作りに対して強い興味を持ち、試行錯誤を楽しめる方は、この仕事にとても向いていると思います。映画やアート、自然現象など、身の回りのあらゆるものに関心を持って観察し、それを映像としてどう表現するかを考えられるという、そうした探究心を持つ姿勢が大切です。

主体性

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2つ目は「主体性」です。

受け身ではなく、自ら考えて行動できる方を歓迎しています。エフェクトの制作には正解がありません。表現の方法は無限にあり、設備やツール、スケジュールやコストなど、さまざまな制約の中で最善を探っていく必要があります。そのため、自分で判断し、限られた条件の中でどうやって映像として成立させるかを考える姿勢が求められます。

たとえばポートフォリオを作る際にも、性能の高いPCや高価なソフトがなくても工夫の余地はあります。簡単なパーティクルツールを使ったり、既存の素材を活用したりして、「どうすれば自分の思い描く画に近づけられるか」を試す姿勢が大切です。そうした工夫や試行錯誤が見られる作品は、非常に高く評価しています。

コミュニケーション

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3つ目は「コミュニケーション」です。

どの会社でも大切にされていることですが、あえて強調したい重要なポイントです。チームで作品を作り上げていく以上、円滑なコミュニケーションが取れないと良い成果は出せません。どれほど技術力があっても、協調性が欠けていては現場では活躍できないということです。

基本的な社会人としてのマナー、上下関係なく相手への敬意を持って接する態度、挨拶や報連相をしっかり行う姿勢など、シンプルなことの積み重ねが信頼を生みます。私たちは、そうした人間的な誠実さを持ってチームに貢献できる方を求めています。

ポートフォリオのポイント

続いて、学生の方々は気になっているポイントであろう、ポートフォリオについても具体的に紹介していきます。

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私たちがポートフォリオを見る際のポイントで、一番大事なのが「画作り」です。単にエフェクトだけを作るだけで終わるのではなく、その映像全体を意識した画作りというものを、私たちは重要視しています。

技術的な完成度以上に、「伝えたいものにどう近づけたか」や「映像にエフェクトをどう活かしているのか」、また、そこに対する姿勢や工夫も評価のポイントになると考えています。

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よくあるポートフォリオの悪い例を紹介します。特に学生の方々のポートフォリオで見かける、「素材集になっているパターン」です。

よく見かけるケースとして、カリキュラムの都合などから「アニメーション」「モデリング」までは学ぶものの、「エフェクト」に取り組む時間が十分に取れずにエフェクトを作ること自体で精一杯になってしまう、というパターンがあります。

しかし、それだけではオレンジとしては評価が難しい部分があります。というのも、私たちが重視しているのは、エフェクトそのものの完成度だけではなく、それをどう映像全体に落とし込んで表現しているかという点だからです。つまり、単に爆発や煙をリアルに作るだけでなく、そのエフェクトがどんな文脈で使われ、どんな意図で画面の中に存在しているのかまで考えられているかが重要です。

たとえば、キャラクターの感情や物語の流れを支えるための表現としてエフェクトを配置しているか、あるいは映像全体の構成の中で自然に馴染んでいるかという点です。そうした「映像としての完成度」を意識して作られているポートフォリオは、非常に高く評価されます。

エフェクト単体で終わらせず、映像の一部としてどう見せるか、どう表現するかまで工夫して作り上げることが大切だと考えています。

実際のポートフォリオ事例紹介

ここからは、多くの学生の方が特に気になっているであろうポートフォリオについて、具体的にご紹介していきます。

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こちらのポートフォリオは、当時18歳の高校生が応募してきたものです。

多くの方が専門学校などで学び始める中、高校生の段階でここまで完成度の高い作品を作ってきたことに、私たちも非常に驚かされました。本人の話によると、エフェクト専用のツールはほとんど使っておらず、学校にも高性能な機材がなかったそうです。自宅でも同様に環境が整っていなかったため、できるのは「簡単なパーティクルを飛ばす程度」だったとのことでした。

その限られた環境の中で、彼はコンポジットソフトのAfter Effectsなどを使い、自分が表現したい映像に近づけるために創意工夫をし、1つの作品を作り上げていきました。

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いろいろな面で魅力がありましたが、特に評価したポイントは「レイアウトの完成度」です。エフェクト班では、すべてのカメラワークを一からつけることはあまりありません。とはいえ、レイアウトがしっかりしていないと、エフェクトを適切な位置に配置することはできません。彼の作品には、恐怖感を煽るようなレイアウトや、見せたい部分を的確に映すカメラワークがあり、映像としての説得力を感じました。

また、小物の描写にも丁寧な工夫が見られました。たとえばゴミ箱のビニール袋といった細部にまで目を配り、生活感を感じさせる表現がしっかり盛り込まれています。全体の雰囲気づくりが非常に上手く、映像全体に流れと空気感がありました。高校生ながら、作品づくりに真摯に取り組んでいる姿勢が強く伝わってきました。

彼は卒業後、正式にオレンジに入社し、現在もエフェクト班で大活躍しています。

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ここまでいくつかの事例を紹介しましたが、私たちが評価するポートフォリオには、共通して次の2つのポイントがあります。

1つ目は 「画作りに力を入れていること」、2つ目は 「創意工夫がしっかりと伝わること」です。もちろん技術力の高さも大切ですが、それ以上に、映像をどのように作り上げていったのか、そのプロセスや意図が感じられることを重視しています。

オレンジのエフェクト班は、単にエフェクトを制作するだけでなく、映像全体の中でエフェクトをどう生かすか、どう表現として昇華させるかという部分に注力しています。そうした姿勢が感じられるポートフォリオこそ、私たちが高く評価する作品です。

本講演を通じて、エフェクトという分野に少しでも興味を持っていただけたなら嬉しく思います。そして、もし今後「自分もやってみたい」と思ってくださった方がいらっしゃいましたら、ぜひオレンジのエフェクト班に応募してみてください。

採用情報

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最後になりますが、現在、弊社ではエフェクトアーティストの採用を進めています。こちらのQRコードから採用情報ページへアクセスできますので、興味を持っていただけた方は、ぜひスマートフォンで読み取ってご覧ください。

エフェクトという仕事に魅力を感じ、「自分も挑戦してみたい」と思ってくださった方は、ぜひ一度応募をご検討ください。皆さんと一緒に映像づくりができる日を、スタッフ一同心より楽しみにしています。

質疑応答

Q1. コンポジットを行う際、どうしてもエフェクトを重ねすぎてしまい、レイヤーが増えすぎて画面が汚く見えてしまいます。きれいに見せるためには、どのような工夫やトレーニングをすればよいでしょうか?

とてもよくある悩みです。特にエフェクトを扱うと、光の表現や質感の調整などでレイヤー数がどんどん増えてしまい、100を超えることも珍しくありません。まず前提として、最初の段階では“やりすぎる”くらいで構いません。

さまざまな要素を入れてみて、そこから取捨選択をしていく“引き算”のプロセスがとても大切です。素材がなければ試せることも限られてしまうので、まずは自分が思いつく表現を一通り入れてみましょう。そのうえで、少し時間を置いてから再度見返してみてください。人の目は見慣れると違和感に気づきにくくなるので、一晩おいて翌日に見返すだけでも、客観的な視点を取り戻せます。そのときに「ここはうるさいな」と感じた部分を削っていくのが効果的です。

もう一つ大切なのは、「映像をどう見せたいのか」という目的を見失わないことです。多くの場合で、画面がぐちゃぐちゃしてしまうのは、目的を見失って「要素を足すほど格好良くなる」と錯覚してしまうからです。

シーンの中で何を見せたいのか、視聴者にどんな印象を与えたいのかを意識することで、自然と不要な要素を省く判断ができるようになります。弊社オレンジでは、演出スタッフや監督と密にやり取りしながら、そうした“見せたい方向性”を常に確認しています。個人制作でも客観的な視点を持ち、「どの要素が作品の意図に合っているのか」を意識しながら調整していくことが、きれいな画づくりにつながると思います。

Q2. エフェクトアーティストを目指しています。実際の1日のスケジュールや、エフェクトのR&D(研究・開発/試行錯誤)にどれくらいの時間をかけているのかを教えてください。

まず前提として、エフェクトの仕事は 1カットだけを一日中やり続けるということはほとんどありません。たとえば月に10カット担当する場合、それらを並行して少しずつ進める形になります。案件の進行状況や演出の確認待ちなどもあるため、複数の作業を行き来しながら効率的に進めていくのが基本的なスタイルです。

1カットあたりの作業期間は、平均して 2〜3日程度でチェックに出せる状態に整えることを目安にしています。新人のうちは1日1回、ある程度形にしたものを上司や先輩に見せてフィードバックをもらう、というペースを意識できると良いと思います。

R&D(試行・研究)については、期間の幅が非常に広いです。たとえばゴジラS.Pの熱線のような特殊な表現では、半年ほどかけて研究・調整を続けたケースもあります。もちろんその間ずっと同じ作業をしているわけではなく、他のカットや別の案件と並行しながら、頭の中でアイデアを練り、少しずつ形にしていくという進め方です。

抽象的な表現を作る場合は特に時間がかかります。参考映像(リファレンス)を何度も見直しながら試行錯誤を重ねるため、自分で立てたスケジュールの2~3倍かかってしまうことも珍しくありません。

つまり、エフェクトの制作スピードは 「規模」と「表現の特殊性」 に大きく左右されます。小規模なものなら1日で完了する場合もありますが、複雑なシミュレーションや演出を伴うカットでは1ヶ月かかることもあります。

最終的には、スピードよりも「目的に合った表現をどう作り出すか」という探究心と、複数の作業を同時に進める柔軟さが重要になってきます。

Q3. アニメーターさんや演出家さん、監督さんとエフェクトのすり合わせを行う際、コミュニケーションで大切にしていることはありますか?

意識しているのは、「上辺の指示だけで終わらせず、その意図=“真意”をしっかり聞くこと」です。たとえば「ここは爆発のシーンです」と言われたとしても、それが火薬による爆発なのか、ガソリンなのか、あるいは魔法的なエネルギーの爆発なのかによって、表現の仕方は変わります。ですので、まず「なぜ爆発しているのか」「何を表したいのか」という発生の理由や演出の狙いをきちんと共有するようにしています。

エフェクトのディテールや質感などは、私たちの方から積極的に提案していく部分でもあります。だからこそ、演出や監督の意図を正確に理解したうえで、その世界観に沿った形で表現できるよう、細かなやり取りを重ねることを大切にしています。

また、制作を進めていると「こうした方が良いかもしれない」と自分なりのアイデアが出てくることがあります。その際も独りよがりにならないように、「こういう表現はどうでしょうか?」といった形で複数の選択肢を提示し、相手と相談しながら最適な方向を探ります。

つまり、コミュニケーションの基本は“意図を汲み取る”ことと“提案で広げる”ことです。相手の考えを尊重しながらも、より良い映像にするために自分から動く姿勢を大事にしています。

Q4. 私は普段ゲームエフェクトの制作をしており、専門学校で学生の指導も行っています。ポートフォリオ評価の際に「画作り全体が重要」とのお話がありましたが、エフェクト単体で見る場合、緩急・色彩・ツール理解などの中で、特にどこを重視されているのでしょうか?

挙げていただいた3つの要素の中では、「緩急」を最も重視しています。

ツール操作のスキルももちろん大切ではありますが、私たちが特に見ているのは「画としての魅力があるか」「映像の中でどう生きているか」という点です。その意味で、動きの緩急やリズムのつけ方、色の使い方といった画作りに直結する部分を重視しています。

色彩についても、単にカラフルであるかどうかではなく、どういう意図でその色を選んでいるのかが伝わるかどうかがポイントです。「この炎はどんな熱を感じさせたいのか」「この光はキャラクターの感情にどう関わるのか」といった考え方が見える作品は、非常に評価が高くなります。

ツールの理解度については、実はそれほど重視していません。オレンジでも『Houdini』を導入してまだそれほど時間が経っていませんが、画作りの感覚がある人はすぐに慣れて戦力になっています。逆に、ツールを深く理解していても、テクニックに偏りすぎて非効率な制作をしてしまうケースもあります。

つまり、「ツールをどれだけ使いこなせるか」よりも、「ツールを使ってどう良い画を作れるか」を評価しています。最終的に、エフェクトが映像全体の中で効果的に機能しているか、その「画作りへの理解」こそが最も重要だと考えています。

Q5. 緩急や色彩といった部分は、実際の教育や指導の中でどのように教えていらっしゃるのでしょうか?

作品ごとに求められるトーンや世界観が異なるため、まずはその作品の雰囲気を崩さないことを前提に、全体の方向性を統一して指導しています。

教える際には、最初から言葉だけで伝えるのではなく、「画で見せる」ことを重視しています。具体的には、最初の段階ではこちら側でAfter Effectsのプロジェクトデータを引き取り、実際にコンポジットを行って画を整えます。それを見せたうえで、「こういったエフェクトを加えると画面が締まる」「この色味を入れると雰囲気が変わる」といった見て理解できる形で共有します。

その後は、少しずつ言葉での指示に移行していき、最終的には映像を見せなくても、言葉だけでリテイクを受け取って的確に対応できるようになることを目標にしています。順調にいけば最終的にはほとんどリテイクが発生しない状態を目指しており、そうした段階的な教育方法を取っています。

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