あにつく2023レポート | 『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング(グラフィニカ)

9月23日(土)に開催された「あにつく2023」より、「『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング」のイベント内容をご紹介します。

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景01

ウェビナー概要

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング

2023年3月に劇場公開された『グリッドマン ユニバース』の3DCG&撮影メイキング映像を題材に「TRIGGER×グラフィニカ」のクロストークを実施します。当日はシリーズの制作裏話も聞けちゃうかも・・・

【主催】株式会社Too
【特別協賛】オートデスク株式会社
【協賛】キャノン株式会社、
    株式会社ピー・ソフトハウス、
    株式会社フォースメディア、
    株式会社ワコム、
    Wasabi Technologies Japan合同会社
【後援】CG-ARTS
【講師】株式会社グラフィニカ 白濵 啓太郎 氏
    株式会社トリガー 雨宮 哲 氏
    株式会社トリガー 志太 駿介 氏
    株式会社グラフィニカ 市川 孝次 氏
    株式会社グラフィニカ 田口 愛 氏
    株式会社グラフィニカ 志良堂 勝規 氏


概要紹介

白濵:
本日の司会進行を行なうのは、グリッドマン ユニバースで3DCGプロデューサーを担当した株式会社グラフィニカの白濵です。よろしくお願いいたします。

登壇者紹介

登壇者紹介

白濵:
早速ですが、本日のセッションに登壇するスタッフを紹介します。雨宮監督から順番に、簡単な自己紹介とシリーズで好きなキャラクターを1人紹介してください。

雨宮:
本作品で監督を務めた雨宮哲と申します。好きなキャラクターはアンチです。よろしくお願いします。

志太:
株式会社トリガーのアニメーションプロデューサー、志太駿介です。好きなキャラクターは2代目です。本日はよろしくお願いします。

市川:
株式会社グラフィニカの3DCGディレクター、市川孝次と申します。本作品では、3Dアニメーションなどの担当をしました。好きなキャラクターは怪獣のノワールドグマです。意外と顔が可愛いところが気に入っています。よろしくお願いします。

田口:
株式会社グラフィニカのモデリングディレクター、田口愛です。好きなキャラクターはダイナレックスです。本日はよろしくお願いします。

志良堂:
株式会社グラフィニカ所属の志良堂勝規です。グリッドマン ユニバースとダイナゼノンでは撮影監督を務めました。好きなキャラクターはマックスです。本日はよろしくお願いします。

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景02
『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景03

3Dメイキング(モデル編)

3Dメイキング(モデル編)

白濵:
では早速ですが、本日最初のテーマ「3Dメイキング(モデル編)」について紹介していきます。

グリッドマン(Universe Fighter)

グリッドマン(Universe Fighter)

白濵:
最初に紹介するのは、『グリッドマン(Universe Fighter)』です。こちらは、テレビシリーズから引き続き後藤正行さんにデザインを担当していただきました。雨宮監督から後藤さんにデザインをオーダーした際に、特にこだわった点や意識した点などがあればお聞きしたいです。

雨宮:
後藤さんは元アニメーターで言葉が多いタイプではないため、細かく説明するのではなく「手足青くしてください」や「胸には3つ青いパーツがあります」くらいの発注でした。そのため、基本的には後藤さんの自由に描いていただきました。

最初にグリッドマン(Universe Fighter)という名前が決まっていたため、「グリッドマン(Universe Fighter)という名前のキャラクターをデザインしてください」とお伝えしました。そして上がってきたデザインには、「グリッドマン ユニバース”ソルジャー”」と書いてありました(笑)。画像の左上にも、そのように書いてあります。

あとは合体する都合上、テレビのグリッドマンとシルエットを大きく変えないでほしいという要望を出しました。細かい部分ですが、頬の部分に横から見ると円錐状になっている水色の丸いパーツがあります。これらは胸やお腹にもありますが、「肘や膝にある丸いパーツは合体する都合上尖らせると合体できないので、丸くしてください」とお伝えしました。

白濵:
グリッドマンでいうと、テレビシリーズの『グリッドマン プライマルファイター』もありますが、その正統進化というイメージになるのでしょうか。

雨宮:
映画ということもお伝えしていたため、ヒーロー番組でよくあるような映画では強くなるという要素を入れてくださったのかと思っています。

左側に映っているデザイン原案をもとに、右側にある3Dモデルを制作

白濵:
画像の左側に映っているデザイン原案をもとに、右側にある3Dモデルを制作しました。この3Dモデルの制作に関して、田口さんが気を付けたポイントや苦労したエピソードなどはありますでしょうか。

田口:
最初に上がったデザインを見たとき、パッと見はプライマルファイターのバージョン違いのイメージだと思いました。テレビシリーズのグリッドマン プライマルファイターのモデルを制作していたため、バージョン違いのような感じでパーツ変更などの調整をすればいいのかと考えていました。しかしながら、よくデザインを見ると手と足先とアクセプター以外はパーツのデザインが全て違っていたため、結局ほとんどのパーツを新規作成することになりました。

苦労したのは、体中に走っている発光する青いラインです。これはモデルでは溝を掘っていたためとても大変でした。溝があった方がシルエットに凹凸が出て格好良いのですが、まっすぐで機械的なところに溝を掘るのとは違い体のラインに沿う必要があったため、3D的にはポリゴンの整理が大変でした。

白濵:
ありがとうございます。大半の部分を新しく作ったというお話でしたが、逆にそのまま流用できたところはあったのでしょうか。

田口:
それだとこのポーズです。同じように設定画も描いていただいていたので、このポーズはそのまま流用できました。

白濵:
こちらの3Dモデルが完成して、雨宮監督と志太さんの感想はいかがでしたか。

雨宮:
グラフィニカさんは打ち合わせで結構細かく聞いてくれました。3Dモデルの左上に「ユニバース”ファイター”」と書いてあって、きちんと伝わっていて良かったです(笑)。それは冗談ですが、細かく内容を聞いてくれたのは嬉しかったです。

志太:
最初はモデリングの発注から始まったため、このUniverse Fighterが映画の中心になるのでよろしくお願いします、とお伝えしました。後藤さんのデザインをここまで忠実に3Dに起こしてもらった時は社内でも話題になって、やはりモデリングは3Dの中でも重要なセクションだと思いました。モデリングの監修にはヒロイック作画チーフの牟田口さんにも監修していただいています。

白濵:
少し自画自賛になってしまいますが、デザイン通りに作れたよくできた3Dモデルだと思っています。いつも細かく打ち合わせをして監督のやりたいことをお伺いしていたため、逆にしつこすぎないかと心配になっているところでもありました。

雨宮:
とんでもないです。逆に、聞かれて初めて設定することもありました。先程の溝の例でも、へこんでいた方が立体映えするなど、絵から読み取れる情報以上に取り組んでいただいて大変助かりました。

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景03

ローグカイゼルグリッドマン

白濵:
次に紹介するのは本作品の最強ロボット、『ローグカイゼルグリッドマン』です。

ローグカイゼルグリッドマン

白濵:
このデザインはダイナゼノンと同様に、野中剛さんに担当していただきました。雨宮監督が野中さんにお伝えした際に、こだわったポイントなどはありましたか?

雨宮:
テレビシリーズのダイナゼノンに『カイゼルグリッドナイト』というキャラクターが出てくるのですが、その時の反省を活かしたいという思いがありました。カイゼルグリッドナイトは右肩に大きい大砲を背負っていて絵的には格好良いのですが、それが原因で立体にした時に少し右に傾いてしまっていました。

そこが気になっていたこともあり、今回はダイナソルジャー部分を切り離して武器にすることで対応しました。それと同時に、尻尾を地面につけてほしいと発注しました。これらの発注は、「おもちゃが出た時にどうなるか」ということも意識しています。尻尾を付けることで、おもちゃになった際に倒れないようにできるというわけです。

志太:
最初のデザインの発注の際に、デザイナーの野中さんと共にグッドスマイルカンパニーの田中さんにも相談しています。野中さんには、おもちゃになることを前提にしたデザインで発注しています。

雨宮:
おもちゃの金額は1万6,000円以内でということで発注したのですが、発売が決まった時にはおおよそそれくらいの金額になりました。その時には、「さすが野中さんとグッドスマイルカンパニーだ」という話をしていました。それくらいダイナゼノン以降から密にコミュニケーションが取れたのは、シリーズならではの強みだと思っています。

白濵:
私たちも野中さんのデザイン画を見た際には、細かいギミックなどもあってとてもおもちゃ的な作り方だと思いました。合体構造の資料もいただけたこともあり、3D的には起こしやすいデザインでした。

アニメの設定デザイン画というよりも「設計図」

雨宮:
これがそのデザイン画です。アニメには必要のない電池の入れる場所なども決まっていて、もはやアニメの設定画というよりも「設計図」でした。

田口:
3Dで作る際には、これをベースに作っていきました。その後パースで見て、設定画と照らし合わせながらパーツのサイズなどを調整しました。

雨宮:
恐ろしいのは、野中さんは3D用のソフトを使わずにPhotoshopでこれを描いたということです。

田口:
その上とても正確なので、本当に驚きです。

3Dモデルを制作する際に田口さんが気を付けた点や苦労したポイント

白濵:
それらを踏まえて、3Dモデルを制作する際に田口さんが気を付けた点や苦労したポイントなどがあればお聞かせください。

田口:
カイゼルグリッドナイトは、6体が合体しているためパーツとテクスチャ数が一番多く、データがとても重くて整理が大変でした。また、胸と肩に付いているクリアパーツは、3D的にコンポを組むのが大変でした。

白濵:
ありがとうございます。市川さんの方からも、動かしていて苦労した点などがあればお願いいたします。

市川:
とにかくパーツ数が多いことと、もう1つは肩回りです。これだけ多くのパーツが肩に付いているため、腕は10度ほどしか動かせませんでした。おもちゃだとどうするのかという疑問は置いておいて、3Dではパーツを外したり隠したりして、無理矢理アニメーションさせました。カメラからの見栄え重視で作業をしたイメージです。

白濵:
ありがとうございます。1方向から見えるアングルであれば見栄えする絵にはなるのですが、違う角度から見ると酷いことになってしまうという話は制作中も聞いていました。この完成したモデルを見て、雨宮監督と志太さんはどう感じられましたか。

雨宮:
個人的には、胸の色味がポイントだと思っています。デザイン上は男の子に受けるような色味になっていて、胸の発光色は少し女の子受けするようにしたいという思いがあったのですが、グラデーションで綺麗に再現してもらえました。

影付けのテクスチャも大変だったと思いますが、それだけでも作画のように見えるため出来上がりを見た時はとても嬉しかったです。映画として、最強形態にふさわしい出来映えになったと思っています。

志太:
今回は劇場版になるということで、ダイナゼノンとグリッドマンの合体はテーマとして決まっていました。最初にグラフィニカさんに3Dを起こしてもらった時には、とてもテンションが上がりました。一方で、作画パートの浅野くんは、それを動かすという嬉しさと恐怖を同時に感じたと言っていました。

白濵:
先程雨宮監督も仰っていた胸のパーツの色味ですが、田口さんの作業としては大変だったのでしょうか。

田口:
一番大変だったのは、発光して見えるようにコンポを組むことでした。この色のまま光らせることはできないため、周りをブラーでぼかして発光しているように見える工夫をしました。

白濵:
ありがとうございます。3Dメイキングのモデル編については以上になります。

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景04

3Dメイキング(カット編)

3Dメイキング(カット編)

白濵:
続きまして、2つ目のテーマ「3Dメイキング(カット編)」です。

ドムギランとフルパワーグリッドマン&カイゼルグリッドナイトが激しいバトルを行うシーン

白濵:
最初に紹介するのは、物語中盤で登場したドムギランとフルパワーグリッドマン&カイゼルグリッドナイトが激しいバトルを行うこちらのシーンです。こちらに関して、雨宮監督が発注の際に意識したポイントなどがあれば説明お願いいたします。

雨宮:
これは中盤戦の怪獣なのですが、グリッドマンとグリッドナイトの2体を並ばせるというのが重要なポイントでした。2対1になってしまうため、2対1でも弱く見えないようにしつつも強くも見えすぎないバランスは大変でした。

白濵:
ありがとうございます。雨宮監督の内容を受けて、市川さんから3Dアニメーションを作る際に気を付けたポイントや、思い出のエピソードなどがあればお聞きしたいです。

3Dアニメーションを作る際に気を付けたポイント

市川:
打ち合わせの時には、スピードとパワーはあるが見た目は少しずんぐりむっくりという、アベンジャーズのハルクのようなイメージで発注をいただきました。私もアベンジャーズが好きということもあって、グリッドマンたちを片腕で振り回せるレベルに相当強くしました。振り回すときに周りのビルもわざと転がしたりと、とにかく派手に暴れさせてみました。

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景05

苦労したところは、パーツ数の多いキャラクターが2体いるところです。それぞれのめり込み調整やシルエットの出し方は大変でした。また、振り回されてる時のシルエットや吹っ飛ばされる時のシルエットは、あえて少しダサく見えるように作りました。

白濵:
ありがとうございます。このシーンに関して私たちもやって良かったと思っている点が、3Dのビルをたくさん作っておいたことです。テレビシリーズの時はビルのパターンが4棟ほどしかなかったのですが、ダイナゼノンで「もっと欲しい」と言われて8棟に増やしました。

市川:
変な話ですが、自分で黙々と作業している際に好きなビルがあることに気付きました。そのため、倒しやすいビルを前面に出したり、好きではないビルを後方に置いたりなどといったことが実際にありました。また、隣に並べてしまうとコピー感が出てしまうため、少しズラしたり向きを変えたりすることで、コピー感が出ないようにしました。

下面側はあえて真っ黒にして、ハリボテ感を出す

市川:
本作品では下面側はあえて真っ黒にして、ハリボテ感を出しています。ミスに見えるかもしれませんが、これはわざとやっています。

アレクシスが多数のノワールドグマを相手にするカット

白濵:
では、次のカットに移ります。続いて紹介するのは、アレクシスが多数のノワールドグマを相手にするカットです。こちらに関して、雨宮監督が注意したポイントなどがあればお聞きしたいです。

雨宮:
このシーンでも僕が絵コンテを描きましたが、そこまで細かくアクションを描きませんでした。優勢か劣勢かくらいしか描いていなかったため、好きにやってくださいというかたちで発注しました。そういった任せ方ができるのも、シリーズを重ねたゆえの強みだと思います。

白濵:
市川さんはこちらのカット制作時に気を付けたポイントなどはありましたでしょうか。

市川:
ここはアレクシスが怪獣をとにかく蹴散らすカットだったため、無双しているように見えるよう制作しました。また、このシーンではアレクシスが他のキャラクターを守っているため、今いる場所から離れないよう意識して、少し移動したらまた戻るという動きにしました。

ローグカイゼルとは違ってタイツキャラだったこともあり、手足などが動かしやすくてついついアクションを入れすぎたとも今では思っています。

白濵:
ありがとうございます。「3Dメイキング(カット編)」は以上になります。

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景06

撮影メイキング

撮影メイキング

白濵:
次は「撮影メイキング」です。最初に紹介するのは、物語序盤の裕太と六花の会話シーンです。「撮影処理前」と「撮影処理1」、「撮影処理2」の3段階に分かれているメイキングについて、志良堂さんから簡単に説明していただきます。

物語序盤の裕太と六花の会話シーン(撮影処理前)

志良堂:
この画像にある撮影処理前の段階は、基本的に美術とキャラクターを配置した状態です。そこに『アンチエイリアス』という、ギザギザしている線をまっすぐにする処理が入っています。

物語序盤の裕太と六花の会話シーン(撮影処理1)

志良堂:
次に、撮影処理1についてです。画面内のキャラクターへの影付けや遠近感を伝えるためのボカシ、あとは窓からの光源を意識したフレアなどを足している段階になります。

物語序盤の裕太と六花の会話シーン(撮影処理2 完成)

志良堂:
最後の撮影処理2では、フィニッシュとして画面全体のコントラストを微調整して完成という流れです。

白濵:
こちらのカットに関して、雨宮監督が狙ったポイントなどはありましたでしょうか。

雨宮:
しいて言うなら、裕太と六花の距離感です。心情的な距離感は望遠で撮ると分かりづらくなるため、そこは意識しています。また、青と黄色という色にもこだわりがあります。色をハッキリと分けることで、彼らは同じところにいない、2年生になってクラスが分かれたということを画でも説明するという仕掛けが施されています。

また、画像を見ても分かる通り、六花が右手を挙げています。これは動きとしては意味がないのですが、手首に巻いてある紫色の鉢巻きを見せるためのカットです。テレビシリーズのキャラクター、『新条アカネ』の紫の要素を画面に入れるためにこういったカットになりました。このように、画角や色などでもキャラクターの心情や立ち位置を説明しています。

白濵:
ありがとうございます。では志良堂さんから、このカットで気を付けたポイントがあればお伺いできればと思います。

志良堂:
グリッドマンの時から雨宮監督から聞いていたのは、「日常パートはより実写っぽく、戦闘パートは某勇者シリーズのようにモリモリに」という、パートごとに格差を付けてほしいという内容でした。

そこで、ボケのエフェクトに関しては普通のシリーズよりも強めに付けるようにしました。背景や前にいるキャラに付けるボケのエフェクトを過去の僕の作品よりも1,2段階強くすることで、より被写界深度が浅いような絵を作るように意識しました。

あとは、キャラクターに付ける「パラ」と言われる影付けについて、通常は一直線で影面から光源面に対してグラデーションになるようにかけるところを、グリッドマンシリーズはキャラクターの影付けに沿ったようなかたちでマスクを切ってパラをかけるようにしました。

そうした理由ですが、一直線に掛けてしまうと意図しない肌などにも影がかかってしまって、あまりキレイに見えないということが多発してしまったからです。日常シーンはより細やかに影付けできるようにするため、パラを1枚ずつマスクを切って作画を意識して付けるようにしました。

そこが撮影的にも大変で、手間がかかったところでした。1枚にグラデーションをかける枚数が多ければ多いほどそれに沿っていかないといけないため、その分時間はかかるのですが、よりリアルな画にするために一生懸命取り組みました。

ローグカイゼルグリッドマンのカット(撮影処理前)

白濵:
では、次のカットに進みます。続いて紹介するのはローグカイゼルグリッドマンのカットです。こちらも志良堂さんから「撮影処理前」と「撮影処理1」、「撮影処理2」のそれぞれについて説明をいただきます。

志良堂:
先程と同様に、メカに関してはメカ質感というものを撮影で付けてます。これは、3Dのカットとセルのカットで質感的なつながりが悪くなってしまうことがあるためです。そのため、セルの方には撮影でよりメカに見えるような、3Dに近いような質感をかけてます。

ローグカイゼルグリッドマンのカット(撮影処理1)

そして、なおかつ撮影処理1では、各パーツの発光と火の粉を足しています。このカットに関しては、カットの都合上背景も撮影で作っています。また、キメのところの虹のリングなど、細かいものも撮影で足しています。

ローグカイゼルグリッドマンのカット(撮影処理2 完成)

撮影処理2のフィニッシュでは先程と同じように全体的なフィルターをかけるのですが、カットによっては後ろの黄色の線が見えなくなるということもありました。そこでカットごとに細かく調整して、ビームの中のふんわりとした感じや最後のキメのカットで格好良く見えるように、コントラスト調整を行ないました。

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景07
『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景08

版権ビジュアルメイキング

版権ビジュアルメイキング

白濵:
次は最後のテーマ、「版権ビジュアルメイキング」です。

MX4Dのメインビジュアル(完成)

白濵:
まず最初に紹介するのは、先日まで上映されていたMX4Dのメインビジュアルです。上の画像は完成品になります。

MX4Dのメインビジュアル(ラフ)

こちらは雨宮監督からいただいたラフ画ですが、これをもとに作成を開始しました。雨宮監督の方で何かイメージしていたテーマなどはあったのでしょうか。

雨宮:
これは、『ゴジラVSコング』を意識しました。

MX4Dのメインビジュアル(3D制作1)

白濵:
いただいたラフをもとに3D制作を行い、画像のようになりました。市川さんは、この版権を作業するときに何に気を付けたのでしょうか。

市川:
アニメーションではキャラが動くため、いろいろとごまかしが効きます。一方で、ポスターは完全に止め絵の1枚になるため、いかにこの格好良いラフ画を忠実に再現するかを意識して、手の向きや指の形などの細かいところを調整して制作しました。

MX4Dのメインビジュアル(3D制作2)

白濵:
こちらの素材に、作画の素材と美術素材を合成したものが上の画像です。

MX4Dのメインビジュアル(完成)

白濵:
さらに特殊効果処理や撮影処理を行なった完成ビジュアルが、先程も見ていただいたこちらの画像です。志良堂さんも作業したと思うのですが、気を付けたポイントなどあればお聞きしたいです。

志良堂:
版権作業では撮影に来るまでにはすでに色が決まっていて、撮影処理的としては全体的なフィルターと光をプラスするくらいなのが一般的です。しかし、今回の場合は色から撮影で調整してほしいということでした。先程のお話の通り、ゴジラVSコングのポスターという明確なイメージがあったため、それをベースに1つずつ色を変え、火の粉を付けて発光しているような処理を足しました。

後ろの方に怪獣や多くのキャラクターが飛んでいたため最初は薄く処理を付けたら、「後ろは見えなくてもいいので、もっと濃くして、大きい火の粉を飛ばしてください」というリテイクがきました。そこで、結構派手かつ豪華に処理を付けてOKをもらえたという感じです。

グリッドマンとダイナゼノンのビジュアル

白濵:
続いて、2023年9月27日にブルーレイが発売される劇場総集編、グリッドマンとダイナゼノンのビジュアルです。

グリッドマンとダイナゼノンのビジュアル(ラフ)

白濵:
こちらの画像が、最初に雨宮監督からいただいたラフ画です。

雨宮:
普段は煽りの構図が多く上から見下ろすビジュアルをやっていなかったため、それを表現しました。背景を俯瞰して、街並みや水門などをリアルに撮りたいというのがコンセプトでした。あまりグリッドマンやダイナゼノンの顔を見せないという、見た目がヒーロー映画すぎないように意識しました。

白濵:
このラフをもとに3Dを制作したということですが、市川さんが作業する際に気にした点は何かあったのでしょうか。

グリッドマンとダイナゼノンのビジュアル(加工1)

市川:
角度が結構特殊だったため、一度見ていただいてから修正するという流れにしました。ダイナゼノンはOKいただけましたが、グリッドマンはやはり人型ということもあって何度か修正をいただきました。顔のこの角度からの見えが3Dだとモデルにそのまま角度を付けただけになってしまうので、実際に作画との違いというところは修正いただいて、とても勉強になりました。

グリッドマンとダイナゼノンのビジュアル(加工2)

白濵:
同時並行で作業していた美術素材と作画素材を載せた合成素材がこちらです。

グリッドマンとダイナゼノンのビジュアル(完成)

白濵:
そして、先程同様に特殊効果処理や撮影処理を載せた完成品がこちらです。こちらは見た目も大きく変わっていますが、変更した点などあれば志良堂さんからお話をお願いいたします。

志良堂:
当初は撮影としては特殊効果で終わりというお話だったのですが、急遽「キャラクターと背景がなじみすぎているため知恵を借りたい」という相談をいただきました。そこで、キャラクターとメカと背景がなじみすぎないように、かつまとまるようにするために、空気感を出すために背景を白くする、グリッドマンやダイナゼノンのコントラストを少しいじるなどの対応をしました。

白濵:
雨宮監督としては、こちらのビジュアルはいかがだったのでしょうか。

雨宮:
町を見下ろしたいということで、志太くんがいいアイデアをくれました。本当の写真のようですが、写真だとこの角度に立って撮れません。最初はドローンで撮ろうと思いましたが、許可が下りませんでした。最終的にはヘリコプターで上空から東京を撮影するという案に決まり、私も含めみんなでリコプターに乗りました。全員が撮った写真の中で一番いい角度の素材を美術に渡し、レタッチをしていただきました。

『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景09
『グリッドマン ユニバース』Blu-ray発売直前緊急座談会!!3DCG&撮影メイキング 会場風景10

告知

告知
劇場総集編グリッドマンとダイナゼノンのパッケージ

白濵:
2023年9月27日に、劇場総集編グリッドマンとダイナゼノンのパッケージが発売となります。

グリッドマン ユニバースのパッケージ

さらに2023年10月25日にはグリッドマン ユニバースのパッケージも発売となります。よろしくお願いいたします。

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